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進路
東西中。家から電車で約1時間のところにある、私立の学校。
わたしは成績がひとつ抜けていて、通知表には「よくできている」を表す「◎」がずらりと並んでいた。
そんなわたしを、みんなは褒めてくれた。
授業と宿題をちゃんとしたら、誰だってできるんだ。みんな、「帰ったら勉強してるんでしょ?」って聞いてくるけど、大してしていない。
そんなわたしは、6年になって、はじめて塾にいった。けっこう面白いし、乃々葉や恵利という子も通っている。家からもけっこう近い。授業も面白いし。
___でも、やっぱり不安は募る。
もう学校生活に対する不安は、一切ない。先生とクラスガチャ、どちらも当たりだったから。
でも、学校以外のところに不安がある。
弟は、小2になっても、まだ暴力を振るったり、物を取ったり。
母は、弟に対してすごいストレスを抱えたり、ヒステリックになったり。
父は、あんなに温厚だったのに、弟のせいでこんなになった。
弟に、すべてを狂わされた。正直、生まれてこなくても良かったのに。生まれてこなかったら、本当に幸せだった。
英検3級に受かるのだろうか。
東西中、本当に受かるのだろうか。
不安がぐるぐる渦巻き、だんだんと家が嫌になってきた。学校にずっと住んでいたい。家は、時々帰るぐらいでいい。
偶に、塾で大きなテストを受ける。そのとき、学校ではほとんどが、「100」の赤い数字だ。それなのに、そのテストは「87」とか、ひどいときには「65」とか、さんざんな点数だ。そのたびに、「調子に乗るな、現実を見ろ」って突きつけられている気がする。
歴史の授業だって、何がなんだかわからない。理科だって覚えることが多いし、算数はケアリスミスが怖い。国語の「〜〜を用いて」というのは、未だにコツが不明。英語は、ライティングができないのだ。
とにかく、できない。できないだらけ。追いついていくのに必死で、シャープペンシルを走らせる。家庭環境も悪い。係活動だって嫌だし、委員会だって最悪だ。
唯一の光をともしてくれたのが、先生の存在だった。クラスメートも。
だからこそ、わたしは生きていける。
___もしも。もしも、その学校という環境が打ちのめされたら。わたしは、もう生きていけなくなるだろう。