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4月1週目
入学式は昨日に終わっていた。誰しもが緊張している。
三つ編みを結った大木先生が、教壇に立った。彼女も新米で、緊張している。
「皆さん、はじめまして。これから1年1組、頑張っていきましょう。それでは、さっそく出席を取ります。返事をしてくださいね」
名簿を凝視し、ぎこちない動きで名前を呼ぶ。
「足立咲良さん」
「はーいっ」
「伊藤沙恵さん」
「はい」
「江東萌歌さん」
「はぁい」
〜〜〜〜〜
「山本心葉さん」
「はい」
計28名。彼女らこそが、1年1組の生徒らだ。
「それでは、皆さん、1年間頑張っていきましょうね」
「はーい」「はい」「はいっ」
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早速グループが着々と出来上がっていた。そして、スクールカーストも決まったようなものだった。
咲良、美奈、結奈、夢華のグループ。だが、主に2人や3人くらいの少人数グループだった。
(どうせ、また引っ付いて、離れてしてくんでしょ。磁石と一緒だし)
人間観察が趣味である紗理奈は、長年の経験からそう思っていた。おそらくだが、咲良たちのグループと萌歌&愛羅のペアがひっつく。あとは、様子見といったところだ。
「紗理奈さん、だったっけ」
「あ、はい。紗理奈です」
恵理子が紗理奈に話しかけてきた。
(まあ、この子は同じぐらいのカーストか…)
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「こんちは!」
「_____こんにちは。__」
久しぶりに話しかけられ、凛はどきっとした。彼女は確か、川守桃だ。噂では、スポーツ以外なんでもできる、という。
「いつからそんなに暗いの?」
「いや…」
比較的、声が大きくなった。
「うちの家、離婚してるの。一人っ子だし、みんな私のことを要らないっていうし。勉強は好きじゃないけど、ここの学校を見つけたから。学費は親戚で少しずつ」
「へえ、ってことは、寮コース?」
「そう」
この学校には2つのコースがある。学校に備え付けられている寮で6年を過ごすコースか、学校にその都度帰宅するコースかだ。
共同生活をする。基本的にいくらかのお金をもらい、うまくやりくりして生活する。基本的に3人くらいのメンバーだ。
「悪くないよ。彩芽と葵がいる、207室。明日ぐらいなら来てもいいけど」
「本当?いいの」
「うん。何にもないけど」
彩芽は東大を目指しているので、集中しやすい寮コースを選んだ。葵はなんとなく、らしい。
「まあ…。つまんなかったし。いいよ」
「やった。お菓子、持ってくね」