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足りないきみは風を喰む1
目が覚めると、ナースが俯きながら微笑んでいる。
|「おやおや、新しい人間さんですよね。いらっしゃいませ、身長は?体重は?年齢は?それから…」《アリス》
|「ちょっと、落ち着いてください!あとでカルテ見せますから!しかも次、私のセリフですからね!」《命子》
|「…我々がもし転生して人間になれたとしたら」《命子》
|「その仮定を詳しく想像するためにお呼ばしました」《命子》
|「とはいえ、少し雑用を任せるだけですけどねえ」《アリス》
ここは天使が働く病院だが、その実態はまるで悪魔的だった。
|「お名前は?」《命子》
|「…幸風五喜」《 こうふう いつき》
|「私は産一命子です、主にこうして新しく亡くなられた方を他のナースさんと日替わりにお迎えして過ごしています」《命子》
|「ナースステーションに向かいましょうか」《命子》
軽やかに靴を鳴らしながら、二人のナースに挟まれている。
「産一さんに、えっと…?」
|「そうだ、アリスさん自己紹介をお願いします」《命子》
|「ワタシはアリスですねえ。それ以外に、自己紹介で話すことってありますか?」《アリス》
|「…うーん、まあ、まあ!いっか!」《命子》
|「では明日から色んなナースさんとも触れ合っていきましょうね!」《命子》