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第1話 出会い
❃虹色うさぎ❃
「…はぁ」
寒空の下、思わず出たため息が一瞬白く顔の周りを覆うと、またすぐに淡雪のように溶けていった。
こんなことをこの高校生程度の少年は、公園のブランコでここ数時間続けてばかりいる。
「帰りてぇな…」
と言葉が漏れると隣のブランコに座っていた幼稚園児くらいの少女が首を傾げながら話しかけてきた。
「おにいさんどうしたの?げんきないよ?けんかしちゃった?」
(喧嘩、ね…それならどれほど良かったか)
と少し苛立ちを覚えながらも大人げないなと思い直し口元だけの軽い笑みを浮かべると
「えっと…。大人には色々あるんだよ。…それよりも一人?家の人はどこ?」
とキョロキョロと辺りを見回す。すると少女は慌てた様子でオロオロとしながら
「あ…!かってにうごいちゃだめっていわれてたのに…。いいにおいがするほうにきちゃった!」
今にも泣きそうな顔で涙を流すまいと涙が決壊するを堪えていた少女を見て、少年は焦りながら少女に目線を合わせる為にしゃがみ込むと頭をポンポンと軽く撫で、
「一緒に探してあげるから安心して」
と微笑みながら言った。それを見た少女は、くしゃりと笑いながら
「えへへ、やっぱりおにいさんいいにおいする〜」
と少年に抱きついた。抱きつかれた少年が
(え?いい匂いってオレのことだったのか…?何の匂いのことだろ?)
と思案していると、少女は首を傾げながら
「ねぇ、おにいさんのおなまえはなぁに?わたしはみずきだよ!」
と名前を尋ねてきた。
「|玲斗《れいと》。|崎口玲斗《さきぐちれいと》だよ。」
それを聞いた瑞希は目をキラキラと輝かせながら
「れいと!おにいさんのおなまえはさきぐちれいと!」
と新しく知った名前を鼻歌交じりに繰り返した。
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そんなこんなで瑞希の保護者を探す為、瑞希が元いた場所まで来た道順と同じように辿って行った。
「ここ?待ってろって言われたのは…」
玲斗が尋ねると、瑞希はコクンと首を縦に振り首肯した。
そこは公園から約15分先にある、地元で有名な名家の専属シェフ、の一番弟子が営んでいるという三つ星レストランの前のベンチだった。
(何でこんなところに…。そもそもこんな小さな子放っておくなよ。)
と心の中で詩音の保護者に悪態をつきながらも、途中で疲れたと言った為おんぶしていた瑞希を背中から下ろし一緒に待つことにした。
その間、玲斗は瑞希の遊びに付き合っていた。そして瑞希がキャハキャハと喜びながら笑っているとレストランの扉が開き、慌てた様子のコック帽を被った20代前半くらいの青年が飛び出してきた。そして
「瑞希お嬢様!?こんなところにいたんですか
!?」
と素早く瑞希に駆け寄った。玲斗が
(お嬢様…?)
と頭に?を浮かべていると、ほっとしたように胸を撫で下ろした青年が玲斗に気づいた様子で
「瑞希お嬢様、こちらの方は?」
と瑞希に問い掛けた。瑞希は玲斗の足の後ろに隠れるともじもじとしながら
「れいとだよ。まいごになってたのをたすけてくれたの…。」
と消え入りそうな声で告げた。どうやら瑞希は人見知りしやすいタイプらしく、なぜか玲斗だけは例外だったようだ。そんなことを考えながら玲斗が改めて事情を説明する。
「公園のブランコに一人でいて、迷子だって言うから元いた場所まで連れてきたんす。」
「そうでしたか…。すみません、お手数をお掛け致しました。」
と深々と頭を下げると青年は名を名乗った。
「私は瑞希お嬢様の御屋敷で専属シェフをされている方の弟子でして、|春風颯志《はるかぜそうし》と申します。本日は瑞希お嬢様とその御両親が私の店を訪ねてきて下さったのですが、打ち合わせで少しだけ目を離してしまい、その隙に迷子になって仕舞われたようでして。」
申し訳なさそうに苦い笑いを浮かべると颯志は思いついたように、
「そうだ。宜しければ見つけて下さった御礼に私の料理を召し上がっていって下さい。瑞希お嬢様の御両親にも連絡しておきますね。」
と先程とは打って変わって明るい笑みを浮かべた。玲斗は名家の当主たちと合うという事に、少し面倒な事になりそうだという懸念を浮かべたが、やはり高級レストランの料理を食べたいという欲には勝てず
「では、お言葉に甘えて…。ありがとうございます。」
と今後の人生を揺るがすことになる分かれ道への返事を軽くしてしまうのだった。
初めての執筆なので拙い文章だったと思いますが…お読み頂き有難う御座いました。不定期で更新していくつもりですが、ストックはいくつかあるのであと数話はすぐに上がる予定です。キャラクターの見た目を書くタイミングが無かったのでここで軽く説明します。
崎口玲斗
目の色は紫で、白っぽい金髪(染めてる)に、ピアスを左耳に2個、右耳に1つ着けていて、左耳にはイヤーカフが1つつけている。また、左目の下に泣きぼくろがあり、身長は167センチ、八重歯が生えてる。睫毛の長い美少年。
朝星瑞希
猫耳のような2つのお団子をしており、蝶とリボンが合体したような髪留めをつけている。髪の色は紫で、瞳の色はワイン色。八重歯が生えている。
春風颯志
長いコック帽にエプロンを着ている。茶色がかった黒髪で目の色は青みがかった緑色。身長は176センチ。
こんな感じです。正直瑞希と玲斗のイラストを描いて、この子達に設定をつけたいなと思い書きた小説なので、細かい設定はまだあまりついていませんが緩く書いていきたいと思います。