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転生級の事態が起きたら、苦労もありつつ幸せになりました。【前後編合体版】
夢は、みんなに自分の想いや願い、歌を聞いてもらって、誰かを幸せにする事……
それを目標に初心者ながらも、ソロの歌い手をしてる。
そうは言っても、人間欲があるから東京ドームでライブできたらなぁ、誰からでも愛される人気者になれたらなぁなんて思ったりして。
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見渡す限りペンライトの海。野球好きの自分には見慣れた場所。そう、東京ドーム。
でも、なんで自分がここに?だけど、「なぜ?」「なんで?」を繰り返すだけじゃ始まらない。
ただ仲間と、リスナーさんと歌ってる。ただ楽しい。それを共有出来るだけで嬉しい。そして自分の「歌を聴いてもらって誰かを幸せにする」と言う夢も叶っている。
単純計算東京ドームのキャパが5.5万人だから、それくらいの人に愛されて、会いに来てくれる人がいる。(色んな事情で会場に来て居ない人もいるだろうから、もしかしたら5.5万より多いのかも…)
誰からも愛されなくて、せめてネット上で仲間が欲しくて、配信者を始めた。
しばらくして配信を見てる人が増えてから「誰からも愛されない」と言う思いがなくなって、今度は逆に救いのない人の救いになりたいと思った。一回歌を歌う企画をしたら、自分のことを知らない人だって「いい声ですね」「あなたの歌声が好きです」って言ってくれた。だから配信もしつつ歌い手活動もする様になった。誰かに歌を受け取ってもらえるように。
この世はなる様になってる。
このきっと今の努力も、近いうちじゃなくても報われるんだ……
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はぁ。夢だったのか。あれが現実であればよかったのに。
時間は6時だった。毎日バイトと歌い手を両立させているから結構忙しい。でも楽しいから良いけど。
バイトは9時から7時まで。色んなバイトを1日でやる。
配信できるかな……
ボーっとしながら○witterをいじっていたらDMが来ていた。
ファンの方からかな。結構DMで思いを送ってくる人も少なくない。
予想は外れた。
自分より少し有名で、配信歴も先輩の方からのDMだった。
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〜〜さんへ
あなたと一緒に歌い手グループを組みたいです。
あなたの他に数人誘いました。4〜6人程度のグループを作る予定です。
興味があったら返信してください。
返信をくだされば、改めて具体的な内容を送ります。
よろしくお願いします。
〜〜より
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何がなんなの?なんでいきなり自分に、歌い手グループに入らないって言うDMが来るの?疑問しかない。
自分でもその人のことを知ってるくらいの相手なのに、なんでグループメンバーに自分?
正直入る気はなかった。自分はソロ活動で生きていくって勝手に考えてたから。でも勝手に考えていた「だけ」だった。数日前の自分だったら不審にしか思わなかっただろう。
自分はあの夢をはっきり覚えてる。自分はソロの歌い手だったはずなのに、一緒にステージに立った仲間がいた。
それはなんらかの形で神様がしてくれたお告げだろう。
自分は決めた。どうなったっていいから、支離滅裂でもいいから、この人について行ってみよう。
それと同時に自分の終わりも決意した。グループは絶対10年は続ける。でも、そこまでやって東京ドームに立てなかったら、満員にできなかったら……歌い手をやめよう。ソロ活動までサッパリ。
逆に、10年以内に自分の憧れの舞台を満員にできたら一生そのグループのメンバーとして生きていこう。
この決断が人生をどう左右するか、今の自分はもちろん知らない。
それはこれからの成果で結果を出していこう。
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誘われて始めた歌い手グループが、結成してから数ヶ月が経った。
そりゃそうだという感じだけど、世界はそう甘くなく、イージーウィンなんてものはない。
正々堂々、コツコツと動画の投稿、小さなライブハウスでもライブ活動、そして色々な方からの信頼を積み上げて行くしかない。
まぁ、グループに入ったからって能力が変わるわけではなくて。
むしろ自分の歌の実力、ダンスの実力の低さに勝手に仲間と比べ、打ちのめされた。でも、グループのメンバーはめっちゃ個性があって、一緒に配信してるのも、動画撮ってるのも楽しい。それに、それぞれのやり方でリスナーさんを楽しませてようとしていて、動画を1人のリスナー目線で見るのも面白いことに気がついた。
最近、生活は大きく変わった。大物歌い手などだと、忙しくて配信が少なくてもリスナーさんは付いてきてくれる。それは、サボっても良いっていう意味じゃなくて、信頼があるから。
言ってしまえば自分達ははじめの一歩をやっと踏み出したくらいのグループで、沢山配信して「好きだな」「面白いな」「推したいな」と思わせないといけない。そのキッカケを少しでも増やそうと、毎日誰かしらが配信をする様にしている。グループの時間、タイミングに合わせてるからバイトの数は減った。
それでも、誰かを幸せにするため、そしてこの仲間達と夢の舞台に立つため。最近はお茶を投げてくれたり、スパチャをしてくれる人もソロ活動時代より大きく増えたと思う。
どうなったって夢は変わらない。
生活は変わったけど、性格や能力は変わらないわけで、どんな所にいても、どうしていても、自分は自分なんだ、このグループはこのグループ。僕らは僕らなんだと思えた。
これから忙しくなってくると…思う。それでも変わらずに、全力前進、自分は自分で頑張っていこう。
これから絶対にこの夢は捨てない。
いつか世界でも愛される様なグループになってやる。
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〜数年後〜
「絶対勝つぞ!」
『お〜!!!!!!』
あと数分で夢の舞台東京ドームに立つ。
座席は見事に……sold out。
結成9周年を迎える少し前、チャンネル登録者が爆発的に増えた。
キッカケは、普段の生配信でふざけて「1週間リレー生やるか!」って言ってたら、本当に200時間近くのリレー生をやっちゃった事。調べても自分達より長い時間リレー生をやったグループは見当たらなかった。
そこからテレビに出たり、どこかとコラボさせて頂いたり、イベントのお誘いがあったり……
言ってしまえば、かなり人気者になった。これは自分達の実力、思い、願いで掴んだものだ。
でも、もう結成から9年と3か月程経っていた。少し前まで正直東京ドームは無理だと思ってた。就職も考えた。
結成9周年に発表した東京ドームライブ。前から自分は「東京ドーム満員にする!」って言い張ってたから、それを見たメンバーがサプライズ発表をしてくれた。その時、涙が溢れた。東京ドームに立てる嬉しさもあったけど、ただ伝えるのではなく、サプライズで伝えてくれるようなメンバーの優しさにも。
改めてこのリーダーに付いてきて、このグループにいてよかったと思った。
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東京ドームライブが終わり、初めて日本を出てライブをした。
5大ドームツアーや海外ツアーだってした。
47都道府県全て回り、多くのリスナーさんと会った。
今までやっていた事が忙しくてできなくなったり、辛い事があったりもした。炎上が日常茶飯事だった時期もあったし、挫けそうになったりだってした。でも、何度だって壁を乗り越えてきた。
これは、このグループのメンバーでいたから乗り越えていけたのだと思う。
多分1人じゃ耐えきれなかったし、支えてくれる人がいなかったら色々あってもっと早く死んでた可能性だってある。
今、グループでこの世に残されたのは自分1人。
メンバーは…………自分より先に逝ってしまった。
30歳くらいで叶えた念願の東京ドームライブから……約70年が経っていた。
世界中に幸せや楽しい届けられただろうか。トリコにできただろうか。
|あっち《天国》に行っても、転生しても、メンバーと一緒にいたい。
また、こうやって歌い手をやっていたい。
どうなってもいいから、またあのメンバーで笑い合っていたい。今世の様に上手くいかなくてもいいから。
「それは転生の絶対条件ですからね。」
そっと神様に告げた。
どこからともなく包み込むような、暖かい笑い声が聞こえた気がした。
神様が願いを聞き入れてくれたかな。それとも、過去の自分達かな。来世の自分達かな。
自分は微笑みながらゆっくり目を閉じた。
めでたし。
END.