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2 忘れたかった現実
もふ「ん?なんか泣き声が・・・」
図書館の担当だったもふは、中から泣き声が聞こえるのに気がつき、そっと覗いた。
もふ「ちょっ、さくら⁉︎なんで泣いてんの⁉︎」
さくら「え?あ・・・。すみません、この本に感動しちゃって」
さくらは咄嗟に別の本を取り出し、見せた。
偶然にも、それは感動ものの小説だった。
もふ「あー、なるほどね。よかった、なんか怪我したのかと思った」
もふは特に気にせず、図書館を出て行った。
サクラ「ヒメユリちゃん!絶対助けるから!」
『いや、いい。もう私は助からない』
サクラ「そんな!みんなで生き延びようって決めたじゃん⁉︎」
『サクラ、わかってくれ。私は・・・君達をこの手で殺したくないんだ』
サクラ「いや、いやあぁぁぁぁぁぁ!ヒメユリちゃん!ヒメユリちゃぁぁぁぁん!」
?『もう無理よ!早く諦めて!』
サクラ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!嫌だ!死なないで!」
`どこにも行かないで!`
あの日起こった悲劇を、サクラは忘れていた。
受け入れたくない現実だった。
忘れていた方がよかった。
あの日、サクラが誰よりも仲良しだと思っていた親友・ヒメユリは、
サクラの目の前で、化け物になった。
そしてそのまま、名前もわからない仲間達に討伐されてしまったのだ。
さくら「ヒメユリちゃん・・・ごめんね。助けられればよかったのに・・・」
サクラは後悔するばかりだった。
そして翌日、さくらはいんくのスタッフ2人と会うことになった。
じゃぱぱ「ふうはやさん、どうも!」
ふうはや「いえいえ!こちらこそ!」
さくら「初めまして、春野咲良です」
ふうはやの後ろから出てきたスタッフを見たさくらは、息を呑んだ。
なずな「あ、えーと・・・城山なずな、です」
すみれ「青井純恋です。よろしくお願いします」
さくら「3人だけで話したいので、お二人とも外に出ててもらえますか・・・?」
じゃぱぱとふうはやが出て行った後、さくらはやっと思っていたことを口にした。
さくら「ナズナにスミレ・・・⁉︎2人ともいんくのとこにいたの⁉︎」
すみれ「それはこっちのセリフよ!スタッフは記憶を失ってるって聞いていたのよ」
なずな「やっぱりヒメユリのこと、か・・・?」
さくら「うん、思い出さない方がよかったかもしれない・・・」
すみれ「サクラ、ヒメユリには特に懐いてたものね。大切な友達をあんな形で失うなんて、記憶喪失になるのも理解できるわ」
さくら「他の仲間もいたよね。ヒマワリやアヤメ達は・・・?」
すみれ「みんなネットで見つけて、LINEも交換したわ。いつでも連絡できるわよ」
さくら「スミレすごーい!」
なずな「とりあえず、あまり長々と話をするのもまずい。聞かれる前に切り上げるぞ」
さくら「そうだね」
裏話
ヒメユリという名前は、修学旅行の行き先が沖縄であることから思いつきました。
平和学習をしたことある人なら、何が由来かわかりますよね・・・?
すみれのキャラデザ
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