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第十五話
イツキ「黒宮くんおひさー。元気にしとった?」
朗らかに笑った青年が入ってきた。友好的なはずなのに、何処か胡散臭く感じるのは狐のような顔のせいだろう。たぶん。
黒宮「なんで来たんだ」
イツキ「暇やし。えーやんかー。有料で役に立つで⭐︎」
如月「お掃除屋さんより胡散臭そー…」
三鷹「人は見かけによらぬものって言うけど…」
黒宮「中身も胡散臭い奴だが」
イツキ「酷いわー。可愛い後輩虐めんとって」
三鷹「アンタもクロミヤちゃんの後輩なんだ。…やっぱりあの大学、殺し屋専用じゃないの?」
イツキ「あー、確かに殺し屋多いわ。水母くんとか東くんとか白杜ちゃんとか」
如月「水母ちゃんは知ってるけど、残りの2人誰?」
三鷹「東は割と最近入ってきた殺し屋。白杜ちゃんは3年くらい前からいるけど、最近はあんまり聞かないわね」
イツキ「死んだんちゃう?」
如月「うわぁ業界って厳しい」
この業界では、大抵の新人が2、3年で潰れていく。
黒宮や水母は割と長く続いている方だ。
黒宮「用がないなら帰れ」
イツキ「そんなに俺のこと嫌いなん?w」
三鷹「まあ、2人とも敵は多そうよね」
如月「あ、なんかわかるかも」
三鷹「勿論アンタも」
如月「あっはい」
世の中、美人に敵はいないらしい。どんな世の中だ。
イツキ「んで、その生首くんの件なんやけど」
黒宮「砂海だ」
イツキ「なんでそここだわるねん。まあ、確かにこれ生首やないけど」
如月「え?体ついてた?」
イツキ「生首って、切り取って間もない首やで?何時間も経っとるやないか」
如月「勉強になりまーす」
イツキ「まあ、砂海くんのことなんやけど、多分これやないかって死体がみつかっとるねん」
黒宮「それを早く言え」
イツキ「えーやん。…で、その死体、会社の方で照合してみるらしいんやけど、死因とか報告いるか?」
三鷹「お願い。犯人の手がかりとか残ってたら、それも」
如月「凶器もわかったら教えてほしいな〜」
黒宮「もしスマホやらが残っていたら解析した情報もくれ」
イツキ「要求多いわw ま、わかったら連絡するから、俺は帰るで。あ、請求書は後日〜」
こうして嵐は去って行った。
如月「サラッと追加注文しちゃったけど、三鷹ちゃんお金大丈夫?」
三鷹「大丈夫よ。保険に入ってるし」
如月「え?保険?」
三鷹は書類を出してきた。
三鷹「『仕事』の関係で日常生活を阻害された場合、最大100万円の補償があるの」
如月「待ってそれ俺も入りたい」
三鷹「定職についていないからダメ」
如月「思ったよりちゃんとした制度じゃん笑」
三鷹「社長だから」
如月「社長ってそんなすごい人だっけ?」
三鷹「社長のおかげで食べていけてるでしょ」
如月「そうだっけ…」
黒宮「…一つ気になることがあるんだが」
三鷹「どうしたの?」
黒宮「なんでアイツは動いたんだろうな」
三鷹「…イツキちゃん?」
如月「引きこもりじゃないし、外に出ることだってあるんじゃない?」
黒宮「自宅の住所も聞かずに御魂さんの家に来たんだ。おかしくないか」
如月「その辺は…情報屋だし知ってるとかありえるでしょ」
黒宮「らしくないな、と思うんだが」
三鷹「普段は、こう…調べた情報を私情で使わないタイプなの?」
黒宮「ああ。そもそも、調べることはほとんどしない」
如月「宮ちゃんの考えすぎじゃない?宮ちゃん、こういう勘当たらないでしょ」
三鷹「探偵として致命的だけどね」
黒宮「運がないんだ、多分」
如月「ジャンケン最弱だしねぇ…」
三鷹「話が逸れたけど、イツキちゃんが今回のことに関係してるって思うの?」
黒宮「…砂海が最後にカメラに映った地点、工場が近いんだ」
如月「そうなの?あんま神戸に土地勘なくてわかんないなぁ」
黒宮「あそこから400mほど先に水嶋製作所がある」
三鷹「水嶋ちゃん?」
如月「他のところに行った可能性もあるけど」
黒宮「水嶋のところに行った可能性もある。水嶋は、イツキの知り合いというか…」
三鷹「水嶋ちゃん、大学入ってないよね。仕事で知り合ったの?」
黒宮「小学校と中学校が同じらしい」
如月「幼馴染ってこと?」
三鷹「まさか、水嶋ちゃんが殺したことを庇っていて、アタシたちがそれに気づいてないか探りに来たって考えてるの?」
黒宮「そんなところだ」
長くなってすみません
展開に悩んでいます
どうしても謎解き(?)シーンが多くなりがちで…