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if story
設定が色々と違うよ☆
因みに、これが元々やろうとしていたやつ((
違う点
・太宰と中也は帽子屋に勝利し、洗脳解除に成功
・シヴァが異能分離装置を起動
小説スタート☆
ルイスside
桜月「……ぁ」
シヴァの笑い声と、中也君の叫び声。
助けに行こうものなら、自分の命が危険に晒される。
桜月「中也! 嫌だ、こんなところで死んじゃ駄目だよ!」
ルイス「桜月ちゃん、駄目だ。中也君に触れたら君まで──」
桜月「でも中也が!」
僕の言葉は、彼女に届かなかった。
呼び出された四神に飛ばされ、床を転がる。
桜月ちゃんは中也君の元へ駆けていく。
止められなかった。
起き上がろうにも、受身が取れなかったせいか息が乱れている。
痛みもあるし、動けそうにもなかった。
ボスも四神に圧倒されている。
彼女が中也君まであと数メートル。
そんな、ギリギリでのことだった。
???「──異能力」
僕の真横を通り過ぎた二つの影。
一つは真っ直ぐ中也君の元へ行き、一つは桜月ちゃんの前に立ち塞がる。
桜月「退いて!」
何処に隠し持っていたのか、桜月ちゃんは銃で撃った。
しかし当たることはない。
大きな鎌が銃弾を切り裂いたのだ。
桜月「──っ」
シヴァ「良いところに来た。荒覇吐の顕現を邪魔する奴等を殺せ」
ルイス「……?」
ふと、マッドハッターと目が合った。
何故か彼は笑みを浮かべている。
三月ウサギ「ねぇ鏡月ちゃん──いや、桜月ちゃんだっけぇ?」
桜月「……なに」
三月ウサギ「心配しなくても、中原中也のことは私達が責任をもって助ける。だから、そこで大人しくしていて」
シヴァ「は?」
気がつけば、シヴァへと鎌が振り下ろされていた。
三月ウサギ「すごいすごーい! 私が云うのもおかしいけど、避けれると思ってなかったぁ」
あはっ、と三月ウサギは笑っていた。
その場にいた誰もが目を見開いた。
いや、驚いていない人はいる。
僕達の中で笑みを浮かべているのは──。
ルイス「やっぱり君をあの時残して良かった」
太宰「次からはちゃんと理由を説明してくださいよね、ルイスさん」
ごめん、と僕は笑っておいた。
その間にも三月ウサギとシヴァの戦闘は続いていた。
シヴァは多少戦えるのかもしれない。
でも彼女に叶うわけがなかった。
三月ウサギ「あははっ! 楽しいねぇ!」
シヴァ「狂人め……!」
今のうちに、と僕は桜月ちゃんの元へ。
桜月「ルイスさん、一体何がどうなって……?」
ルイス「マッドハッターと三月ウサギの洗脳を太宰君が解いた。そして中也君は彼女の云う通り──」
マッドハッター「これで終わりだよ」
中也君の叫び声が途絶えた。
桜月ちゃんは振り返る。
電流はもう流れていないようだった。
マッドハッター「とりあえず一命は取り留めたよ、ルイス」
桜月「っ、中也!」
ゆっくりと中也君は目を開く。
ボロボロだが、記憶の混濁などは見られない。
これで目標の一つは達成かな。
ボスside
三月ウサギ「出てきなさーい!」
シヴァの異能力で姿が見えなくなってしまった。
どうやら三月ウサギは気配などは分からないらしい。
ボス「……おい」
俺は其奴に話しかける。
そして有無を言わせずに転移させた。
三月ウサギの背後に開いた穴から落ちてきたのは──。
太宰「はーい、異能力禁止ね」
シヴァ「異能無効化──!?」
太宰「どうやら彼方の中也の救出も終わったらしいし、大人しく捕まった方が良いよ」
先に作戦を伝えたとはいえ、対応力高すぎだろ。
唯一シヴァの居場所が分かる俺が、あの包帯を転移させて触れさせる。
そうすれば姿を消す異能力も解除されるという、物凄く簡単な作戦。
シヴァ「僕は、この世界を……」
ボス「まぁ、別世界とはいえ|魔人《彼奴》に騙されてるから情が沸かないわけではない。だが相手が悪かったな」
この世界にはルイス・キャロルがいる。
戦神と呼ばれ、赤の女王と共に歴史に名を刻んだ俺の知ってる中で最強の男がな。
それに、今回は泉桜月もいた。
あの二人に勝てる奴なんていねぇだろ。
ボス「……ま、ちゃんと罪を償うんだな」
桜月「それ、貴方が云う?」
太宰「そっちも終わったんだね」
ルイス「うん。特務課に引き渡したら今度こそ終わりだよ」
ふぅ、とルイス・キャロルは力が抜けたように床へ座り込む。
マッドハッター「大丈夫?」
ルイス「……うん、問題ないよ」
赤の女王の話では、英国軍にいた頃の仲間。
過去を嫌う彼奴にとって、あまり関わりたくないのかと思っていた。
ボス「……。」
あんな風に笑うんだな、彼奴。
桜月「あの、ルイスさん。異能力を使ってすみません、怪我とかは……」
ルイス「大丈夫。謝らなくて良い。シヴァにバレたら色々と面倒くさかっただけだから」
桜月「……特務課は?」
太宰「安吾なら適当に誤魔化してくれるよ。だから桜月ちゃんは何も心配しなくて大丈夫!」
そんなことより、と包帯は満面の笑みを浮かべていた。
ルイス・キャロルとこの世界の中原中也は呆れているのか、ため息をついている。
太宰「一段落したことだし私と心中してはくれな──」
桜月「無理です」
太宰「またまた~、そんなこと云って本心は──」
桜月「しつこいです。いい加減にしないと全力でビンタしますよ」
ルイスside
彼氏君「……ルイスさん」
ルイス「色々と聞きたいことはあるだろうけど、今はゆっくり休んだ方が良いよ」
はい、と彼女の世界の中也君は目を閉じた。
災難だったね、としか云いようがない。
桜月ちゃんの不死鳥のお陰で、殆どの火傷は治ったのではないだろうか。
命を落とさなかったことが、本当に不幸中の幸い。
ルイス「……。」
何かが抜けている気がする。
中也君を救出し、マッドハッターと三月ウサギの二人の洗脳も解けた。
シヴァだって捕縛できた。
あとは、一応中也君が回復するまで待つ。
最後に桜月ちゃん達を送って終わりの筈だ。
此処で何かが引っ掛かる。
何故、どうして。
送ることは簡単だ。
彼が異能力を発動させれば良いだけ。
この世界に来たときと同じように、彼女達を元の世界へ──。
ルイス「──来たとき?」
桜月ちゃんは、彼の異能力で僕の世界へやってきた。
それなら、中也君はどうやって。
ルイス「ごめんね、中也君。一つだけ聞かせて貰っても……」
そこで僕の視界は暗転した。
太宰side
三月ウサギ「おっと……」
中也「ルイスさん!」
三月ウサギ「大丈夫だよぉ、気絶してるだけだからぁ」
お疲れ様、と三月ウサギは優しくルイスさんの頭を撫でた。
倒れたときは驚いたけど、すぐに受け止めてくれて良かった。
にしても、ルイスさん無理しすぎじゃないですかね。
傷だらけじゃないですか。
マッドハッター「#アリス#、出てこれるなら指示だしてくれない? 多分、僕の話は聞いてくれないだろうし」
三月ウサギ「えー、まだ無理させるつもりぃ?」
マッドハッター「仕方ないだろ。まだ解決してないんだから」
三月ウサギ「でも──」
???「その必要はないですよ」
その声は、とボスが顔を上げる。
黒髪に紫色の瞳。
桜月「……フョードル」
ドストエフスキー「此方で傭兵の片付けは済ませておきました」
太宰「何故君が此処に?」
フョードルは相変わらず胡散臭い笑みを浮かべていた。
え、ブーメラン?
そんな、私はいつも素直で真面目な良い人間ダヨー
ドストエフスキー「おや、何も聞いてないんですか?」
ボス「其奴は眠りネズミだったんだよ。ルイス・キャロルと手を組んでいたらしい」
信じられない話だが、彼がそう言うのなら本当なのだろう。
桜月ちゃんも何か訂正したりする様子はない。
桜月「傭兵は結構な人数いた筈なのに、こんな数分で片付けられる筈がない」
ドストエフスキー「鼠は街の何処にでもいるものです。僕の仲間の手に掛かれば、それほど時間は必要ありませんよ」
仲間、というのは死の家の鼠のことだろうか。
それか、もっと別の──。
そこで私は考えることを止めた。
今は優先すべきことがある。
ドストエフスキー「シヴァはお任せします。まぁ、特務課に引き渡すのが良いでしょうね」
それでは、とフョードルは姿を消した。
転移の異能力だろうか。
でも、フョードルのものではない。
何となく、そんな気がした。
No side
今回の一件で、味方には死傷者がいなかった。
しかし、黒蜥蜴の相手した入り口付近の傭兵を中心に、敵は死者が結構出ることになった。
首謀者であるシヴァ改め***は特務課に身柄が拘束された。
又、帽子屋のマッドハッター改め***と三月ウサギ改め***は、シヴァに利用された異能者(数日前に死亡)によって洗脳されていたことが分かった。
事実確認の為の一時的な身柄の拘束はあったものの、現在は釈放されている。
眠りネズミ改めフョードル・ドストエフスキーについては逃亡の為、詳しい情報が分からない。
フョードルが仕組んだことなのか、はたまた別の者なのか。
真相は闇の中である。
ルイスside
ルイス「あー、やっと終わったー」
そう、僕は探偵社の応接間のソファーに飛び込む。
与謝野女医による治療に、特務課の事情聴取。
物凄く疲れた。
国木田「ルイスさん、行儀悪いですよ」
ルイス「でも疲れちゃって」
福沢「そっとしておいてやれ。たまにはいいだろう」
桜月ちゃんやもう一人の中也君については、最高機密として扱われることになった。
正直なところ、上手く誤魔化したとは言えない。
でも、安吾や種田さんクラスじゃないと彼女達の情報は閲覧不可能らしい。
誰も死なず、みんな元気な状態で帰ってこれたのは探偵社にマフィア、それから魔人君がいる組織。
桜月ちゃんとボス、そして帽子屋の二人のお陰だ。
中也「それにしても、異世界の自分なんて信じられねぇな」
中也「本当だよな。しかも|手前《テメェ》もマフィアやってるんだろ?」
うーん、どっちがどっちが分かりにくいなコレ。
ま、仕方ないけど。
ルイス「ねぇ、中也君」
「「はい」」
ルイス「あーごめん、桜月ちゃんの方。この世界に来たときのこと教えてくれる?」
ボス「その前にどっちか区別つくようにしろよ」
確かに、ボスの云う通りだ。
でもどうしたら良いのだろうか。
太宰「良いじゃん、蛞蝓と帽子置き場で」
「「良くねぇわ!」」
太宰「わーお、息ぴったりで気持ち悪い。そんなことより桜月ちゃん、私と心中──」
太宰君が誘い終わる前に踏む。
そして国木田君に連行してもらった。
桜月ちゃんは苦笑いを浮かべていた。
桜月「此方の太宰さんって、すぐに心中申し込んできますよね。あと結構辛辣」
ルイス「そうかな? そっちの太宰君のイメージが桜月ちゃんに怒られてるところしかないからな……」
あれは面白かったな。
|桜月ちゃん《十六歳》に怒られている|双黒《二十二歳》の図。
今回は流石に見れないか。
敦「あれ、結局中也さんの呼び方決まってないですよね?」
乱歩「良いじゃん、彼氏君で」
桜月「乱歩さん!?」
彼氏君「ちょ、名探偵なに言ってるんだよ! そして文章も適応すんな!」
まぁ、中也君のメタ発言は置いておこう。
でも乱歩の案が一番良いかもな。
普通に反応が面白いし。
鏡花「彼氏君……さん?」
ルイス「普通に彼氏君で良いと思うよ」
彼氏君「良くねぇ!」
ここでグダグダやっていても仕方がない。
僕は桜月ちゃんと彼氏君の文句は聞き流すことにした。
ルイス「君がこの世界に来た方法について、聞かせてもらっても良いかい?」
彼氏君「……正直、覚えていない。気がついたら何処かの裏路地にいた」
知っている筈の場所だが、違和感があったという。
ルイス「……同じ、か」
桜月「同じ?」
ルイス「僕が君の世界に行った時も、中也君と同じように違和感があったんだよ」
これでやっと、今回の事件の全貌が掴めた。
どうやら、太宰君も殆ど分かったらしい。
この場にいる全員が気になっているらしく、説明は面倒((
ゴホン、大変だから太宰君に任せることにした。
太宰「シヴァには協力者がいたことは、|安吾《特務課》からの報告で分かっているだろう?」
敦「はい。確か二人いたんですよね? 洗脳の異能者しか資料には書いてませんでしたけど……」
太宰「もう一人が転移の異能者なのだよ。世界を越えることが出来る異能を、君は知っているんじゃないかい?」
桜月「……まさか」
はぁ、とボスはため息をついた。
桜月ちゃんはナイフをボスへ向けている。
喉元寸前で防いでいたのは──。
中也「落ち着け。太宰がこういう風に云う時はなんか意味が含まれてるんだよ」
太宰「わぁ、流石は元相棒の双黒(小)wだね」
中也「はぁ!?」
いつも通りで何より、と僕は笑う。
すると二人はピタッと喧嘩を止めた。
ルイス「どうしたの? 僕、別に怒ってないよ?」
ニコニコ笑う僕に対して、アハハと苦笑いを浮かべる太宰君と中也君。
ルイス「ほら、君の予想を聞かせてよ」
太宰「は、はい。桜月ちゃんの世界の蛞蝓──彼氏君を転移させたのは多分、この世界の彼では?」
桜月「もう一人の……ボス?」
僕は、元英国軍。
だから英国を始めとした欧州の異能事件について、特務課と共有している部分がある。
今回の事件にボスが関わっていることは、中也君が倒れた時に知っていた。
でも、彼はずっと僕の異能空間にいる。
この世界のボスであることは、容易に想像できることだろう。
太宰「探偵社には情報があまり流されていないんですけど、ルイスさんは違いますよね?」
ルイス「まぁ、今回の一件は帽子屋──元、仲間が関わっていたからね。魔人君にもシヴァ関連で情報を貰ってたし」
僕はやっと起き上がって、少し背伸びをする。
ルイス「最後の仕事だよ、テニエル。この一件に終止符をつけないとね?」
テニエル「……そうだな」
その場にいた殆どの奴が、理解した。
もう、帰る時間なのだ。
ルイス「個人的には全然構わないんだけどね。《《今回は》》ちゃんとお別れしたいだろう?」
桜月「……はい」
彼氏君「俺、まだ何も返せてないんだが」
大丈夫、と僕は笑う。
半端ぁぁぁぁ‼︎
はぁい、てことでifでしたぁ
先のこのシーン書いてた。
でも、本編書き進めると繋げられなくなった。
だからここで消費。
それじゃまた!
…コラボ、本当に楽しかったなぁ