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君に、恋する。(7)
私、菜乃葉。
「杉本 蓮」くんに恋をした小5女子。
この前、猫を飼ったの。
それで、杉本くんも猫を飼ってるらしいから、話そうとしたら…無視、されたんだ…
すごくショックで、それから杉本くんとは話せなかった。
そして今日は、日曜日。
あれから杉本くんとはずっと話せず、そのまま休日になった。
もう、チャイを迎えてから1週間。
そして___杉本くんと話せなくなってから、5日目。
私は、杉本くんのことの気晴らしのつもりで、家の周りをあてもなくふらふらと歩いた。
「はぁ…」
無視された日から、何度ため息をついたのだろうか。
もう数え切れないくらい、「はぁ…」って言った。
しばらくすると。
どこからか、こんな声が___
「…ミャアッ…ニャ、ニャァ…」
か細い猫の鳴き声が聞こえた。
弱ってしまい声を出すのも精一杯、って感じの声。
「え…あっ!」
猫が居た。
すぐそこのゴミ捨て場のところに。
きっとエサがなくて、ゴミをあさってでも何か食べ物が欲しいのだろう。
手元のカバンに、非常用のタオルがあった。
それは、よく急に雨が降った時に体を拭いたものだ。
まあ、しっかり洗ってあるけれど。
タオルをそーっと近づける。
その猫は、逃げる様子もなく、おとなしかった。
タオルでふわっと包んだ。
私は猫を保護したのだ。
その子は、チャイと同じ茶白の雑種猫。
でも、鼻の横にソースを垂らしたような点が1個ある。
家に一旦戻り、今度は動物病院へ出かけた。
ママが車を運転する。
「大丈夫かな…足もおケガしてるし…」
そして、動物病院で足のケガの塗り薬をもらい、寄生虫などの検査や、健康診断をした。
足のケガ以外、何も異常なしだった。
「良かった…!」
家に帰って、チャイにあげているキャットフードをあげた。
ちゃんと残さず食べてくれた。
それから、飼い主の元に戻してあげるために、チラシを作った。
何枚も何枚もコピーした。
「飼い主さんを待っている猫ちゃんがいます。」と、大きく書かれたチラシ。
他にも、「猫を保護しました。○月○日☆町で見つけました。特徴は、茶白の大人猫で、鼻の近くに茶色の模様があります。(写真)飼い主の方は、この電話番号までご連絡ください。(電話番号)」と書いてある。
明日は、学校でもチラシを配ることにした。
そして今日は、とりあえず眠りについた。
私は、今日起きたことを思い出して、なぜか笑みがこぼれていた___。