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三話 揺らいだ空気
炭治郎「痛い…傷が…」
鎹鴉「南南東!!南南東!!!」
耳につんざく声
炭治郎「もう分かったから!!!分かったから黙ってくれ!!!」
さっきからずっとこれしか言わないし…
__?「頼むよ…っ!」__
__?「ちょっといい加減に…」__
鎹鴉「カァー!!」
うるさいなぁもう…
?「頼むよ!!!」
炭治郎「!?」
なんだ…?
金髪の男が三つ編みの女の子に抱きついて、
それを止めている女の子がいる…
?「頼む頼む頼む!!!結婚してくれ!!!」
?「俺はいつ死ぬか分からないんだよぉ!!」
「〜〜〜っ」
?「いい加減離れろ…!!ってびくともしないなぁ!!」
…本当になんなんだ?
俺は走って駆け寄ろうとした
「チュン!!」
炭治郎「え!?す、雀?」
「チュン!!チュンチュンチュン!チュン…」
炭治郎「…よし分かった!!なんとかするよ!」
---
?「助けてくれよぉ!!」
炭治郎「一体何をしているんだ!!その子が嫌がっているだろう!!」
炭治郎「あと雀を困らせるな!!!」
?「隊服…お前最終選別の時の…」
最終選別…うーん、、
炭治郎「お前みたいな奴は知人に存在しない!!知らん!!」
?「わ、私は覚えてる、?」
ピンクの羽織で二つ結び…
炭治郎「君は…愛の呼吸を使っていた剣士か!」
パッと笑顔になり、勢いよく頷く彼女
?「なんでこっちは覚えてんのぉ!?」
?「俺たちも会っただろー!?お前記憶力悪いの!?」
…
炭治郎「さぁ家に帰ってください」
?「大変だったでしょ?ごめんなさいね」
「ありがとうございます」
?「おおおおおおおおおい!!!!」
そう叫ぶと男は女の子の足にしがみついた
?「この子は俺と結婚するんだ!!俺のこと好きなんだから…」
ドガッ
女の子の右手が、男の左頬に強く当たった
?「な…っ」
ドガッドガッバシッバシッ
?「ちょちょちょ!!気持ちは分かるけど落ち着いて!!」
気持ちが分かるんだ…
確かに怒ってる匂いがする…
「いつ私があなたを好きだと言いましたか!!!」
「具合が悪そうにしてたから声をかけただけでしょう!!!」
?「俺のこと好きだから声をかけたんじゃないの!?」
…うわぁ、、
「私には結婚を約束した人がいるので!!!」
「元気ならいいですよね!!さようなら!!」
?「待って…!!」
女の子はそそくさと家に帰ってしまった
?「なんで邪魔する…」
?「って、2人してなんだよその顔!!!」
?「2人のせいで結婚できなかったんだからな!!責任取れよ!!!」
…。
?「…。」
?「なんか喋れよ!!!!」
怒った口調でツッコんでくる男に俺たちは呆れていた
?「俺はもうすぐ死ぬんだからな!!だから結婚しないといけないんだよ!!!」
炭治郎「そ、そうなのか…俺は竈門炭治郎だ!!」
由羅「私は如月由羅って言います!すみません、この人ずっとこんな感じでほんと苛ついてて…」
笑顔の裏に何か闇を感じる…
?「そうかいごめんなさいね!!!」
善逸「俺は我妻善逸だよぉ…」
善逸「助けてくれよ炭治郎!!由羅ちゃぁん!!」
善逸「俺は死ぬ…!!死ぬ!!!次の任務で…!!!」
善逸「いいいいいいやあああああああ!!!!」
由羅「…本当にうるさいんだよおおお!!!!」
由羅も大概だけどな…
---
任務先に着いた私たちは、
鬼の血気術によって離れ離れになってしまった
由羅「炭治郎ー!!善逸ー!!」
…いない
この血気術は特殊だ
鼓の音と共に部屋が移動する
由羅「ここは、どこ?」
部屋を開けようとしたその瞬間
空気が揺らいだ
いる
この部屋の中に
鬼が…
襖を開けると
中には人間を喰っている鬼がいた
由羅「…っ!!」
声にならない叫び声をあげて、
私は斬りかかった
「なんだぁ…?」
「おめぇ鬼狩りかぁ…?」
ぬめっとした話し方のする鬼に吐き気がする
由羅「…人喰い鬼は私が斬る!!」
由羅「もちろん、あなたも」
「へぇ…」
そう言うと
鬼は私を突き飛ばした
由羅「…!?」
受け身を取ったものの背中を強打した
由羅「…っく」
立ち上がって刀を構える
「俺の速さにはついてこれないよなぁ」
「反応遅いもんなぁ…まだ鬼狩りになって間もないのかぁ…?」
由羅「未熟だとしても剣士なことに変わりはないでしょ!!」
そう言って首を斬ろうとした
が、
「おせぇなぁ…」
ドガッ
由羅「あが…っ!?」
ボキッ
腹に強い攻撃をされ、突き飛ばされる
これ…肋骨折った、、っ
痛みに耐えながら立ち上がり、息を整える
早い攻撃にも、反応しないといけない
空気の揺らぎにもっと敏感にならなきゃ…
もっと、、もっと!!!
由羅「すぅぅぅぅ…」
**愛の呼吸**
一歩を大きく踏み出す
「おそいんだよぉ…!!」
ヒュッ
「なっ…!?避けやがった、!?」
「早い…俺の速度を上回って…っ!!」
**肆の型**
心拍数が上がる
この胸の高鳴りを…力に変える!!
由羅「**|求愛《きゅうあい》の|初音《はつね》**!!!!」
「ぎゃ…っ」
首を斬った瞬間
鬼の身体が果実のように弾けた
由羅「…いったぁぁ…、、」
身体を大きく動かしたからめちゃくちゃ痛い
しかもこの技体幹使うし…っ
由羅「炭治郎達は、、大丈夫なの、?」
私は辿々しい足取りで外へと向かった
---
由羅「はぁ…はぁ…」
なんか、声がする、?
?「おい!!刀を抜いて戦え!!!」
嘘
由羅「善逸!!!」
私は急いで善逸に駆け寄った
善逸「由羅…ちゃん、、」
血を流してあざだらけの善逸に私は言葉を失った
離れたところでは正一くんが涙を流していた
?「ああん?お前も感覚が狂ってんのか」
?「そこには鬼がいんだよ!!!そんなことお前も分かんねえのか!!!」
そんなの…っ
由羅「そんなの会った時から知ってるよ!!!」
善逸「…由羅ちゃんも、、気づいてたんだ、、」
由羅「…うん」
気づいてた
あの箱から異様な空気を感じたのは
そんな気配を放つのなんて、この世界には鬼くらいしかいない
でも炭治郎は、
炭治郎は今まで感じたことのないくらい優しさを感じた
結局、善逸も見捨てずにここまで来たし
それに、
この鬼と炭治郎からはなにか《《近い空気》》を感じた
おそらく《《親族》》なんだろう
何があったのかは分からない
きっと、剣士になったきっかけはこの鬼なんだろうとは思う
だから…!!
由羅「炭治郎からこの鬼を奪うなんてできない」
由羅「あなたが何を言おうと、何をしようと…この鬼は殺させない!!!」
ドガッ
頬に強い打撃を食らった
?「そうかい…なら俺はお前が何をしようとその鬼を殺すね!!!」
絶対に守る!!!
善逸「俺も…っ、守るよ、、」
善逸と2人がかりで守る
そこに、
炭治郎「善逸…、?由羅、、?」
炭治郎達が来た
おつなこ!!!