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涙。3
佐久間side
6人で暮らし始めてから早数年。
ふっかや俺辺りは大学卒業しました!
大学現役は照と阿部ちゃん。
「守るべきもの」が出来た俺は、性格が一変し、めちゃくちゃ明るく(+うるさくby阿部)なった。
楽しく、明るい日々を送っていた。
---
ある日。
照に誘われ、一緒に夕方のジョギングしていた時だった。
「----‼︎-----‼︎」
「っ、、‼︎」
大介「ねぇ照…なんか聞こえない?」
照「…確かに」
微かに眉をひそめる照。
大介「公園の方…?」
照「ちょっと行ってみるか」
休憩も兼ねて公園へ。
すると、声の主はあっさり見つかった。
公衆トイレの裏。
ガムテープだかなんだかで公衆トイレの裏の壁に括り付けられている男性…体操服を着ているから…多分中高生くらい…?と、同じ体操服の4人がそれを笑いながら見てる奴がいる。
時々、4人は括り付けられている子に蹴りを入れたり殴ったりしてる。
その度、辛そうな呻き声が聞こえてくる。
大介「典型的ないじめ、だね」
照「そっちも、だけどさ」
照が公衆トイレの奥を指差す。
指した先を見れば、壁から半分顔を出し、怯えたようにいじめを見ている人が1人。
同じ体操服。
…なるほど?
大介「助ける…?」
照「流石に見過ごせないだろ」
大介「だよなぁ」
立ち上がって近づこうとしたら、照に襟元を掴まれて引き寄せられた。
照「どう言う状況か分からないからちょっと様子見ね」
大介「…ごめん」
てことでしばらく偵察タイム。
聞こえてきた言葉は…
いじめてるやつ1「そろそろ痛くなってきたか?」
?1「うぅっ、」
いじめてるやつ2「ほらほら、早く泣けよ」
いじめてるやつ3「泣けっ‼︎」
?2「‼︎」
驚いたようにトイレの陰から
?1「むりっ、、ですっ、」
いじめてるやつ4「いいから、早く見せろ」
?1「ちがうっ、涙、、見せ物じゃないからっ」
いじめてるやつ1「はぁ?関係ねえんだよ、いいから」
いじめられてる子が、もう泣く寸前。
…涙?
見せ物?
嫌な予感がして、照を見つめる。
照が俺を見て、頷く。
照「…そこさ、何してんの?」
いじめていた4人が驚いたような、怯えたような顔をしてこちらを見る。
大介「その子、どうしたの?」
いじめてたやつ1「あ、いや…友達で、…あはは」
友達、という言葉にいじめられてた子はきゅっと顔を|顰《しか》める。
いじめてたやつ2「罰ゲームの一環です」
照「流石にさ、やりすぎじゃね?罰ゲームには見えないけど?」
いじめてたやつ3「え…いや…」
大介「ほんとそういうの辞めた方がいいと思うけど」
いじめてたやつ4「…か、関係ないじゃ無いっすか‼︎あなたたち」
照「…お前らとは思考が違うの。お前らは誰かがいじめられていても助けないだろうけど、俺らは違うから。人の心が無いようなお前らとは」
いじめてたやつ1「…チッ」
大介「ふはっ、追い詰められたら舌打ちしかできないの?」
いじめてたやつ2「…ちが、ちがっ、違うだろ、別に」
いじめてたやつ3「…もういいぜ、帰ろ帰ろ」
いじめてたやつ4「そうだな」
足早に去ってく4人。
その背中を一瞬睨んでから、いじめられてた子に目を向けた。
?1「……⁉︎…っありがとう…ございます」
大介「そっちの子もおいで」
びくっ、と驚いたようにこちらを見てきた。
大介「とにかく飲み物でも飲みな、照が奢ってくれる」
照「なんで俺?w」
大介「ひかるよろ〜」
無理矢理、照に奢らせて、混乱しているのかおろおろしている2人に飲み物を渡す。
?1「……いろいろと、ありがとうございます」
?2「…ありがとな」
大介「何があったの?」
?1「…………見ての通り、です」
照「…」
何か考え込むように顎に手を当て俯く照。
大介「怪我はない?」
?1「大丈夫、です」
照「とにかく何があったのか教えてくれる?…見ず知らずの人に言うのもあれかもだけど」
?2「…」
?1「いえいえ、助けてもらったので…。……………まぁ…いじめられてたんですけど…、…。………」
そこできゅっと唇を結んで、黙りこんでしまった。
大介「涙ってなんか関係ある?」
照「佐久間っ‼︎」
口が無理矢理閉じられた。
やらかしたー…。
昔あまり喋らなかった俺は、空気読むのは得意(なつもり)だけど、言って良いことと悪いことがすぐに判断できず、すぐ口をついて出るようになっちゃった。
これは頑張って今阿部ちゃんとリハビリ中。
しかしやらかしたー…。
?1&2「「…‼︎」」
2人が顔を見合わせて、そこから、さあっと顔から血の気が引いていく。
ほんっとうにやらかした。
大介「ごめん…」
照「ごめんな」
一緒に謝ってくれる照…神。
?1「…や、大丈夫、です…………結構前かも知れないんですけど……『涙石病』って知ってますか?」
え、まさか。
…まぁ『涙』とか『見せ物』とかいう単語が出ていた時点で予測はついてたけど。
大介&照「⁉︎」
?1「俺………その、派生版の、…『涙花病』なんです…、」
ちらっとこちらを伺うように見ているその顔には、うっすらと後悔の色が滲み出ている。
俺らの反応が悪かったかー…。
?2「俺は、…『彩涙病』なんや、」
?1「涙花病、は、涙石が…花形になって滴り落ちる病気です、」
?2「泣いた時の、感情に合わせて涙に色が付くんや、」
黙る俺たちを見て、慌て出す2人。
?1「…ごめんなさい、驚かせてしまいましたよね、……忘れてくだ」
大介&照「「そんなことない」」
?1&2「「…?」」
大介「ありがとう、教えてくれて。実はね、俺らもかかってんの」
?1「えっ」
大介「俺も照も涙石病」
照「…そう言えばさ、言ってなかったっけ。俺、晴れの日以外は涙石病じゃなくて星涙病になるの」
大介「ええええ⁉︎ねぇ、照、なんで教えてくれないの〜‼︎」
?2「…」
照「教えてたつもりだったんだけどな…、知ってるよね、星涙病ってなにか」
大介「あれでしょ?涙が星みたいに光る病気だよね」
照「そんな感じ」
?1「…お二人って一緒に暮らしてるんですか?」
大介「あぁ。…なんて言えば良い?」
照「シェアハウスで良くね?」
?1&2「「シェアハウス…⁉︎」」
大介「俺と照と〜、あとその他諸々」
照「諸々…w」
?2「いるんやな、シェアハウスする人たち…。初めて出会ったわ」
照「…もし良かったら一回来る?暇だしいいよ?」
大介「ちなみに俺ら二人以外もみんな涙石病だのなんだのかかってるから…」
?1「本当ですか…?」
?2「なんか身構えんくてもよくてええなぁ…」
大介「2人は親とかに連絡とか大丈夫なの?」
?1&2「「大丈夫です、高校生で一人暮らしです」」
息ぴったりの回答。
照「あ、そういえばさ、名前言ってないよね」
大介「俺、佐久間大介‼︎よろ‼︎」
照「俺、岩本照。よろしくね」
?1「…目黒、蓮です」
?2「向井康二やで」
蓮「康二くんさ、いつもの自己紹介しないの?」
康二「流石に年上の人にふざけた自己紹介できひんやろ⁉︎」
大介「えー、めっちゃ気になる!あ、じゃあ|家《うち》着いた時やって‼︎」
康二「え、ええん!」
大介「どーぞどーぞ」
蓮「良かったじゃん〜」
照「じゃ、行こうか」
---
蓮&康二「「家でかい…」」
大介「たーだいまぁぁぁ!」
照「ただいま」
辰哉「おかえりなさーい」
蓮&康二「「…__おじゃまします__」」
大介「大丈夫、大丈夫!そんな緊張しなくても」
亮平「早く入りな」
大介&照「「はーい」」
2人の手を引いて家の中に入った。
蓮「目黒蓮です」
康二「…みんなの万能調味料こと、塩麹よりも向井康二です‼︎」
全員(爆笑)
康二「まさかこんなに受けるとわなぁ」
蓮「意外…w」
辰哉「一家の自称・大黒柱、リアコ担当ふっかこと深澤辰哉でーす、佐久間となべと年齢同じだけど誕生日的に最年長です、覚えとけ」
照「実際にリアコ担当になってる所見たことないけどな」
亮平「覚えとけ、って自己紹介強引的だなぁ…」
辰哉「2人とも、それは言っちゃダメなやつね」
大介「はい、ってことで超絶アニメオタク兼切り込み隊長の佐久間大介でーす!好きに呼んでね」
辰哉「佐久間ってさ、好きに呼んでねってほどあだ名あったっけ?」
大介「あるよーん!さっくんに〜、…………………」
辰哉「はい無くなった」
大介「まぁまぁ、気にしないで?気軽に呼んでねっ?((((目力」
亮平「眼圧…」
翔太「渡辺翔太でーす、以上でーす」
涼太「…はい、宮舘涼太です、基本料理担当です(超絶キラキラオーラ)、よろしくね?…ついでに翔太の解説を入れると、翔太は美容オタクで勝手にこの方の化粧品を使うと明日朝を迎えられない可能性が高いので気をつけてね?…で、歌が(こう見えて)上手いよ」
翔太「要らない解説挟むなよ」
涼太「だって前、…最初の頃かな、化粧品の個人ルール説明しないで部屋に放置してたら、勝手に変な場所に片付けられて暴走してたでしょ?」
翔太「…」
亮平「ゆり組尊し…♡♡♡」
辰哉「この状況は、涼太と翔太のペア、ゆり組を強火担の阿部ちゃんが崇めているっていう状況ね」
蓮&康二「「はぁ…(この人たち結構やばめ?)」」
照「岩本照でーす、…筋トレが趣味です、あと甘いもの大好きです、以上です」
辰哉「筋トレのストイックさは、…人じゃないからその辺は覚悟しといてね」
亮平「阿部亮平です!勉強が趣味です!よろしくねっ!」
大介「はいあざとい警察でーす!」
亮平「うわ、捕まった…w」
辰哉「この子あざといから阿部ちゃん専用あざとい警察が出動してます」
蓮&康二「「へー‼︎」」
辰哉「…とまあこんな感じなんだけど」
蓮「楽しそうですね‼︎」
康二「俺も面白そうやな思ったで」
辰哉「…普通に可愛いわ、2人とも」
照「何そのコメント…w」
翔太「で、どう言う関係?」
大介「公園でね、いじめられてた子と、その友達。俺らがこの2人のピンチを命をかけて救ったぜ‼︎」
照「スーパーヒーローみたいに言うなよ…」
蓮&康二「「よろしくお願いします」」
涼太「晩御飯ちょうど用意できた所だから。…食べてく?」
蓮「いいんすか⁉︎」
康二「最近、コンビニやからなぁ、、」
亮平「あ、思ってる以上に美味しいからね」
翔太「まじ涼太の飯はうめえぞ」
辰哉「そこら辺の主婦には負けないと思う」
涼太「それは主婦の方々に失礼だよ」
辰哉「ごめんなさーい」
今日のご飯はモッツァレラとトマトのパスタ。
漂ってくる香りが良すぎる。
舘さんは昔っから料理が上手いんだよね。
蓮&康二「「いただきます」」
恐る恐る、という感じで一口食べる2人。
途端に、ぱぁっと顔が輝く。
舘さんがめちゃくちゃ嬉しそう。
一気にがつがつと食べ始める2人を6人でにこにこと見守った。
蓮「おいひい、です‼︎」
康二「ほんま美味しい‼︎」
あっという間に完食。
亮平「そういえばさ、どうして呼んだの?」
照「え、それはいじめられてたから」
亮平「それ以外にもあるでしょ。佐久間がそんな顔してる」
大介「うぇっ⁉︎」
亮平「分かるよ〜、大体」
蓮「……えっと、……涙石病の派生派、………涙花病なんです」
康二「俺が、彩涙病なんや」
翔太「お友達!」
辰哉「なべの急な5歳児発言」
亮平「分かる、可愛い」
翔太「何だと⁉︎」
涼太「落ち着こうか」
亮平「ゆゆゆゆり組♡」
大介「阿部ちゃん落ち着いて(焦)」
辰哉「んで?解説または説明お願いしたい」
照「解説と説明同じじゃね、ほぼ」
辰哉「hey Si○i、解説と説明の違いを教えて」
照「今呼ぶな」
辰哉「だってこう言うタイミングで使わないと、Si○iさん出番ないでしょ」
Si○i【『出番がない』なんて悲しいことおっしゃらないでください】
照「…まずSi○iも質問に答えろよ」
Si○i【申し訳ございませんでした。説明と解説はほぼ同義語で、説明の中に__】
辰哉「ごめん、そんな長い話は求めてないわ、じゃあなSi○i」
翔太「もう阿部に聞く方が早いんじゃない?」
Si○i【…さようなら】
涼太「なんか可哀想…」
辰哉「まぁまぁ」
亮平「涙花病は涙石病の派生版で、石が球状じゃなくて花形なの」
蓮「…おぉ」
亮平「彩涙病は、その人の感情に合わせて…例えば、悲しい時は暗い色とか、嬉し涙は明るい色、とか。そんな感じ」
康二「ようわかってんなぁ」
辰哉「うちの頭脳だからね」
翔太「で?なんでいじめられてたの?」
蓮「…っと、、」
康二「代わりに喋るな、めめ」
蓮「…あ、お願い」
康二「このな、奇病のことが周りにばれてもうてな、一目見ようとみんな集まってきたんや。…で、悪い奴はめめの涙石狙っていじめしてたんや」
亮平「…めめ?」
康二「あ、蓮のあだ名やで」
大介「えっ、かーわーいい〜!」
照「突然のギャル辞めろ」
蓮「…///」
辰哉「まさかの本人ガチ照れ」
涼太「とはいえいじめの理由酷いな…」
翔太「まじそれな」
亮平「そしてゆり組」
大介「話の流れ…w」
亮平「今日さ、供給多くて神」
照「…親とかは?」
蓮「親は、俺を気味悪がって早々に一人暮らしさせられました」
康二「俺もや」
6人「「「「「「うわっ…」」」」」」
照「…そうだ、俺らと一緒に住まない?」
蓮&康二「「へっ?」」
辰哉「たしかに」
蓮「…でも、申し訳な…」
亮平「え、全然良いよ?」
翔太「寝室まだ3つ余ってるしw」
涼太「全然構わないよ?」
辰哉「無駄に広いし」
照「無駄に広い…www」
康二「…じゃあお願いしてもええ?」
大介「もちろん!大歓迎だよ〜ん」
亮平「ここなら守ってあげられるし」
照「2人をいじめる奴が現れたら俺が…」
辰哉「ひかる落ち着こ〜」
照「ごめんごめん」
蓮「すぐはこれないですけど…2週間後ぐらいにはたぶんこっちに来れると思います」
康二「俺もや」
辰哉「じゃ、待ってるよ〜」
---
2週間後。
蓮&康二「「おじゃまします」」
辰哉「あっ、まーちがーえたー」
大介「小学生発見であります!」
翔太「小学生みーっけ!」
辰哉「5歳児発見!」
照「騒がしい…」
辰哉「…まぁ、気にしない気にしない。…で、間違えたね」
蓮&康二「「えっ…?」」
辰哉「もう|家《うち》の家族なんだから、『おじゃまします』じゃなくて『ただいま』でしょ?」
亮平「おー」
辰哉「それはなんの『おー』?」
亮平「ふっかにしては良いこと言うな、の『おー』」
大介「阿部ちゃんのディスリだ」
辰哉「なんか結構傷つく」
翔太「ぐははぁ⤴︎」
亮平「事実だもん」
照「まぁふっかにしては良いこと言ったな、たしかに」
涼太「うん」
蓮「…あの、いつもこんな感じなんですか?」
照「あー、これでもマシな方だよ」
辰哉「酷い時は酷いもんね」
亮平「…大体荒らしてるのふっかと佐久間だよ」
照「亮平もゆり組出ると暴走するけどね」
亮平「急な亮平呼び辞めて、照れる(真顔)」
翔太「真顔で照れるって言われてもなw」
涼太「たしかに、w」
亮平「あぁゆり組♡」
照「ほーら暴走始まった。…そこじゃあれだし部屋入りな」
荷物を大量に抱えてる2人を中に促す照。
亮平「そういえば部屋どこにする?」
辰哉「たしかに。空き状況は?」
亮平「えっと、3階なんだけど…、片側に5部屋、もう片側に4部屋で、5部屋側は2部屋、4部屋は1部屋空いてる」
辰哉「だって」
蓮&康二「「じゃ5部屋側の2部屋貰います」」
亮平「うん、そうしな」
って訳で無事、部屋割りも決まって、我が家の仲間入り。
阿部ちゃんの見解によると…
康二は明るい系で、最強トーク力×完璧なるお笑いセンスで、ふっか、俺の「常に深夜テンション組」仲間入りらしい。うるさい人が増えてありがた迷惑らしい。
(阿部ちゃん意外と嬉しそうだったけど)
蓮はクール正統派天然イケメンらしい。全く意味わかんない、って言ったら、
顔かっこいいしスタイルよくて、完璧に見えるのに、意外と抜けてるところがあるって。
(前にゴミ箱にスマホを捨てて慌ててるところを見かけたらしい)
我が家は更に騒がしくなるのだった。
そろそろ終わりたい!
そろそろ終わりたい!(しつこい)