公開中
僕は帰路に、君は何処へ
以前使っていた小説サイトで投稿した最終投稿、
メモで見つけたし、せっかくなのでここでも投稿。
多分詩。韻は踏んでない。
足早な夕暮れが照らす街路
あっと言う間だった,なんて考えながら重い足取りで往く
あの子を思い出して重ねたあとに
もう帰ろうか
如何に僕は|漫《そぞ》ろか
道筋の外れにある角を曲がり,
橋を渡り海に臨む
夕暮れた空は僕の気持ちを引いて,
知らぬ間に街角のエントロピーだ
定時の電車は僕を乗せて,
一人の世界へと誘っている
期待外れの夜は過ぎてくれない
君を忘れたいんだ
戻れないこと,つくづく実感してしまうから
失うものがなくなって,
もう何も信じられなくなったんだ
今はただ何も見たくない
嗚呼
全て間違っていたようだ
自分の呼吸を探していた
終日,僕を見つめていた
枯れた葉を掃いて,
明けぬ夜が来て,
また眠りに就くんだ
甘く育てた果実が落ちた後は腐ってしまう
残るものは悲痛と孤独だけ
何もかもが徒労に終わっていく
あの頃解いた孤独と,あの日駆けた路地で微笑んでた
受け容れる事を目的として毒を得ていた
侵された僕は虹を見ていたんだ
全てを捨て終え,独りで旅に出た
これが夢じゃないから夢を見たいんだ
受け容れる度に僕は僕を蔑んだ
自裁で埋もれた今日にさよならしたい
慈悲の先にある温度を僕は手放した
誰が為に息をするんだ?
幾度重ねてしまった罪を,僕は抱えきれなかった
あとは,自我が折れた花で満たすだけかな
今や繕えなくなったブーケを掲げて,泣いて立っていたって,
そんな事じゃ,僕らは進めやしないのに
君の事なんて忘れてしまった
綻びはいつ消えたっけ?
斯くて低迷していた今日,誇大なエゴを吐き捨てさえすれば
戻れる気がするよ,今なら
もう用なんて無い事を解きたいんだ
無意味な事を続けていたかった
何故,僕は道筋を駆け出す?
目を背けて逃げた,僕の愁いを掃いてくれよ
今は朧気な夢を見たいから
君を忘れられるかな
またいつか。皆もお疲れ。