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伍
りうら達がいなくなった音の国は、大混乱に陥っていた。
彼らがいなくなった後、数週間はなんとかなったのだが、書類が次第に溜まり始め、ないこは慌てて書類係を用意した。りうら、こったろ、すち、みつばの次に頭が良かった、如月ゆう、暇72、if、ないこが溺愛していた愛と舞の5人に書類を任せたのだが、これが間違いだった。
りうら、すち、こったろは真面目で、みつばがいたおかげで、ものすごい速さで書類の提出が終わっていた。ところが、ゆうはタイピングが遅く、暇72は遊んでばかり、ifは日本語が間違いだらけ。愛と舞は頭が悪く、まともに仕事が出来ず、書類は貯まる一方だった。
ないこ「まずい・・・。このままじゃ、音の国が!」
LAN「ないこさん!どうするんですか!?」
こえ「思えば、みつばが出て行ってからこんなことに・・・」
ないこ「こうなったら、こえとみつばのヨリを戻して、こっちに戻ってきてもらうしかない!」
ないこ、こえ、LANは、みつばの故郷である時の国ヘ向かった。
かなめ「音の国のないこ総統。こんな所まで何のご用ですか?」
ないこ「実は今、うちの幹部のこえに婚約者を探しているんです」
かなめ「・・・それで、うちの幹部候補生や妹の中から、1人くださいと?」
ないこ「そうです。かなめ総統の妹様である、みつばさんを婚約者にしたいのです」
かなめ「なるほど。他の女性ではいけないのですか?」
ないこ「はい。彼女は優秀ですから、こえに相応しい女性なんです」
かなめ「わかりました」
満面の笑みを浮かべるかなめ。それを見たないこは「ありがとうございます!」と言いかけたが、かなめが放った次の一言で、さあっと青ざめた。
かなめ「出来ません。」
かなめは笑ったまま、淡々と答えた。
ないこ「な、何故ですか!?我が音の国は大国・・・。玉の輿なんですよ!?」
かなめ「大国なら情報が入ってくるのも早いと思ったんですがね。知らなかったんですか」
ないこ「え・・・?何が、ですか!?」
かなめ「みつばはとっくに、しのと婚約しています。来月には結婚式もあげますし、自分の実力だけで幹部にまで成り上がってますよ」
隣で黙って話を聞いていたこえとLANは、あからさまにショックを受けていた。
そこに、みつばとしのが帰ってきた。
みつば「こ・・・こえくん!?それにないこ総統とLANさんまで・・・。今更何のご用?」
その途端、こえはみつばにしがみついた!
みつば「きゃあああ!?何なの急に!?」
こえ「お願いみつば!そいつと婚約破棄して、僕と再婚して!」
みつば「は!?嫌よ!どうして私が愛してる人と別れなきゃいけないの!?」
みつばは抵抗した。
こえ「なんで!?みつば、僕のこと支えたいって・・・」
みつば「確かに支えたいとは言ったけど!私があなたと婚約したのは、あなたに憧れてたからよ!みんなを笑顔にしてくれて、人一倍頑張ってる。私もあなたを応援したくて婚約したのよ!」
こえ「ええええ!?僕のこと好きだったんじゃなかったの!?」
みつば「今回のは政略結婚じゃない!私だって、本当は親友のしののこと心配だったし・・・。それでも音の国に残ったのは、友達になったすっちー達がいたからなの!」
こえ「う・・・嘘・・・」
みつば「もういいでしょ!?離して!」
みつばはこえを振り切り、泣きながら部屋へ戻ってしまった。