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おうぎトーク
「駿河先輩、お話しましょっか」
「君は毎度のことながら前置きが怖いよな」
「はっはー。駿河先輩を怖がらせるのも、僕の
仕事かもしれませんねぇ」
「で、なにゆえ今回は地の文がないんだ?」
「アレンジですよアレンジ。語りも段々同じ
ようになっちゃいますからね。こういう刺激を加える事で、良い物になるかもしれません」
「かもしれないんだな」
「えぇ。絶対とは言い切れませんから。そうだ
駿河先輩。僕、この間阿良々木先輩と面白い
ゲームをしたんです。やりません?」
「一応聞くけど、安全なんだよな?」
「はい、安心安全健全なゲームです。まぁこれ
阿良々木先輩が戦場ヶ原先輩とした物を、僕に
試したらしいので、戦場ヶ原先輩からの
受け売りを阿良々木先輩から受け売りした形
ですけど」
「ふぅん…どんなゲームなんだ?」
「まぁまぁ焦らない焦らない。駿河先輩、小銭を出してください。何円でもいいですよ」
「小銭か?えーっとじゃあ……はい、50円」
「確かに。それじゃあ賭けをしましょう。
んー、裏が出たら、駿河先輩は僕と付き合う
というのでいきましょうかね」
「私の同意がないのに勝手に決定するな、
そしてその賭けなら嫌だ、お断りする」
「えー、じゃあ単純に裏が出たらこの50円は
僕の物という事でいいですか?」
「最初からその賭けにしろよ、なんでちょっと
不服そうなんだよ」
「裏の定義を決めておきましょう。数字の
書いてある方が裏ということで」
「分かった」
「それじゃあコイントスやりますねー」
「うん、私は出来ないから任せるよ」
「へぇ、ちょっと意外です。親指で、
こうやって弾くだけなのに」
「それちゃんとキャッチ出来るのか?」
「よっ…と。なめられちゃあ困りますね。
はい、こちらが結果です」
「菊の花…私の勝ちか」
「いやいや、僕の勝ちですよ?」
「はぁ?どう見たって菊の花が描かれているし扇くんの負けだろう?」
「よぉく見てくださいよ?ほらここ、数字」
「……そういう…まぁ確かにこれは、戦場ヶ原
先輩が思い付きそうなゲームだ」
「それを僕に試した阿良々木先輩は、知識を
得たら、すぐにひけらかしたくなってしまう
タイプだと言えちゃいますよね」
「言えちゃいますよねって…確かに言えるけども言わずに心の中に留めておけよ」
「僕の心の中は駿河先輩でいっぱいですから」
「そんなキメ顔で言っても一ミリもドキっと
しないから」
「残念。駿河先輩ってガード固いですよね。
貞操観念ガバガバに見えて、実は戦場ヶ原先輩よりもしっかりしてるんじゃないですか?」
「どうだろう、私がそんな特別しっかりして
いるわけではないと思うぞ?戦場ヶ原先輩も、
阿良々木先輩にはあんな接し方だけど、扇くんと話すとしたら、阿良々木先輩と同じような
接し方はしないんじゃないのか?」
「おぉぅ、適当に振ったのに真面目に返されて
しまいました…この手に余る言葉のボールは
駿河先輩にぶん投げておきましょう」
「ちゃんと言葉のキャッチボールをしろ。
投げ返せてないから。置いただけだから」
「はっはー。いやぁ駿河先輩をから…お喋り
するのは楽しいなぁ」
「確実に揶揄うのは楽しいなって言おうとしただろふざけんな。君には、先輩を、敬おう
という気持ちは無いのか?」
「ありますよ?ちゃんとしている人には」
「私がちゃんとしていないと言いたいのか!」
「ちゃんとしていると言われると思っていた事に吃驚してます。あなた自分の部屋があんなのでよく言われると思いましたね。愚か者というよりあなたは馬鹿ですかねぇ駿河先輩?」
「ぐうの音も出ない…ぐぅぅ…!」
「出てるじゃないですか、ぐうの音」
「ぐぎぎぎぎ……」
「そんな歯軋りしたら歯並びが悪くなっちゃい
ますよ?歯並びが悪くなったら、阿良々木火憐
ちゃんのように、阿良々木先輩に歯科治療と
いう名のセクハラをさせられるかもしれませんね。あぁでも、阿良々木先輩、あなたの裸に
興味無いんでしたっけ。よかったですね、普通に治療してもらえますよ」
「その時は阿良々木先輩に頼まず普通に歯医者に行くよ…」
「もしも阿良々木先輩のような変態的治療が
お望みとあらば、不肖この僕が務めさせて
いただきますけれど」
「よし決めた。絶対に歯医者に行く。君にも
阿良々木先輩にも頼らない」
「さて、駿河先輩がそんな無駄とも言える決意表明をしたところで。もう締めますけど、駿河
先輩、最後に言い残した事はありませんか?」
「君は副音声でもそうだけど、最後に言い残した事はありませんかって、今から私を殺すのか?」
「おっとバレてしまいましたか。僕の正体を
暴いたからには、生かしておけませんねぇ」
「本当に殺しに来るのかよ!?」
「はっはー。冗談ですよ。しかし僕の駿河先輩に対する愛はそのぐらい大きいという事です」
「君は愛情が劣情になっていそうで怖いな」
「愛情と劣情は、僕からすると同じだと思って
いるのでどっちがどうとかないですよ?」
「私を殺したいぐらい愛が大きいのと同時に、
劣情も抱いているのか……。今後の君との
接し方を考えなくてはいけないな」
「駿河先輩はまた無駄に悩むらしいですが、
今回はここで終わりにしますよ。お相手は、
何かいいことあったらダーク!忍野扇と?」
「何かいいこと…いやなんで副音声みたいに
締めてるんだよ!?神原駿河だった!」