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第9章:谷の奥に隠された真実
第9章:谷の奥に隠された真実
ユウとカナは、「北の谷」を越えてさらに奥へと進んだ。谷を抜けた先には、荒廃した森林と干上がった河川が広がっていた。昼間でも光がほとんど届かず、まるで世界が深い闇に包まれているようだった。
「ここが、父が言っていた場所だと思う」と、カナが呟く。
彼女の声には不安が混じっていた。ユウはそれを感じ取り、彼女の肩に手を置いた。
「大丈夫だ、カナ。きっと何かがある。希望がある場所だ」
だが、ユウの心の中でも、次第に疑念が芽生え始めていた。北の谷を越えた先に、果たして本当に“希望”があるのだろうか? それとも、待ち受けるのはさらなる絶望なのか。