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④無くしたい記憶
少女は消えてしまったけど、ノートはある。
私はまたベンチに座って、ノートを読んでみた。
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ドサッ。
人が倒れる音が、校庭に響いた。
「……お前、それで終わり?やっぱチョロ子であだ名あってたわねww」
ルルがそう言うと、周りにいた女子もクスクス笑う。
「…違うもんっ!私、チョロ子なんかじゃないっ……!」
ルルの声に負けず、力強い声で泣きながら|黒音《くろね》は叫んだ。
「ふーん……ちょろいくせに」
「気持ち悪過ぎて吐きそう〜」
「もう無理だわ〜。引く引く引くー。こんな奴の周りにいたらチョロ子菌がうつるww」
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続きだが、私はパタンと本を閉じた。
これは、10年前………私が小学4年生の時の話だ。
当時、私はクラスのリーダー的存在・ルルにいじめられていて、不登校になった。
小5と小6は違うクラスだったためよかったが、中学生にまた同じクラスになり、いじめられた。
だから、転校して遠方の高校を受験した。今は健全な大学生として楽しく毎日を過ごしている。
そうそう、言い忘れてた!私は黒音……黒音ココって名前で。
黒音ココって名前には「黒猫」ってついてることから不幸の象徴になった。
私が他の人とすれ違えば「黒音さんとすれ違っちゃった…終わった…」と言われる。
異変に思った私は図書館でいろいろな資料を漁ってみると…衝撃的なことがわかった。
昔の欧米では、黒猫は不幸の象徴で、たくさんの黒猫が犠牲になったってこと。
「黒猫が横切ると不幸が起こる」っていう迷信があること。
1000冊近くある図書館から、なぜ黒猫の資料を選んだかは覚えてないが……
でも、そんな理由でいろいろな酷いいじめを受けた。
水をかけられる、殴られるはもちろん。
給食の汁物をぶっかけられてやけどさせられたり、コンパスの針で手を刺されたり。
嫌な記憶が記憶の引き出しからはみ出てきて、私は無理やり閉めた。
でも、中学生にいじめを受けていた時に図書館に出しっぱなしになっていた本を読んで……
いじめは法律でやってはいけないことを知った。
だから、私はいじめっ子を訴えて慰謝料を請求し、成功した。
いま、ルルは何をしているのかなんて知らない。だから知りたい。
私はそう思って、またノートを開いた。
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