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恋
ずっと、恋に憧れていた。
恋をしている女の子は輝いて見えた。ドキドキして可愛くなろうと努力して、相手を振り向かせる。時には胸が苦しくなることもあるかもしれないけど、それを乗り越え、そして両思いになった時、幸せは絶頂に達するのだ。
ずっと、恋をしたいと願っていた。
私も普通の女の子みたいに、誰かに恋をしてドキドキしたい。両思い、にはなれなくても。片思い、で終わってもいいけど。みんなと恋バナをしたりしちゃって、楽しんじゃって。この思いを、友達と共有したりして、キャーキャー言ったり慰め合ったり。
恋っていうのは、日常が非日常になって、私が私じゃなくなって、世界がキラキラして見える。
そんなものだと思ってた。
でも、現実はそんなキュンキュンするようなものじゃなくって。
恋をしたって相手を振り向かせたいなんて思えなくて。もちろん相手と両思いにはなりたかったけど、私には無理だと決めつけてしまう。
ドキドキなんかよりも、胸が苦しくなることの方が多い。
ワクワクなんかよりも、現実に絶望することの方が多い。
相手の嫌なところを見たら、想いなんてすぐに冷める。
そのたび、私の気持ちってその程度なんだって、悲しくなる。
そして、気がつく。
私はそもそも、相手のことを好きじゃなかったんだって。
好きだと、思い込んでただけなんだって。
みんなみたいに、誰かのことを好きになれないんだ、って。
普通の女の子みたいに、誰かに恋をしてドキドキしたい。