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私の好きな変な人
初流
八月一日。私は君のことを思い出して、あの日と同じように駆け出す。 「今年こそは、来てくれるかもしれない」 そんな淡い期待も虚しく、待ち合わせ場所に君の姿はなかった。 「まあ、そうだよね……」 君は遠くへ引っ越してしまった。別れ際、最後に紡いだあの言葉を、君はまだ覚えてくれているのだろうか。
『八月一日、ここで待ってて。絶対会いに行くから』
その言葉を信じて、もう三年が経つ。私はもう、高校を卒業する歳だ。君もきっと、同じ空の下で同じ歳を重ねているはず。今年こそはと胸を膨らませていたけれど、やっぱり君は来てくれなかった。
その日の夜、私はいつもの防波堤に足を向けていた。 かつて君と一緒に、何度も並んで歩いた場所。 防波堤の先端に立ち、生温かい夏の夜風に吹かれながら、目を閉じて君の記憶をたどる。 私にだけ見せてくれた優しい微笑み。私のために一生懸命考えてくれた、私のために一生懸命考えてくれた誕生日プレゼント(「絶対に実用性があるから!」と熱弁された、一味唐辛子の一升瓶だったけれど)。そして、君がいつも口ずさんでいた大好きな歌。
気づけば私は、そのメロディを夜の海へと歌い交わしていた。
「――涙を流すほど、歌うことが好きなんですね」
突然、背後から声をかけられた。 私はハッとして歌を止める。心臓が跳ね上がる。間違いない、ずっと耳の奥に残っていた君の声だ。 勢いよく振り返る。しかし、そこには誰も立っていなかった。 月明かりに照らされた防波堤の上を、何度も見回す。けれど、やっぱり誰もいない。
「……気のせい、か。聞き間違えちゃったのかな」
ぽつりと呟いた、その瞬間だった。
「ここだよ!」
また声が響く。今度ははっきりと聞こえた。 慌てて周囲を視線で探る。前にも、後ろにも誰もいない。 まさか、と思って、私はゆっくりと足元へ視線を落とした。 防波堤の消波ブロックの隙間に、頭からすっぽりはまって抜けなくなっている君と、完全に目が合った。 「……あ、やっと気づいた? 3時間前からここで待ってた」 「……っ!!!!」 私は思わず目を逸らし、見なかったことにして家へと全力で走り出した。
これが、私と彼との、あまりにも奇妙な久々の再会の話。
ここまで読んでくれてる方初めましてこの話書いてて思ったことなんすけどほぼ自分だわ