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ボクだけのキミ、愛す。 #5
朝の教室。
窓から差し込む朝日が、机の上の教科書を優しく照らしている。
望月結は、手のひらで顔を支えながらぼんやりと外を見ていた。
クラスメイトたちの声や笑い声が遠くで響いているのに、結の心はどこか遠くにあった。
(私は、本当にこれでいいの?)
昨夜の罰の重みが、まだ身体の奥にずっしりと残っている。
「結、おはよう」
隣の席の友達、ひよりの声で我に返る。
「おはよう、ひより」
ひよりは結の顔を覗き込み、不安そうに眉をひそめた。
「最近、元気ないよ? 司くんのこと、無理してない?」
結は微笑もうとしたけど、笑顔はどこかぎこちなくてすぐに消えた。
「ううん、大丈夫」
それでも、心の中はザワザワと落ち着かなかった。
放課後、屋上。
結は深呼吸をして、重い足を引きずりながら屋上の扉を開けた。
そこには、すでに司が立っていた。
夕陽が彼の横顔を照らし、影を長く伸ばしている。
「遅かったな」
司の声は冷たく、しかしどこか心配げな響きを含んでいた。
「ごめんなさい……」
結は俯き、声を震わせた。
「今日の罰は覚えているか?」
司は結の肩に手を置き、じっと見つめる。
「はい……司くん」
「お前が俺のものだということを、常に忘れるな」
その言葉に、結は小さくうなずいたが、胸の奥がぎゅっと締め付けられるようだった。
(苦しい。でも、離れられない)
「俺はお前を守る。だが、お前が他の誰かと関わるのは許さない」
司の手が結の髪を撫でる。
その冷たさに、結は震えながらも心が少しだけ安らぐのを感じた。
その夜、結はベッドに横たわり、天井を見つめていた。
「私は本当にこれでいいの?」
涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。
しかし、その涙の裏側で、司の言葉が反響している。
「お前は俺のものだ。誰にも渡さない」
結は目を閉じ、深く息を吸った。
(どこかで、私はそれを求めているのかもしれない)