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友達作り⑰告白大作戦⁉
星
あの事件から数日。教室には、いつもと違う賑やかで温かい空気が流れていた。奈々と佐藤くん、そして空ちゃんを合わせたゆいたち7人のグループは、すっかりいつも一緒に過ごす仲良しメンバーになっていた。「空ちゃん、今のトランプ絶対ズルしたでしょー!」「ふふん、ズルじゃないわよ。実力よ、実力。私はトランプの王様だからね。」楽しそうに笑う空ちゃんの顔には、あのトープの薄暗い場所にいた頃の冷たさはカケラもなかった。そんな様子を、教室の入り口からじっと見つめている一人の男子生徒がいた。2組の李央(りお)くんだ。李央くんは、ずっと前から空ちゃんのことが好きだった。みんなに「天野様」と無理やり呼ばせて、ツンツンと尖っていた頃の空ちゃんも知っている。でも、本当は寂しがり屋で、誰よりも不器用なだけだって、李央くんだけは気づいていたのだ。そして最近、1組の奈々たちと友達になって、心からの笑顔を見せるようになった空ちゃんを見て、李央くんの恋心はもう爆発寸前だった。(今の、めちゃくちゃ可愛い空ちゃんに……自分の気持ちを伝えたい!)そう決意した李央くんは、ある日の放課後、意を決して1組の教室に残っていた奈々と佐藤くんのところに駆け込んだ。「お願いだ! 二人に協力してほしいことがあるんだ!」いきなり教室に入ってきた李央くんに、奈々と佐藤くんは顔を見合わせた。「えっと、2組の李央くんだよね? どうしたの?」奈々が不思議そうに尋ねると、李央くんは顔を真っ赤にしながら、拳をぎゅっと握りしめて叫んだ。「俺……空ちゃんのことが好きなんだ! だから、空ちゃんに告白したい! 『告白大作戦』に協力してくれ!」「ええっ⁉ 空ちゃんを⁉」奈々は思わず目を丸くした。隣にいた佐藤くんは、「へえ、物好きな奴もいるもんだな」と言いたげにニヤリと不敵な笑みを浮かべた。「いいぜ。あいつがまた一人でウジウジ悩む前に、お前がバシッと男を見せてやれよ」「佐藤くん……! ありがとう!」「よし、私も応援する! 一発で大成功させよう!」奈々の抜群の推理力と計画性、そして佐藤くんの頼もしいサポートにより、放課後の『告白大作戦』が始まった。奈々は、それとなく空ちゃんを「ちょっと忘れ物しちゃって、付き合って」と、夕日の差し込む静かな中庭へと連れ出した。「もう、奈々ちゃん、忘れ物なんて珍しいじゃない」不思議そうに歩く空ちゃん。中庭の大きな木の下に差し掛かったとき、奈々は「あ、やっぱり教室だったかも! 先に行ってて!」と、わざとらしくその場を走り去った。「えっ、ちょっと奈々ちゃん⁉」一人取り残された空ちゃんがオロオロしていると、木の後ろから、ガチガチに緊張した李央くんが姿を現した。「あ……天野、さん」「え? 2組の、李央くん……? どうしてここに?」夕日に照らされた空ちゃんがあまりにも綺麗で、李央くんの心臓は破裂しそうだった。でも、奈々と佐藤くんが背中を押してくれたことを思い出し、李央くんは一歩前に踏み出した。もう人見知りなんてしていられない。「俺、ずっと前から、君のことが好きだったんだ!」「え……っ」空ちゃんが驚いて息をのむ。「みんなに冷たく当たってたときも、本当は君が一人で寂しがってるの、分かってた。でも、何もできなくて悔しかったんだ。最近、1組の奈々ちゃんたちと笑い合ってる君を見て……本当に、心から可愛いなって思った。俺、君のその笑顔を、これからずっと隣で守りたい! 俺と、付き合ってくれませんか!」真っ直ぐに、一文字も噛むことなく、李央くんは自分の想いをすべてぶつけた。静まり返る中庭。空ちゃんは赤くなる顔を隠すように両手で顔を覆ってしまった。拒絶されたのかと李央くんの体に緊張が走る。しかし、指の隙間から見えた空ちゃんの瞳には、大粒の涙が浮かんでいた。でもそれは、悲しい涙ではなかった。「……ずるいよ」空ちゃんがか細い声で呟いた。「私、あんなに最低なことばっかりしてたのに……そんな私のこと、見ててくれた人がいたなんて……」空ちゃんは手を下ろし、夕日よりも真っ赤な顔をして、でも、今までで一番輝くような満面の笑顔を李央くんに向けた。「よろしくお願いします……っ! 私で、よかったら!」「……! やったぁぁぁ!」李央くんは飛び上がって大喜びした。遠くの校舎の陰からその様子を覗いていた奈々と佐藤くんは、お互いに顔を見合わせて、パチンとハイタッチを交わした。「大成功だね、佐藤くん!」「あぁ。一発で決めやがったな、あいつ」中庭では、恥ずかしそうに、でも嬉しそうに手を繋ぎ合う李央くんと空ちゃんの姿があった。またひとつ、新しく生まれた大切な絆。みんなで手を取り合って進む私たちの未来は、どこまでも眩しく、きらきらと輝いていた。