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僕は爆弾
--- 僕はこのクラスの爆弾だ ---
暖かい日差しが入り込む、窓際の席。思わず眠たくなってしまいそうな穏やかな午後。爆弾である僕は、今日もひっそりと休み時間を過ごしていた。
突然だけど、もし君の学校に、突然爆弾が現れたら君はどう過ごす?
避ける。
逃げる。
周りの人間に注意を促す。
いろいろありそうだ。選択肢は多い。しかし、それらすべてはが爆弾の存在を否定するものだ。
そしてこの教室にとって、僕がそういう存在だった。
僕が歩けば皆がさっと避ける。まるで自分に向かって爆弾が転がってきたような、恐怖の表情を浮かべながら。
僕が誰かに手を伸ばせば、爆弾が爆発したかのようにビクッとする。
怖いもの見たさか知らないが、僕のことをいじめて遊ぶ者もいる。
僕は孤独だった。皆に避けられ、煙たがられ、いじめられ。何が原因で、どうしてこうなってしまったのかわからない。昔は確かに人間のはずだった。話してくれるクラスメートがいたし、遊んでくれる友達もいた。なのにいつからか、僕は爆弾になってしまった。
意志を持たない無機物として扱われる苦しみ。それはとてつもなく膨大な恐怖だ。僕の意見に耳を傾けてくれる人間はいないし、僕の声も表情の一つも彼らには伝わっていない。もうやめてくれ。そんな言葉は届かない。だって僕は、人間じゃないから。彼らとの意思疎通が不可能だから。僕が爆弾から脱却しない限りこの関係は終わらない。
明日も、明後日も。この学校生活が続く限り、永久に。
僕は時々、ふとこんな想像をする。
もし僕がこの教室でいきなり爆発したらどうなるのだろうと。
今までそんな素振りも見せなかったのに、急に爆発すれば皆驚いて声も出せなくなるだろう。間違いなくその光景を間近で見た者の精神には大きな影響を与えるはずだ。床に伸びる血液。光を反射しなくなった瞳。
その瞬間、僕は爆弾ではなく《《一人の人間に返り咲くのだ》》。
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冷たく黙す無機物としてしか扱われてこなかった。ずっと僕は、このクラスでただの爆弾として過ごしてきた。
でも、もうやめだ。僕は人間だ、生き物だ。
その叫び声をようやく上げることができた。胸のつかえがほっと取れた。
銀色にてらてら光るナイフを取り出す。僕を見たクラスメートに驚愕の色が広がった。ナイフに反射した僕の顔は、とても輝かしかった。
人間として僕を扱わなかった|無機物《クズ》どもに最大の憎しみをこめて。
今、命を投下する。