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神様神社 4話
「神様、あの、巫女さんって言うのは・・・」「ああ、あかりが考えてるような巫女さんではないよ!」神様が慌てて説明してくれた。
「あかりにやってほしいのは、まぁ、わたしの秘書?みたいな感じ。お供物をしてくれたりして、神様の力を上げてくれる存在、ズバッと言うと神様の相棒って感じかな?」「相棒、ですか?」だめかな、と神様が私を上目遣いに見上げる。
「まぁ、それくらいなら・・・」私は熱意に負け、そう返した。神様の顔がぱぁっと輝く。
「いいの!?ありがとう!」じゃぁ、と神様が私に手を出した。
「お菓子頂戴!」「は?」「いいから、なにかお菓子かお金持ってない?」
私はカバンから、お菓子を取り出して神様に上げた。「ありがとう!」と言って、神様がお菓子を食べる。「よし!」神様が私に手をかざす。それだけなのに、私の体は一瞬ふわっと浮いたような気がした。「いまのは?」「簡単に言うとね、あかりに神様の力を付与したの。ちょこっとだけ」「神様の力を、私が?」「そう!化け物でも負の力がすごいやつがたまーにいてさ。化け物が見えるだけの普通の人間が近づいたら、瘴気でおかしくなっちゃうから、そうならないように。」「そうなんですね・・・」
神様が言うには、何度も言うけど化け物は人間の負の感情とかが固まってできている。
そのため普通の人間が触れたりすると、瘴気でおかしくなったり、発狂したりするらしい。最悪、化け物の糧となり、飲み込まれてしまうこともあるそうだ。
そのため、化け物にとって有害な神様の力を、私に付与したそうだ。
「神様、化け物の糧になるっていうのは?」「化け物は負の感情が形を持ったもの。つまりは人の言う妖怪とか幽霊と同じことなの。取り殺されるって言うじゃない?あれと同じことが、化け物にもできるの。違う点は、その人間を取り込んだ後、自分の強化に使えるってことだね。強いやつほど負の感情が強いか、人間を取り込んでるかの二択なの」あ、そうだ、と神様が手をたたく。「大事な説明忘れてた、『性質』の話!」「性質?」
「性質って言うのはね、ポ◯モンとかパ◯ドラとか、そういうゲームとかにある種族的なやつのこと!火の性質を持ってる神様は炎を自由に操れるとか、そういうやつ!」「ああ、なるほど・・・それで言ったら、神様はなんの性質なんですか?」「わたしは光の性質だね!」「光?」「うん、化け物に一番強い性質だから、力が少なくても一応倒せはするんだよね」神様が両手をグーパーしてみせる。「だから、あかりに付与した力の性質も光ってことになるかな。いろんな性質があるから、倒し方も神様それぞれだけど。」
その日の夜。
立ち並ぶビルの屋上に、一人の少女が座っていた。
黒地に赤線の入った、古式なセーラー服。黒いおかっぱ頭。
そして何より目を引くのは、我、と書かれた顔隠しをつけていることだった。
「・・・ここの神様、何をしてるんだろうねぇ」かろうじて見える口元に、特徴的な八重歯が覗いている。
「まぁあたしらにとっては好都合だし、別にいいけどさ」
夜風を頬に受けながら、少女はビルから飛び降りた。