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愛は、時代を越えて。 4話
「うーん.......」
目を開けると、見覚えのない天井が見える。ここは....そうだ、和音の家だ。私、大正時代にタイムスリップしたんだっけ。
「おはようございます。よく眠れましたか?」
「あ、和音おはよ。」
体を起こし横を見ると、寝起きでまだ眼鏡もかけていない、パジャマ.......おそらくこの時代で言うと寝間着姿の和音がいた。いや、眼鏡なくてもかっこいいとはどういうことだこの美男子が。
「今日、何するの?」
「特に予定はありませんよ。どこか、出かけたい所はありますか?」
「うーん……出かけるも何も……」
どこに何があるかすらわかんないし……
「では、どこか呉服屋にでも行きませんか?」
「呉服屋?」
「新しく、着物を仕立てるのはいかがでしょうか。かぐやさん、昨日着ていた着物しか着るものないでしょう?」
「あー……確かに。」
今着ている寝巻きも、和音のお母さんから借りたやつだし。
「行きつけの店があるんです。朝ご飯を食べ次第、行きましょうか。」
「うん。」
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「ここです。」
「うわあ……」
朝ご飯を食べ、和音の案内で行きつけだと言う呉服屋に向かう。中に入ると色鮮やかな着物や、美麗な簪や櫛が目に入った。
「好きな色とかありますか?」
「うーん……青とか紫かなあ……」
「了解です。|幸恵《さちえ》さん、ちょっとお願いがあるんですけど。」
「あら、音くんじゃない。久しぶりね。そちらのお嬢さんは?」
和音に幸恵さんと呼ばれた30代後半ぐらいの女の人が出てくる。
「かぐやさん、適当にお店の中を見ていてください。何か欲しいものがあれば、帰りに言ってください。買えそうなら買うので。」
「了解。」
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「じゃ、夕方には届けるわね。」
「はい、よろしくお願いします。」
私が30分ほど簪や首飾りに目を輝かせているうちに、和音が店の奥から出てきた。
「かぐやさん、何か気に入ったものはありますか?」
「えーっと、この藤の花の簪と……この青い桔梗のもいいな……あと、この椿の……多いかな……?」
「いえ、構いませんよ。きっと、かぐやさんに似合います。」
そう言われると嬉しいな。
「お会計を済ませたら、帰りましょうか。」
「うん。」
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「これで合ってたわよね?」
「はい、ありがとうございます。」
「また来てね。今度は割引してあげるから。」
「了解です。ありがとうございます。」
夕方。和音に買ってもらった簪を付けてみたりしていると、あの幸恵さんという女の人が和音の家に来た。ただ、玄関先で和音に何かを渡して帰って行ったけど。
「かぐやさん、これ|賜物《プレゼント》です。」
「えっ?」
和音がくれたのは、藤色の地に藤の花の模様が散る美しい着物と、浅葱色の地に青い桔梗の模様が散る着物だった。
「これ……」
「たまたま、かぐやさんの買った簪とこの着物の花が同じでしたね。きっと、かぐやさんに似合うと思って選びました。気に入りましたか?」
「うん。…………うん!ありがとう!」
私は思わず和音の手を握った。
「どんな災いが来ても、僕はちゃんと和音さんの近くにいられるようにします。だから……」
「ちゃんと、隣にいるよ!」
「約束ですよ。かぐや姫さん。」
どうもリア友に短編カフェの垢が広まっていくぱるしいです。LINEがカオスなことになりました。