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異変調査隊 第2話 本の迷宮 後編
図書館の中に入っても、妖気圧も何も無い。
真ん中の柱に、古びた紙で何か書いてある。
【1 暗くなったら動くな
2 窓を10秒以上見るな
3 童話の本に触れるな
4 暗くなったら前を向くな】
<「【光】どこの怪談っすか?」
「小学生の頃よくあったな」>
<「【エリス】学校の図書館バージョンみたいな?」
不気味な内容だったが、なんか懐かし。
迷宮型には、核というものがある。核を破壊すると、異変は消え去り、普通の建物となる。
核を探しに手分けして調査だ。
広い二階建ての図書館。こりゃ時間かかるな。
私は二階を。
エリスと光は一階を手分けして探す。
私は不気味な階段を昇り、二階へ来た。
寒気がする。ここ絶対ただの心スポだろ…。
「だ、誰かいるか?」>
どんな奴が来ても蹴散らしてやる…。そんなことできねえよ…。
視界の隅の方で何か細長いものが動いた。
ビビった私は、足元の石をそっちの方に投げた。
「いるんだろ?いるなら出てこい!」>
<「【??】痛ってぇな。なんだよ!!」
本棚の奥から、美少年が出てきた。
人間?なんでここに…って、蛇?!
その瞬間、当たりが暗くなった。掟、なんだっけ。
最初は怖くなかったのに、徐々に怖くなってきた。
「なんだよ…これ…」>
私は恐怖で後退りしそうになった。
<「【??】動くな!」
さっきの少年の声が聞こえてくる。そのとき、肩をガッと、でも優しく掴まれた。怖くなくなってくる。
安心した。
パッと明るくなると、後には少年がいた。まず感謝したいところだが、
「お前誰?」>
<「【??】恩人にお前誰はないだろ?」
「そうだった。感謝するよ、礼を言う。」>
<「【??】分かればいいんだ分かれば。」
美少年はそう言って頷いた。
「悪いが、私は仲間と合流しなければならない。じゃあな」>
私はそう言って、美少年に背を向けて歩き去ろうとした。
<「【??】お前の仲間はもういないよ」
そんな不気味な美少年の声がやけに静かになった図書館に響き渡った。
私はその声に足を止めた。
「何馬鹿なこと言ってるんだいきなり。そんなデタラメ信じるわけないだろ」>
分かってた。信じないんじゃなくて、信じたくないんだ。
<「【??】ホントだよ。信じないなんてお気楽な奴だね。」
「仲間がいなくなるわけないだろ!」>
その言葉に怒が湧いてきた。勝手なことをいう美少年にじゃない、いなくなった仲間にでもない、守れなかった私への怒だ。
「ってか、なんで仲間がいなくなるんだよ!?なんでお前が知ってんだよ!」>
感情的になって怒鳴ってしまった。仲間がいなくなったなんて嘘。
<「【??】なんでって、俺がここの`核`だから」
ニヤリと嫌な笑みを浮かべながら、美少年は言った。
その笑みに、私は何も言えなくなった。
<「【??】あの2人、掟を破ったんだよ。エルフの方は童話の本を触ったんだ。もう1人は、窓の外をずっと見たからだ。」
美少年は、そのニョロリとした蛇の尾で、こちらに近づいてきた。
近くの壁に、掟の紙が貼ってある。この掟のせいで、エリスも光も…
「…こんな掟さえなければよかったんだ!」>
`ビリッ`
気づけば、壁の掟の紙を掴んで破っていた。
美少年は、掟の紙を破り捨てると、美少年はほっとしたような、穏やかな笑みをした。
<「【??】ありがとう。君のおかげで、呪いはとけた。」
「呪い?」>
<「【??】この図書館は、これで異変じゃなくなるんだ」
図書館は不気味な場所ではなく、埃も消え去り、過ごしやすい場所だ。
私と仲間は合流して、図書館を出ることにした。
ドアを開けて出ようとしたとき、手を振る美少年が目に入った。
「一緒に来ないか?」>
<「【??】は?」
<「【エリス】コイツ誰?」
<「【光】怪異かもしれないっすよ?」
「私達がいなくなったら一人になるだろう?」>
美少年は驚いた顔をしたあと、すぐ穏やかな笑みが戻った。
<「【??】じゃ、一緒に行こうか」
私達は一歩、太陽の光の降り注ぐ外へ踏み出した。帰り道はいつもの散歩より明るい気がした
ユヅキの恋人ポジ誰にしよかな…。
参加してくれた優しい方!