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蒼色ストライクス 6話「知らない気持ち」
まえがき
みんな
あけおめことよろ
翌日。
二人は早朝練習のため誰もいないグラウンドへ出ていた。
キャッチボールをしていると、光希が急に手を止める。
「麻成、昨日のことなんだけどさ」
麻成の心臓がわずかに跳ねる。
“昨日のこと”といえば、あの屋上の……。
「なんか、ずっとドキドキしてる。昨日のまま気持ちが戻らなくて」
光希は胸を押さえ、困ったように笑った。
「……俺もだよ」
「え?」
麻成はグラブを外し、光希に歩み寄った。
「光希のこと考えると、ずっと胸がざわざわして……苦しいくらい嬉しくなる。
昨日だけじゃない。ずっと前からだった」
光希の瞳が大きく揺れた。
「麻成……そんな……」
麻成は一歩近づき、光希の手首をそっと取った。
手袋越しでも体温が分かる。
「俺、お前のこと……本当に大切に思ってる。
投げる時も、会話してる時も、屋上で肩貸した時も……全部、嬉しかった」
光希の頬がゆっくり赤く染まっていく。
「麻成……そんな顔で言われたら……好きになっちゃうよ」
「……もう、なってると思ってた」
麻成が微笑むと、光希は視線を落とし、そして——小さく笑った。
「うん。もうとっくに、麻成が好きだよ」
二人の間の空気が甘く満ちていく。
光希がそっと麻成の胸に額を押し当てた。
麻成は驚きながらも、光希の背中に手を添える。
心臓が触れ合うように近かった。
「麻成……もう少しだけ、このままでいていい?」
「いいよ。いくらでも」
春の風が吹き抜ける。
グラウンドの真ん中で、ガヤガヤした声も観客もいない世界で——
二人はそっと寄り添った。
それは恋と呼ぶにはまだ照れくさいけれど、
もう後戻りはできないほど甘い時間だった。