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御守りを作る神
「真守ぃー?」
「はいはい、何っ」
呼んだだけですぐに出てくる。彼女は全身に御守りを身に着けている。
御守りのイヤリングとネックレス。指に御守りをぶら下げてて、巻きスカートの部分には御守りの紐部分の飾りがあしらわれている。神界でトップクラスのオシャレさんらしい。
彼女が身につけている、作る御守りは多岐にわたる。恋愛成就、健康促進、絶対合格、学問成就、金運上昇…。縁結びの御守りもあり、その強い効果でいつもわたしたちの前に現れることができるらしい。
「あんた、天界異変について知らない?天界が沈むやつ」
「う〜ん。あーしは天界について良く知らないないな。うろうろしながら御守りを配って、信仰を集めるのがスタイルだから。偉そーに座って、部下に集めさせるなんてやり方は気に食わないし。んで、異変だね?あーしは知らないよ。でも、天界を支配しよとしているやつは一定数いると思うねっ」
「誰だ、支配しようとしてるやつは?」
紅がすかさず聞くと、真守はにんまりとした。
「そうだね。正確には、管理神に上り詰めたいやつら。楓衣がやろうとしてるのは有名だろ。他にも、プロレットとか。まあ、真相は明らかじゃないさ。噂を建てるので精一杯」
「へえ。つまんないな」
「煩いなっ。あんたに御守りを持つ資格なんてない。御守りのことはすべてあーしが決めることだかんねっ。じゃあ、あんたには『金運上昇』」
「ありがと」
金運上昇!さすがだ。やっぱり、真守はわたしたちのことを本当に守っている気がする。
「で、紅。うーん…よくわかんないから、『健康促進』」
「はあ?!適当だな」
「さっきバカにした罪を償えっ。没収」
「はあ!?」
カッとなっている紅を横目に、わたしは真守としゃべる。
「そうね…もっと強い御守りが欲しい?」
「できれば」
「じゃあ、ちょっと時間を要するけど。まだ下級だからね。で、何が良い?」
「異変を早く解決できるやつ」
「欲に従順だね。みつが気に入るのもわかるねっ。守造『神速守創造 異変解決 有可由有』」
彼女の秘技は実に変わってる。この技しか見たことがない。サニーみたい。
御守りを作る秘技だ。神速守創造、と言ってから目的と使用者を唱えると、瞬時に御守りを作るのだ。
「はい」
灰色とくすんだ青の御守り。白い刺繍で『異変解決』とかかれている。
「ありがとね。いろいろ聞いてみる」
わたしは首に御守りをぶら下げ、また飛び出した。