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予知夢を見れる降谷さん(松田・萩原編)
書きたいところだけ書いてます。
11月7日の正午に間に合うか・・・?(書いてるのが二日前)
急いで書いてるので、下手なところがあるかもしれません。
知識も曖昧なので、こうはならないってこともあるかもしれません。
※予知夢について・・・本当は色々言われてますが、ガチの予知夢で行きます。(ガチの予知夢とは?)
『』は電話の相手が話しているときで【】はメールの文面としています。
・・・昔から、たまに不思議な夢を見る。
やけに現実味がある夢だった。
そして、それはある日に現実になった。
エレーナ先生がいなくなること、ヒロが転校してくること・・・。
最初は偶然だと思っていたが、どうやら違うようだ、と気づいたのが小学生の頃。
俺が予知夢というものを知ったのは、中学生の頃だった。
「ゼロが見る不思議な夢ってこれじゃない?」
ヒロが教えてくれたのは科学的な本ではなかったけど、俺の体験したことと同じことが書かれていた。
見た夢の未来を変えようとしたら、他の人に迷惑がかかってしまった。
嫌がらせをされる夢を見たから、別の道を通ったらヒロがその嫌がらせにあってしまったのだ。
これ以降、俺はなるべく未来を変えないでおこうと思った。
「ヒロ。聞いてくれよ。」
「ゼロ、おはよう。どんな夢を見たの?」
警察学校への入学を控えたある日、また予知夢らしいものを見た。
「桜の下で、俺と髪にパーマがかかったやつが、殴り合ってるんだ。警察学校の制服でな。」
「ええ・・・。心配だね。」
ヒロは予知夢を信じてくれる、数少ない一人だった。
「我慢してくれよ、ゼロ。」
「どうかな。」
そしてその夢も、現実になった。
同期のみんなも、予知夢を信じてくれた。
---
雲がまるでライオンみたいだな、と子供みたいに思う。
そのまま家に帰り、テレビをつけた。
爆弾の解体を中継していた。
「確か、松田と萩原が担当してるんだっけな・・・。」
松田から来たメールには、こっちは片付いたと書いてあった。
なら、あのビルで爆弾を解体しているのは萩原だろう。
・・・次の瞬間。
——————ドン、と建物のある階が吹き飛んだ。
「・・・え。」
「ッ!!!」
目覚めると、そこは自分の部屋だった。
「はぁ、はぁ・・・夢、か・・・。」
(そうだ。自分はまだ警察学校も卒業してないんだ。)
急いで着替えて、グラウンドに向かう。
グラウンドには、もう俺以外集合していた。
「おはよう降谷ちゃ、ん・・・?」
挨拶をしてくれる萩原の手首をつかみ、脈を測る。
(大丈夫・・・この通り萩原は生きてる・・・。)
「ゼロ・・・。顔色が悪いよ?変な夢でも見たの?
ヒロが心配そうな顔でこちらを見てくる。
「大丈夫だ・・・って言ってもバレるよな。」
「悪夢でも見たのか?それとも予知夢か?」
「ああ・・・多分予知夢だ。」
みんなに事情を説明する。
「え、俺死ぬの・・・?」
萩原が不安そうな顔をする。
すると、拳が頬を襲う。
「痛った!!!何すんだ松田!!!」
「・・・そんな話するなよ!!」
「俺だって、見たくて見てるわけじゃない!!!」
「二人とも落ち着け。」
班長が声をかけてくれる。
「「でも・・・。」」
「陣平ちゃん、俺は大丈夫だから。今知れたなら、変えられるかもしれないじゃん。」
「・・・・・・。」
わかった、と小さく松田が言ったのが聞こえた。
「・・・そうだな。」
未来を変えるのか・・・。
本当は良くない。
(・・・現実になったとき、俺はどうする・・・?)
その答えは、まだ出なかった。
---
11月7日。
俺は警察学校を卒業し、今は公安に属している。
仕事が一段落したので、とりあえず一回家に戻ろうと考えていた時だった。
「ゼロ!」
声のした方を見ると、駆け寄ってくる幼馴染の姿が見えた。
「ヒロ。」
幼馴染は、今は同じ警視庁の別の部にいる。
「帰るのか?お疲れ様。」
そう言いながら缶コーヒーをくれた。
「ああ、ありがとう。」
窓を見ると、とても天気がいいことが分かる。
青い空に、白い雲。
「ゼロ、あの雲ライオンみたいだね。」
「そうd・・・・。」
急に固まった俺を見て、ヒロは心配そうに声をかけてくれる。
「ゼロ?」
「ライオンみたいな、雲?」
その雲は、《《あの時》》夢で見た雲だった。
「・・・ヒロ。松田と萩原は?」
「え?確か爆弾の解体に行ってたはずだけど?」
「場所は?」
「確か・・・松田は分からないけど萩原はビルの解体だったはずだよ?」
流石の情報網だ・・・と感心している場合ではない。
「・・・ヒロ。警察学校の時に話した夢、覚えてるか。」
僅かに震える声で言う。
「・・・ああ、確かライオンみたいな、雲、が・・・・。」
気づいたのだろう。顔が青ざめる。
ヒロは素早くスマホをタップして、電話をかけた。
「萩原!?今爆弾解体してるのか!?」
『諸伏ちゃん?いや、まだ住んでる人の避難待ちだけど。』
スピーカーモードにしているのか、俺にも萩原の声が聞こえた。
「・・・一応聞くけど、防護服は着てるよな?」
『ハハ、あんな暑苦しいもの、着てられっか。』
「「!!??」」
「萩原!防護服を着て、住民の避難が終わるまで一回下に戻って待ってろ!!」
『降谷ちゃんもいるの?・・・なんで?』
「警察学校の時見た悪夢、覚えてるか?」
『ああ、ライオンみたいな雲が~ってやつだよね。』
「それが現実に起きたらしいんだ。」
『・・・・え?』
「だから、避難が済むまで下で待つんだ。」
『え、でも・・・。』
渋る萩原に、少し焦りを感じる。
「早く!!責任は俺が持つから!!」
『・・・そこまで言われるとなぁ。わかった、下で待っておくよ。』
「ああ。」
そこで、通話を終える。
タイミングよく、松田からメールが来る。
「・・・間違いない。あの時と同じメールだ。」
「・・・フフ。」
ふと、ヒロの笑い声が聞こえた。
「なんだよ。」
「いや?やっぱりゼロはゼロだな~と。」
「どういうことだ?」
「ゼロはさ、昔未来は変えないって言ってたのに、やっぱり人の生死が関わると、未来を変えてくれるんだなって。」
「当たり前だろ。」
いざ現実になると、やっぱり見過ごせない。
---
その五分後だった。
萩原がビルに入ろうとしたとき、爆弾が爆発したと連絡を受けたのは。
一回集まろうとヒロ経由で萩原から俺に連絡が来た。
「いや、降谷ちゃんマジでありがとう。一生感謝するわ。」
本当はあまりよくないのだが、軽い変装をして居酒屋に同期のみんなで集まる。
「・・・ああ、役に立ててよかった。」
「・・・ったな。」
松田が何か呟く。
「何て言った?」
「・・・あの時殴って、悪かったな。」
「お前熱でもあるのか?」
「ねえよ!!」
「ま、とにかくだ。」
班長が言う。
「今回は助かったが、萩原は今後ちゃんと防護服を着ること!いいな?」
「はい・・・・。」
「あ、萩原が珍しくションボリしてる。」
ヒロが微笑む。
「俺だってたまにはちゃんと反省するからな!」
萩原も苦笑いで返す。
「たまにはって警察学校の時は反省してなかったのか?」
「だから、してたって。たまに。」
「たまにじゃん。」
そんな話をして、楽しい夜になった。
---
青空が広がる。
涼しくなってきたな、と上着を着る。
やっぱりこの観覧車は高い。
ショッピングモールの横を車で通りすぎながら思う。
しかし、中にいるあいつはとてもそんな軽い気持ちじゃないだろう。
「あと30秒で正午、か。」
もう爆弾は止められているはず。
・・・?
なら、なぜ観覧車を動かさない?
そう思ったときには、
ドン、とゴンドラの一つが爆発した。
「・・・・。」
バッ、と飛び起きる。
頬を伝う汗。
(気分がいいとはとても言えないな・・・。)
萩原防護服未着用事件(ネーミングセンスは吹き飛んだ・・・。by作者)から早四年。
ヒロが公安に来て、二人である組織に潜入している頃の事だった。
「松田が?」
ヒロに見た夢を相談する。
「そうだ。おそらく観覧車の爆弾解体中で。」
「予知夢?」
「その可能性は高い。」
組織に潜入してからというもの、悪夢が増えたが、予知夢は少し違う気がする。
やけに、リアルなのだ。
「秋、かぁ・・・。」
ヒロが考え込む。
「心当たりがあるのかヒロ?」
「ゼロも知ってるでしょ?毎年送られてくる数字の話。」
「ああ。イタズラだと上は判断しているが、松田がその件で捜査一課に移動した後、調べている。」
「萩原を狙った爆弾犯だと、ね。」
「・・・動けるか、11月7日。」
「組織の仕事が入ったらダメかもね。・・・それに、ゼロ一人で行った方が怪しまれないと思う。」
「そうだな。」
「無茶は、絶対にしないでね。」
真面目な顔でヒロは言う。
「・・・なるべくな。」
11月7日。
‟バーボン”には命令は出なかった。
が、残念ながら‟スコッチ”には出てしまったので、結局ショッピングモールの開店前に俺一人で観覧車に行くことになった。
【無茶はするなよ】
表示されたメールを見て微笑むと、俺は杯戸ショッピングモールへ向かった。
あれからどうやったら松田を救えるか、必死に考えた。
その結果、観覧車が頂上付近で止まると何もできないので、止まった原因を先に排除しておくことにした。
組織のメンバーや発信機、盗聴器の類がないことを確認しながらのスタッフに警察手帳を見せると、簡単に通してくれた。
観覧車の制御盤、仕掛けられているとしたらここだ。
一見何もないように思う。
しかし、よく見ると爆弾が何個か仕掛けられていた。
(・・・さて。)
爆弾を取り除いたはいいものも、このままだと爆弾が爆発しないと焦った犯人が爆弾爆発を早まらせてしまうかもしれない。
というわけで、ダミーを仕掛けておく。
そして、松田にも電話する。
「松田。」
『なんだ?今日忙しいんだが。』
「予知夢を見てな、松田が観覧車で吹っ飛ぶ夢だ。」
松田にも予知夢を説明する。
『・・・不吉だな。』
「で、問題の観覧車の制御盤に来てみたら、案の定爆弾が仕掛けられていてな。おそらく観覧車にもあると思う。」
『・・・。』
「松田は今日萩原を狙った爆弾犯を追うつもりだろ?」
『・・・ああ。』
「十分気をつけてくれ。観覧車が頂上付近に来ると、俺たちはもう何もできない。」
『・・・わかった。』
松田は真面目な口調で返してくれた。
『じゃあな。』
「ああ、《《またな》》」
『・・・ふっ。《《またな》》。』
通話が切れる。
(やれることはやった。)
あとは、松田次第だ。
---
例の謎の数字が届いた・・・と思いきや、今年は「我は円卓の騎士なり」で始まる暗号文だった。
円盤状で72も席があるのは、杯戸ショッピングモールの大観覧車しかない。
松田もそれに気づいたようで、観覧車へと向かったらしい。
観覧車には部下の風見たちをこっそり配置して、報告してもらうことにした。
俺は安室透としても、バーボンとしても知られているのであまり目立つわけにはいかないので、少し離れたところから見守っている。
回収した爆弾は公安のある施設に置き、それが爆発すると同時にこちらのフェイクの爆弾も起動させるという算段だ。
爆発したように見せかけ、制御盤で動きを操作する。
犯人の予想通りになるように。
松田が観覧車に着き、乗り込む直前に爆弾(犯人が仕掛けたほう)が爆発した。
それと同時に、フェイクも作動する。
観覧車は止まらなくなった、という設定だ。
「よし・・・。」
報告を受け、少し安心していた。
・・・その時だった。
犯人が仕掛けた二つ目の爆弾が作動した。
(何!?)
即座に観覧車を止め、松田に連絡する。
「松田か?」
『ゼロか。』
パチ、とコードを切っていく音が聞こえる。
「爆弾はあったか?」
『ああ。しかも今の振動で水銀レバーが作動しちまった。』
「水銀レバー・・・やっぱりか。想定していたが、止められなくてすまない。」
『・・・おまえに謝られると調子狂うな・・・。』
『ま、とにかくこれを解体し終わるまで観覧車動かすんじゃねえぞ。』
「わかっている。ただ、爆発までもう5分もないぞ?」
『フッ、この程度の仕掛け、あと3分もありゃ・・・。』
すると、急に松田が黙ってしまった。
「松田?」
『・・・勇敢なる警察官よ、君の勇気をたたえて褒美を与えよう。』
「?」
『もう一つのもっと大きな花火のヒントを表示するのは・・・』
『爆発3秒前。健闘を祈る。』
「・・・!」
『これがたった今、液晶パネルに表示された文章だ。』
「・・・爆弾を解体すると、ヒントは見れなくなるということか・・・。」
『誰かをゴンドラに閉じ込めて、このヒントを見せるということだったんだろうな。』
「・・・さっきの爆発は、ゴンドラに閉じ込めるためのもの。・・・なら犯人は近くにいる?」
『この人混みじゃ無理だろうがな。』
人気の観覧車には、松田の言う通り人がたくさんいる。
しかも、さっきの爆発でさらに野次馬が増えた。
『ま、もう一つの場所の検討はついてるがな。』
「俺もわかっている。病院だろ?」
中性ヨーロッパの騎士の仮面はだいたい十字がデザインされている。
病院の地図記号も、十字だ。
『ただ、どこの病院なのかはわからないが。』
「・・・ヒントを、見るのか?」
『ああ。』
「・・・わかったらすぐにコードを切れ。」
『・・・。』
「絶対に、死ぬなよ。」
『それはフラグって言うんだろが。・・・まあ死ぬ気はないから安心しろ。萩原も待ってるしな。』
「・・・約束したからな。」
通話を終え、観覧車を見る。
残り1分。
もう見物人も避難したそうだ。
(あいつなら、絶対大丈夫。)
残り30秒・・・。
残り20秒・・・。
残り10秒・・・。
だんだんと時間が迫ってくる。
9、8、7、6、5、4、3・・・。
もうヒントが表示されたころだろう。
一気に緊張が増す。
2、1・・・。
‟0”。
・・・・・・。
静寂が、訪れる。
電話が鳴る。
『米花中央病院だ、降谷。』
「わかった!」
そのまま、風見に連絡をとる。
「風見、米花中央病院に爆処を向かわせてくれ。そこに爆弾がある。あと、もう観覧車は動かして大丈夫だ。」
『あ、はい!!』
「・・・命がけで掴んでくれた情報だ。失敗したら許さないぞ。」
『わかりました。』
(・・・よかった。)
緊張の糸が緩む。
プルル・・・。
また電話が来る。
「もしもし。」
『ゼロ、松田は爆弾の解除成功したみたいだな。』
電話の相手はヒロだった。
降谷の電話にかけてきたこと、俺をゼロと呼んだということは、もう任務は終わったのだろう。
「ああ。・・・ていうかなんで知ってるんだ?」
『言ってなかったか?取引場所、杯戸ショッピングモールだったんだ。』
「なるほど・・・。」
『じゃ、また後でな。』
「ああ。」
さらに数分後、松田からまた電話が来た。
「よくやったな、松田。おつかれ。」
『・・・佐藤にビンタされた。』
「ビンタされたのか(笑)」
『心配したんだから、って。』
少し高い声を出しながらいう。
声真似なのだろう。
「・・・また、一回みんなで集まらないか?」
『そうだな。・・・萩と班長に怒られるな。』
「だろうな。」
その後、無事爆弾は解除された。
さらに、犯人も逮捕することができた。
佐藤さんが頑張ってくれたらしい。
---
「ま~つ~だ?」
「いや・・・マジで悪かった萩・・・。」
「3秒で「米花中」まででたらコード切ったって、あまりにも危険でしょうが!!」
みんなで集まった飲み会で、珍しく萩原が怒る。
「危険って、防護服着てなかったお前に言われたくねぇよ!」
「陣平ちゃんだって着てなかったでしょうが!」
「あったら着てた!!」
「まあでも、松田は無茶しすぎだ。」
班長も優しく怒ってくれた。
(やっぱりな・・・。)
争う三人を横目にビールを飲む。
「しょうがねえだろーが!」
「何かあったらどうするの?」
「まぁまぁ。」
ヒロが止めに入る。
「派手に暴れないでくれよ。」
一応俺も止めに入る。
「お前が言えるセリフじゃねぇよ。」
「「「確かに。」」」
「ハハハ・・・。」
真面目な同期に、思わず苦笑いをする。
「・・・まあ、また降谷ちゃんに助けられちゃったね。陣平ちゃん、お礼は?」
「・・・ありがとな。」
「どういたしまして。松田が無事でよかったよ。」
「ああ。・・・てか萩は俺の保護者か。」
松田のツッコミに、みんなで大笑いする。
(ああ。)
みんなで笑うことができて、よかった。
---
カンカン・・・。
足音が、冬の夜空に響く。
寒いなんて、思わない。
とにかく、必死だった。
走って、走って・・・。
——————————一発の銃声が聞こえた。
その直後、俺が見た景色は、純黒の男と、漆黒の空と、黒鉄の拳銃と・・・。
赤く染まった、彼岸花。
なるべく本家に近づけた・・・かな?
松田は佐藤さんと話してません(ゼロと話していたので)。
あと、途中わずかに曲パロ入ってます。
6797文字・・・だと・・・!?
最高記録かも。
個人的には最後が一番よくできたと思ってます(おい)。
分かる人は分かると思います。
長かったですが、読んでくださりありがとうございました!
2023年11月7日 正午 (記念・・・じゃないですが一応)