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心神の街
矢島「どこだここ..?」
俺の目には、ファンタジーの物語でしか見ないような街が映っていた。
形のバラバラな建物。都会では見ないような緑が街と共存している。
道はレンガで舗装され、歩くたびにくぐもったコツコツという音が鳴る。
??「どこ、って..スペリーでしょ?」
矢島「スペリー..?」
??「あ、もしかして君。観光の人?」
聞き馴染みのない言葉に首を傾げていると、彼女はそう投げかけてきた。
矢島「え?あ〜..うん、ちょっとね」
??「それならそうと言ってよ〜!そういえば君、名前は?私はマーチェリー!」
一気に捲し立てられ、少し動揺しながらもなんというべきか思考を巡らす。
(マーチェリー?外人っぽい名前..でも顔立ち的に日本人なんだよなぁ..ここは俺も英語っぽい名前にするべきかぁ..?)
本来なら矢島心と名乗るはずなのだが、見知らぬ土地であるせいか、少し慎重になっている。
マーチェリー「ん?どうかした?」
矢島「え、えぇっと..."ライフ"」
マーチェリー「ライフ!いい名前だね〜!」
(よかった、間違えなかった..)
ほっ、と胸を撫で下ろす。
マーチェリー「お医者さんに診てもらわないとなんだっけ?」
矢島「あ、うん。そうしてくれると助かります」
マーチェリー「それならもうちょっと歩くことになるかも..ごめんね〜」
マーチェリー..さんはマド、なんとかが居ればよかったのに〜。みたいなことをぼやいている。
マーチェリー「はい!着いたよ〜」
そう言いながらマーチェリーさんは診療所の戸を開ける。
矢島「.....は?」
外とは一風どころか百風ほど違う診療所の内装が目に入ってきた。
逆さま。何もかもが逆さま。椅子も、カウンターも、観葉植物も。
何もかもが逆さで宙吊りになっている。重力もクソもあったもんじゃない。
今まで勘違いだろうと目を背けてきた推測が、確信に変わった。
ライトノベルでしか聞かないような単語。本当ならあり得るはずのない事象。
矢島(ここは、異世界..?)