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ハルヒ探偵事務所の日常 #3
**第3話 キーホルダーと愚問**
依頼人の彼女__|佳凪《かなぎ》|穂加《ほのか》さんは、依頼内容を話す。メイとハルは聞き役に徹することにした。
「__えと、私、実はキーホルダーを失くしちゃって……友達とお揃いの、大事な奴なんです。失くしたのは、確か3日前でした。水曜日は|陽毬《ひまり》__あ、私の友達です。その子が部活で一緒に帰る相手がいなかったので、1人で帰ってたんです。それで、信号待ちしてるときに、ふとキーホルダーのことが気になりまして。
前に一回、落としたことがあるんです。そのときはすぐ気づいたし、クラスメイトが拾ってくれてたみたいで、早く戻ってきました。
あ、話が逸れてしまいましたね、すみません……。それで、確認したら__なかったんです、キーホルダーが。慌てて来た道を辿ってはみたんですが、やっぱりなくって。親は仕事で家にいないので、一旦荷物を置いてからは宿題そっちのけで探しました……でも、見つからなくて。途方に暮れていたら、ここを見つけて。ダメ元で頼んでみよう、と思って入って、今に至ります」
そう締めくくり、|穂加《ほのか》さんは口を閉じた。メイは頭の中で情報を整理している。
沈黙を破ったのはハルだ。
「なるほどね! つまり、大切なキーホルダーを失くしちゃったから、探してほしいって訳だ」
ざっくりとまとめたハルに、|穂加《ほのか》さんはこくりと頷く。
「そんで、この依頼受けるー、メイ?」
ハルがメイを見やる。もちろん、メイの答えは決まっていた。
「愚問ですね。__受けるに決まっているでしょう? 第一、ハルヒ探偵事務所は年がら年中金欠ですし」
自虐するような笑みに、ハルは「その通ーりっ!」と楽しげに笑った。
|穂加《ほのか》さんは、そんな息ぴったりの2人を見て、もう完全に警戒が解けたみたいだった。
実は友達の名前勝手に決めちゃったんですけど、大丈夫でしたかね……?
嫌だったら教えてくださいm(__)m