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流れ星
「あ、流れ星だ」
私は空に流れるその流れ星を見つけると呟いた。
私は、ごく普通の中学1年生、|井頭永穂《いがしらながほ》。
暇でベランダに出て星を見ていたところだ。
また流れ星だ。
私はその星へ向かって
「|永島りえ《ながしま》が死にますように」
と願った。
なぜ永島りえに死んでほしいかというと、永島は私に嫌がらせをしてくるのだ。
いじめというほど辛くはないが嫌だ。
毎日プリントを落としたり、手を滑らせたと言って机を汚したりしてくる。
周りの奴らは見ているだけで何も言ってこない。
これはこれでイラつくが今一番嫌なのが永島なのだ。
考えていると少しスッキリしたため、私は部屋へ戻り布団に入って眠った。
その日の夜は夢を見た。
永島の家が燃えているところだ。
永島が部屋に取り残されて助けてと叫んでいる。
消防隊員や近所の人たちは永島を助けようと必死になっている。
私はそれをジッと見る。
「お願い!井頭さん!私を助けて!」
永島が私に気づき手を振って助けを求める。
その瞬間永島が火によって見えなくなった。
先に脱出していた永島の両親は叫び、周りはザワザワしだした。
私はそれを見た後、家を離れたところで夢から覚めた。
起きた後は特に何も特別なことはなかった。
流れ星に願い事をしたって意味はないと思いながら、私が学校に着くと驚きの言葉がクラスメイトの口から発せられた。
「永島が死んだ」
頭が真っ白になった。
永島が死んだ?
さらに私が話を詳しく聞くと、火事で部屋に取り残されて死んだとのこと。
私が夢で見たのと同じだった。
すべて、同じだった。
その日私はまたベランダへ出て、流れ星を見つけると願った。
今度は弟が死ぬことを願った。
理由は、弟は私にうるさくていつもイライラさせてくる。
それが嫌になったからだ。
そしてもう一つある。
昨日永島の死を願ったら、本当に死んだ。
つまり、また願えば思い通りになるかもしれないことを証明するために弟で実験するためだ。
正直に弟が死ぬことに罪悪感は全くない。
逆に嬉しいぐらいだ。
そうして、私は眠りについた。
また夢を見た。
弟が死ぬ夢だ。
その夢では弟は急な心臓発作で死んだ。
次の日の朝、私は学校の準備をしていると弟が急にバタリと倒れた。
お母さんが叫びお父さんは救急車を呼び、家じゅうパニックになった。
ただ一人、私だけが冷静に立っていた。
「ダメ。|矢卯《やう》!死んじゃダメよ!」
お母さんが叫んだ。
お父さんが弟をゆさぶる。
そして、弟は完全に動かなくなった。
死因は心臓発作だった。
流れ星に願えば本当になる。
それがわかった瞬間だった。
私はその日から毎日のように流れ星に願った。
「国語の先生、|山元一郎《やまもといちろう》が死にますように」
「部活の先輩、|木乃森奈《きのもりな》が死にますように」
少しイライラしただけで願った。
「|金本りり《かなもと》が死にますように」
「|臣合寒五《じんごうかんご》が死にますように」
そうして私の身の回りの人たちが死んでいき、気味悪がれた私は一人になってしまった。
結局私が完全に幸せになることはなかった。
END
なんか流れ星が出る回数が多いですけど、そこは気にせずに(( おい
最後の「END」なんかカッコイイですね。
気に入りました。