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「ようこそ魔法学園へ」(2)
今回も内容薄いですがサブ連載なのでいいですよね
「すごいですわ!なんっておっきなお城ですの!!」
|椿《つばき》はすごいすごいと目を輝かせ、子供のようにはしゃぎ始める。
一応彼女も今年で16…のハズだが。
「はしゃぎすぎでしょ!?落ち着きなさいよホラ」
「落ち着けるものですか!お城ですよお城!!」
「わかったわかったから!一旦落ち着いて!」
完全に保護者とその子供の図である。
「それで、入学式はどちらで行うのです?」
「あ、あんた、それすらも知らなかったの…?」
ぜぇ、ぜぇと息も絶え絶えにレティが訊く。
「えぇ!|私《わたくし》、空を飛ぶ乗り物が苦手なようでして…読もうと思っていた説明が一切読めず…」
「はぁ…わかったわよ、案内しながら説明するから、ついてきなさい」
レティ曰く、入学式ではファミリーネームのイニシャル順に並ぶそうだ。
|椿《つばき》はファミリーネームが|勘解由小路《かでのこうじ》のためK、レティはロベッタのためR、と言った具合に。
「それなら、レティフォーネとは一度離れ離れですわね…」
「レティでいいわよ、|椿《ツバキ》ってコース何処なの?私普通コースだからもしかしたら…」
「あら、|私《わたくし》も普通コースですわ!…なら可能性はありますわね!」
ヴェラセルト魔法学園の門は広い。
ほぼ魔法を触ったことのない者であれど、魔法を使える適正さえあるのなら受け入れるのが特徴だ。
だが魔法をよく扱える者と扱えないものを同じクラスにしてしまっては授業に弊害が出るため【普通コース】と、少し特殊な【選抜コース】がある。
「ま、あたし変なところで運いいからもしかしたらまた会えるかもね」
「会えたら嬉しいですわ、主に|私《わたくし》が」
「さ、会場よ此処が……写真お願いしてもいいかしら?母さんに手紙送らないといけなくて」
「構いませんわ!後で|私《わたくし》のも撮ってくださいまし!」
レティからデジタルカメラを受け取り、お互い何枚か撮り合って会場へ。
列順に並ぼうとごった返す入学式会場で、2人は手を振って別れた。
「(ごった返すような人、人、人、人…!外も酷かったですが中はもっと酷いですわ…)」
イニシャルがKの人が荷物を置く場所にスーツケースともう一つの荷物を置いて、自身の苗字を何度も唱えながらようやく列に並べる。
それもそのはずで、ヴェラセルト魔法学園はその門の広さから毎年1000人程度の新入生を迎えるのだ。
いくら入学式会場が広かろうとも、これだけの人数がいれば当たり前にキツくなるわけで。
ようやく全生徒が並び終わった時には、約10分もの時間が過ぎていた。
ついにヴェラセルト教会立魔法学園、第401期入学式がはじまる。
とは言っても、式のほとんどがつまらないスピーチが大半のため、欠伸をしないほうが難しい。
約40分間の長話。それが終われば、今度はクラス分けの掲示を見に行かなければならない。
そのまま1000人を解き放つと中庭がまた大惨事になるのは先生陣も重々承知であるため、これまたイニシャル順の誘導が入る。
|椿《つばき》も誘導に従って中庭に出て、そのとんでもない長さのクラス分けを見る。
「(えーっと、1クラス40人前後で、25クラス程度…コースとアルファベットで分ける、と)」
とんでもない長さの掲示板とにらめっこしつつ、自分の|Tsubaki《ツバキ》 |Kadenokoji《カデノコウジ》を探す。
「(ありました、ありましたわ!!1‐Rクラスですのね!!)」
クラスが見つかった人から荷物を取ってクラスまで移動、という指示だった。
|椿《つばき》はダンガンのように列から飛び出し、自分の荷物を取りに行った。
レティちゃんを早々に出してよかったです…ナイスツッコミです…
2025/11/17 微修正