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恋愛短編集
くーちゃん
⒈恋しちゃだめだよ
「ねぇ聞いて?藍(あい)。今日も央亮(おうすけ)くんがかっこよくって!」
「もう、冷夏(れいか)は戸澤(とざわ)くん馬鹿だよね」
「ば、馬鹿じゃない!!偏差値60超えてるし!!」
焦り出す冷夏を「そうじゃなくって」となだめる。
「だってぇかっこいいじゃん?藍もそう思うでしょ」
「まあそうは思うけど恋愛興味ないからな…」
こないだまで、その会話は、息をするようなものだった。
恋愛に興味がないのなんて、息をするより当たり前だった。
そして私は、冷夏の恋を応援する決意をしていた。
でも、その当たり前と決意は急に壊れた。
「伊藤さん、その荷物重いでしょ?持つよ」
戸澤くんは、そう言って私に手を伸ばした。
「えっ、いいよ…本当に重いし」
「いいんだよ、俺、力持ちだから」
自信満々に言う彼に、私はくすっと笑って「じゃあお願い」と言って荷物を手渡した。
そのときの彼の笑顔は、とても綺麗で、かつ優しそうだった。
そして今でも、あの顔は私の頭から離れていない。
「きゃーーーーーっっ!央亮くんかっこいいっ!藍にも優しい!でも央亮くんを好きなのは冷夏!」
そう言って笑顔の冷夏に、なぜか胸が痛んだ。
「伊藤さん、若生さんって元気だよね。面白いし。俺も若生さんと友達になりたい」
元気で面白い。それはきっと恋愛対象に向ける言葉じゃない。
普通は冷夏が可哀想になるはずなのに、なぜかホッとしている自分がいた。
「それは恋じゃない?」
妹の凛に相談すると、はっきりそう言われた。
「でも凛…違うよ。私は冷夏の恋を応援したいの。好きになるわけない」
「恋ってそういうもんじゃないから。気づいたら好きになっちゃうもんなの」
そう思いたくなかったけど、そうかもと思ってしまった。
「伊藤さん。話があるから、放課後、体育館倉庫に来て」
「分かった。戸澤くん」
それから3ヶ月後、私の思いには冷夏に言えないまま大きくなっていた。
そしてなぜか、戸澤くんは私によく話しかけてくれていた。
その日の放課後、私は言われた通り体育館倉庫に来た。
「伊藤さん。僕と付き合って。」
私はその言葉に涙が出た。
「やめてよ戸澤くん!」
私は逃げてしまった。
私も好き、そう伝えたいけど、好きになっちゃいけない。
私にとって自分の恋より冷夏の恋の方が大事なはず。
冷夏を傷つけるのも、冷夏が友達じゃなくなるのも嫌。
それに、戸澤くんに嫌われるのも嫌だ__
1010文字
すごい長い