公開中
異変の元凶
「ふふふ、なんの用?」
上品で気品があって、どこか鼻につく声。
彼女こそが、最高管理神・百万命だ。勿論、倒すことは限りなく不可能だ。泡影界にいるすべての人が戦って、ようやく勝てる。そんなレベルだ。
命は魂のネックレスをいじくっていた。彼女にとって、百もある魂の重みは軽いのだろう。
「この異変の元凶め。今、神であろうと、穢れを払ってくれるわ!」
「神をも脅かす魔法の力、今、見せつけてやる!」
「「飛魔|天翔ける煌光《スカイブラスト・ビーム》!!」」
一緒に飛び立ち、ぐるぐると命の周りを囲む。ビーム状の弾幕を命へ向かって放つ。
「へぇ…。アストレアが通しただけあるわねぇ。でも、そんなのじゃわたしの魂、刹那も削ぐことはできないわ。こんな奴相手に本気出すなんて、馬鹿げてるわね」
「はぁ…!?」
ムカつく!なんなの!?本当、どうかしてるっ。
「落ちついて。ふふ、こんな幼稚なことに乗ってくるのねぇ。まあいいわ。この異変の元凶はわたしよ。近頃、異変続きでしょう?神が怒っていることに気づけば、ちょっとは収まると思ったのよね。…戻しておくわ。さあ、ゆっくりお眠り」
---
---
「む…」
「ふふ、ごめんなさいね。やっぱり、貴女たちの結論に納得がいかなくて」
「幻夢…?」
命とはまた違った、胡散臭い声。
「起きて。貴女ぐらいよ、幻じゃないのは」
重い目をこすりながら、わたしは起き上がる。どこまでも続く暗闇に、真上に小さなランプがともっていた。
「幻夢…一体どうしたのよ。紅は?」
「貴女が出した結論に納得がいかなかったの。この世で1番強いのは命だって。そんなの、納得いかないわ。わたしの能力は___」
「___幻を操る程度の能力」
幻。
「落ちこぼれ魔法使いさんだって、光と闇の幽霊さんだって、バカな妖精だって、百の命を持つ神だって、すべて、他の世界では幻に等しいわ。そんな中、貴女たち人間は、定説として存在している世界がある。他はすべて、異説にもならないくらい、信じられてないの。百の命を持つ神___幻を生み出したのはわたしよ。人間以外、わたしの支配下にあるの。ふふ、伝えたいことは終わったわ。さあ、元の世界に戻って」
よくわからない。でも、なんだか眠くなってきた____
---
「由有っ」
「あ…紅。おはよ。あんた、幻だってさ」
「はあ?あたしが?」
泡影界を支配しているのは命ではなく、幻夢である。
それを、とにかく伝えたかったのだろう。