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スパイ課、三丁目 第1話:「眉毛に、異変あり」
都内某所にある、築60年の情報機関「スパイ課・三丁目」。 今日も、職員たちは誰にも見られていない…ようで、実はよく野良猫に見られている。
庁舎の給湯室。主人公・結城レン(方向音痴スパイ)は、紙コップ片手に麦茶を飲みながら、ぼーっと天井を見ていた。
ユカリ(副官):「仕事中に麦茶1杯はいいけど、3杯目からは勤務怠慢よ」
レン:「これは“任務前の精神統一”です」
すると、給湯器の横に置かれた段ボールから顔を出す、部長・松本。
松本:「眉毛だ」
ユカリ:「え?」
松本:「市長の眉毛が、昨日と比べて0.3度傾いているそうだ。これは国家レベルの異変とみなす」
ユカリ:「それ…誰の報告ですか?」
松本:「眉毛調査係の初音だ。彼女は世界で一番眉毛に詳しい」
任務名:「市長の眉毛、異常角度の原因を探れ」
ユカリは庁内の倉庫から、今日使うガジェットを取り出してくる。
本日の秘密道具(ガジェット)
眉エッセンス検査薬:見た目は香水。眉毛用アロマに反応して色が変わる
ゼロのスカーフ(犬用センサー):敵の動きや異常エネルギーに反応。今回の任務は「眉」に関連するため、黄色に点滅している
段ボール迷彩装備:部長愛用。庁舎のどこに置いても違和感がないため、隠密行動に最適。今回は使わないが、本人が着用中
レンは、担当エリアである「マユげ関係店舗」へ向かうが、当然のように迷子になり、 目的地の「眉Styleサロン」ではなく、隣の「マユげカフェ」に入ってしまう。
店員:「おすすめは“眉アロマティラミス”です!」
レン:「眉…食べちゃっていいの?」
レンは店員と話すうちに、奇妙な話を耳にする。
店員:「最近、眉サロンで使われてるこの香り、変わってきたんです。毛の流れが逆になるってウワサで」
レン:「逆って…右眉が左向く感じ?」
店員:「そうそう。しかも、この香り――ラベンダー強めで、なぜか眉毛が光る人もいたんですよ」
そこでゼロ(犬)が「ワンッ」と低く吠えた。スカーフが黄色から赤に点滅!
ユカリ(通信):「赤って…ウイルス反応!? もしかして、そのアロマ…!」
レン:「眉エッセンス検査薬、今使ってみる!」
検査薬を香りに近づけると――液体が紫色に変化。 MAYUGE-X(眉毛ウイルス)の改良版に反応あり。静かに事態は深刻になり始めていた。
市庁舎の個室。市長が眉毛メンテを受けようとしているそのとき、レンたちはサロンに到着。
ユカリ:「あのラベンダーアロマ、使われてませんか?」
サロン店員:「ええ、今日から新しく導入しまして…香りは、ちょっと…強いかも?」
レン:「それ、危険なんで一旦ストップで!」
ゼロが店内に入り、眉アロマの瓶を見つけると、静かに前足でタップ。スカーフが赤く光る。
ユカリ:「ウイルス反応確定。眉に使用すると、数秒で左右の非対称が限界値になる可能性が」
市長:「それは困るな…ポスター撮影、明日なんだ」
瓶は慎重に密封して回収。騒ぎはなく、誰にも気づかれないまま、眉毛は守られた。
庁舎に戻ったレンが言った。
レン:「任務としては地味だったけど、今までで一番眉毛を真剣に考えたかもしれない」
ユカリ:「そうね…私は正直、ティラミスの方が印象深かったけど」
松本部長(段ボールの中):「眉毛は、静かに世界を変える。わが国の“顔”だからな」
ゼロ(犬)は、スカーフをグレーに戻しながら、のんびり丸くなっていた。
またおかしなの始めちゃったけど今回は終わる見込みがあるから平気だよ