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白昼夢の終わりと共に
「はぁ……はぁ…ッ」
強い。
強すぎる。
どうしてこんなに強いかはわからない。
さすがラスボス、と言ったところであろうか。
『うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!』
大きなツノの生えた|元魔族《モンスター》___デューノが雄叫びを上げる。
「どうしよう…もう限界だよ…」
私の同期___|大宮瑠璃《おおみやるり》。通称、ルリ。
この子はいい子だ。ひたすら優しくて、仲間思いで、可愛らしい。
生きる価値のない私と違って。
魔法少女にならなければ、普通の女子高生だったら、この子が傷だらけになることはなかったと思う。
ルリという名前と同じ色の瞳に、薄い水の膜が張っている。
「ルリ、よく聞いて。」
「…何?」
ある作戦を思いついた私は、ルリに声をかける。
「今から、私の全魔力をあいつに叩き込む。」
「…ッ…それって…」
ルリの目から、耐えきれなくなったように涙が流れ出た。
そう、魔力がなくなるということはすなわち『死』を意味する。
「嘘、嘘でしょ?デューノを倒して家に帰るんだよね?約束したよね?」
「これ、渡しとくわ…あんたにあげる」
白いニチニチソウの押し花だ。ずっと大切に持っていたものだが、今となっては必要ない。
「いやだよ…そんな今生の別れみたいな…」
「大丈夫だよ、きっと舞い戻ってくるから。彼氏でも作って待ってて。」
軽い調子で言ったつもりだが、ルリの顔がさらにくしゃくしゃになる。
**『ウォォォォォ!!!!!!!!』**
もう時間がない。
「いい?ルリ、絶対生き残ってね?私の死を無駄にすんなよ。」
「やだ…」
「駄々こねない。じゃ、バイバイ!」
「絶対、戻ってきてね?」
「脱走してやるよ、冥界から。そしたらまた、もどっくるから。また、ね?」
最後くらい、笑顔で別れさせてくれよ。今生の別れなんだから。
「…ッ…またね」
その声を聞いたと同時に、デューノに向かって一直線に飛ぶ。
「ヨウカ!死なないで!!!!!」
なんて優しい子だろうか。
一番苦手だった名前を、ルリに呼んでもらえるなら。
|この名前《陽香》を好きになってもいいかもしれない。
ポケットから筒状のステッキを出し、釣り竿のように広げる。
このステッキを握るのも今が最後だ。
思いっきり行く。
**『うぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!』**
神様、私をあの子に合わせてくれてありがとう。
元気でね、瑠璃。
「|トゥルースファントム《真実の幻》」
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ヨウカが禁断の魔法を唱えた時。
ひたすら美しく、哀しい。白昼夢を見ていると思うほどだった。
ばちばちと火花が散り、ビックバンを連想させた。
今、最愛の親友が、いなくなろうとしている。
体にぽっかり風穴が空いたような、そんな気持ち。
これを喪失感というのだろうか。
どんどん火が小さくなると同時に、自分の意識も朦朧としてくる。
あなたとまた会うことができますように。
FIN*・゜゚・*:.。..。.:*・‘
頑張ったあああああああ!!!!!!えらい!えらいぞすい!
1297文字やぞ!?過去最長!
頑張って妄想練ったぜベイベー★