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又旅浪漫
笑うというのはどんな気持ちなのだろう。
笑うとは一体、何なのだろう。
ハヅキを横目に考える。
マタタビは完全に抜けているはずなのに
俺はぽわぽわと纏まらない思考で歩いていた。
杉林の上空ではホーホーとフクロウが鳴いている。
恐怖心や警戒心より笑うについて考えたくなる。
「あんたはどうなのよ」
「どうって、何がだ」
気まずいので何か誤魔化したいが
周りにはドーロと草木しかない。
「何って、殺した事あるのか聞いてるの。生き物を。
その顔じゃ今まで派手にやってきたんでしょう。」
「ああ、無い無い。いやあるか。
でも俺の場合は食料として見てたし
実際全部食べたから殺生ではないよな。」
「案外真面目ね...」
「そうでもない。食べない代わりに、
という契約で色々とやってたりする。」
「へぇ。そういえばあんたの主人って畑の人?」
「まあそんなところだ。」
結局雨は降らず、カラスの悲鳴も聞こえない。
夜になると静けさや涼しさ、
虫の声の少なさに秋を感じる。
月は三日月の形で頼りなく夜道を照らしている。