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【プロローグ】 待ち人
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辻村視点
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突然だが、俺は人を待っている
来るわけないと分かっていながら、どうしても¨そこ¨に足が向かってしまうのだ
こういう雨の日は特に
馬鹿らしいだろう?
とっくにあいつは死んでいるというのに
傘を差してボーッと川を眺める
最後にあいつを見たここでなら、また再開出来る気がしたんだ
ところでこんな歌を知っているか?
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今日もまた五月雨
あの人を晴らして
守れないはがゆさ募る
例え二人を繋ぐ関係が
儚い偶然だとしても
側にいてそっと見つめていたい
つないだ指先はずっと
夜空の月輪が
照らした一本道行きましょう
笑顔で通りゃんせ
待ち人来ないならば来る日まで
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いい曲だよな
来るわけない人を待ち続けてる曲
今の俺はそれと同じってワケだが…何も嬉しくはない
逆に悲しくなる
おっと…そんなの考えてるあいだに晴れたな
太陽の光が出てきて、輝き始める
「帰るか」
いつまでも|過去《この場所》に縛られるつもりはない
帰ろう。
あいつらの待つ我が家に
…ま、あいつらのことだ。
きっと俺のことなんて待ってなさそうだけど
フフッ。世の中こういうことあるからな
ちなみに曲は豚乙女さんの【待チ人ハ来ズ。】です。
知ってた?