猫は迷わない

うん。わかってた。 一回呼ばれたら最低３徹はさせられるだろうなぁっていう… 明日朝早いってわかってんのかあなぁ…（関係ない） …生きてっかな夏目先生。 『あの人しぶといから。私が一回家出した時異能使ってふらふらしてたわ。なんか眼鏡掛けた美人なお姉さんに餌貰ってた』 あンのどら猫が(( 夏目先生に会ってからというもの、掃除、洗濯、食事、特務課の手伝い…特一級異能者の監視まであったな。 うんうん。 ２年間雑用ばっかりだな。 そして次の朝。 見事に寝坊。 「やばい！初日から遅刻はえぐいって！なんで起こしてくれなかったんだよ普！」 『え、ごめん寝てた』 役に立たねぇ… とりあえず走るしかない…か。 「異能使っちゃだめか？」 『目立つよ？』 「…」 走りながらビルヂングの屋上を見る。 見えねぇな。 よし。 『っえ？！』 「下から見えなきゃいいんだ。つまり屋上まで飛べばいい。それに…」 『…それに？』 「僕探偵社までの道わかんないから。」 『…莫迦なのかなぁ私の本体君は』 「天才って言ってよ。」 莫迦と天才は紙一重、だろう？ 然うこう言っていると赤いレンガの建物が見える。 屋上に少年…厭、青年が座って飴を舐めて居る。 …あ、眼が合った。 青年は眼が合ったことに気づくとすっと人差し指で下を指した。 「……アマネ、」 『なぁに？』 「探偵社は、…太宰の居場所は、僕が思ってたよりずっといいところだったみたいだ。」 『そうだよ。…私の自慢の職場！』 自慢げに笑う普の眼には何故か泣きそうな顔をした自分が映っていた。 …なんでだろ。 「あ！遅刻する！」 そう。遅刻しかけだからだ。 『え、今いい感じの雰囲気…』 「初日から遅刻はやばいだろ！」 綺麗な木目の扉。 看板には毛筆で『武装探偵社』の文字。 「…なんて見てる暇ねぇ！」 誰もいない事務所内。 見渡していると奥から声が聞こえる。 社長室…か？ 「…遅れました！」 顔を上げると唖然としている背の高い青年と、銀髪に和装の男性。パッと見て手練と分かる。 そして、「ほわぁ」ぽかんと口を開けた『莫迦面』で『中途ミイラ』の。 「…今日から、こちらで働かせていただく所存です。…櫻城アマネと言います。宜しくお願いします。」