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8話
朝の光が城の窓から差し込み、柔らかく寝室を照らしていた。
目を覚ますと、末日と加楓の寝息がかすかに聞こえる。二人とも昨夜は緊張していたのか、まだ布団の中で小さく丸まっていた。
私はそっと布団を抜け出し、二人の顔を覗き込む。末日は眉を少ししかめながらも、すぐにまぶたを閉じ直した。加楓は、目をこすりながらも小さな声で「おはよう」とつぶやいた。
「おはよう、二人とも」
私は微笑みながら、そっと肩に手を置く。二人は驚いたように目を見開いたが、すぐに安心した様子で私を見つめ返す。
「今日はね、少しずつ城の中を案内するわ」
私が言うと、末日と加楓はおそるおそる頷いた。まだ城の広さや人々の生活に慣れていない二人に、焦らず少しずつ慣れてもらうことが大事だ。
寝室を出ると、城内の廊下は昨夜よりも明るく、暖かな朝日が差し込んでいる。二人の足音はまだぎこちないが、私の後をついて歩く姿が少しずつ自然になっていくのを感じる。
「ここの城、すごく大きいね…」
加楓がつぶやき、末日も小さく息を漏らした。私は微笑みながら、廊下の奥にある小さな中庭を見せた。小さな花壇に咲く花や、朝の空気に揺れる葉の香りが、二人の表情を少し和らげる。
「今日はね、ここで少しだけ遊んでもいいのよ」
私は中庭に案内すると、二人は最初こそおそるおそるだったが、徐々に花を触ったり、小さな石を拾ったりして遊び始めた。末日は運動神経の良さを活かし、石を軽く投げて的を狙う。加楓は花の匂いをかぎながら、ふんわりと微笑む。
(まだ名前もないけれど…少しずつ、この子たちのことを知っていけそう)
私は心の中でつぶやき、二人の姿を静かに見守った。
これから始まる城での生活が、彼らにとって少しでも安全で、安心できる時間になるように――そう思いながら、朝の光の中で深く息を吸った。