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夢の中の君 ②
ゆたの指輪🦥💍
遅くなったよ。
ま、だれも見てないかもだけど。
ため息を吐いて、また寝ようと寝転がろうとしたときだった。
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「ため息なんて吐いて。お疲れかな。」
そう、二十歳くらいの男が喋りかけてくる。
「誰?」
疑問と怒りを持って冷たくそう返す。
「強い口調。俺歳上だよ?」
からかったようにケラケラと笑いながら俺に自分の正体を明かす。
「やぁ、佐藤優太くん。俺は“吸血鬼”まぁ“ドラキュラ”だよ。」
そう言われて、状況を理解しきれない俺は口をパクパクさせる。
すると吸血鬼さんは吹き出すのを少し抑えながら笑った。
「あはは、パクパクしてるんだけど。」
そう言われて我に帰り、少し考える。
吸血鬼?あの?吸血鬼って、何をするの?にんにくが嫌いとか言ってたっけ。
なんて、変なことまで考える。
「簡単言えば、君の血を、貰いに来た。」
そんなわけ。きっと夢だ。バカな夢を見てるんだ。死んだわけじゃないのは悔しいけど、まぁしょうがない。
なんてことを考えていると吸血鬼さんは俺の考えがわかったかのように言った。
「あ、もしかして、夢だと思ってる?これは現実だよ。現実。」
本当に現実なのであれば。俺の血を貰いに来たのなら。そう聞いた時、咄嗟に思いついた言葉をそのまま口にする。
「俺を、殺してくれるってことか?」
俺のその言葉を聞いて、吸血鬼さんは少し驚いた顔をする。そしてその後、少し困った顔をして言う。
「俺は君を殺すことはできない。」
そう言われたものの、諦めはつかず、吸血鬼さんに攻め寄る。
「俺の血を全部持っていっていいんだよ?俺はもう、死にたいんだから。」
そう言って何度攻めても、吸血鬼さんの顔が変わることはなく、キラッと光る八重歯を出して眉を下げて『ごめんね』と謝るだけ。
これじゃあ俺が悪いように感じで気が引けるため、もう交渉するのはやめようと思った。
けれど、それなら、それなりの責任をとってもらわなければなら無いのではないか。そう思い、疑い半分で吸血鬼さんに言う。
「それなら…俺を生きたいって思わせてよ。そしたら、二人ともの問題解決だよな?」
「え、?」
そりゃ、できるわけないよな。少しでも希望を持った俺がバカみたいだ。
「…出来るわけ無いよな。変な事言った。はは、嘘だよ…」
「わかった。」
俺の言葉を遮るように了承の言葉を発する。
「え、ちょっと待って…」
状況を理解できず戸惑う。そんなの出来るはずがない。
俺の事を全く知らない此奴が、俺の今の気持ちを変えることなど出来ないはずなんだから。
「俺がお前に生きたいと思わせる。これで良いんだな?」
「そ、そうだけど…そんな事、できないでしょ。」
余裕そうな吸血鬼さんに否定させるように問いかける。
「やってみないと分かんない。でも、生きたいと思わせるための最善なんて、誰でも尽くせるだろう。」
そんな風に曖昧な言葉を言っている吸血鬼さんだけど、言っていることは、あながち間違いでは無いし、確かに、やってみないとわからないものだ。
「本当に…?本当に出来るの。」
「だから、やってみないと分かんないって。」
少し呆れたように言葉を返して来る。そして「それじゃあ」と続ける。
「俺たち吸血鬼の君みたいに条件をつけて来る人間に対応できるように作られた、“プレゼント”があるんだ。」
“プレゼント”…って、?びっくりするもの?それなら辞めて欲しい。それとも、もらって嬉しいプレゼント?本当に嬉しい物ならそれがいい。
「その“プレゼント”は“願い”だよ。」
「は?」
意味のわからない説明に対して思わず咄嗟に「は?」と言う言葉が出てきてしまった。それにしても『願い』って、どういう意味なのだろうか。
「あぁ、分かってなさそうだね。」
「何その言い方。気分悪い。大体伝わらない話をする方が悪いんだろ。」
バカにするような話し方をするから、少し腹が立って強い言い方をしてしまう。そんな俺を気にしていないかように、『願い』について、詳しく話す。
「端的にいうと、君の願いを叶える。それだけだよ。けれど条件があるんだ。それに反したことは僕らには出来ない。そんな感じで、僕らが出来る範囲で人間の幸せの手伝いをしてるんだ。」
「その…条件って?」
そう聞くと、吸血鬼さんは自分のポケットから黒い手帳を取り出す。
その手帳には、ボタンがついていて、ボタンの部分には首に金色のクローバーの形をした鈴のついた首輪をしている猫の飾りがついていた。そして、その手帳の中を俺に見せてくる。
そこには、【願いを叶えるにあたっての条件】と書かれていた。
その内容を覗くと、三つの条件が書かれていた。
その条件とは?!