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まさか、あなたですか? 第6話〜第10話 総集編
「まさか、あなたですか?」の第6話〜第10話をまとめました!
第1話〜第5話 総集編 https://tanpen.net/novel/e8004738-a09f-43ca-8e7d-58e2d9672bcf/
場面は交通事故当時になる。
実は夜月怜愛はその日だけは1人で登校していなかった。
誰か・・・同級生の女子だったに違いない。
楽しげに会話する様子は青春を感じさせるものだった。
その青春の中に自動車は突っ込んでいった。
その時からだろうか。夜月は呼吸アリの意識不明の状態。ではもう1人は?
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夜月はもうこの調査に音を上げたい気持ちだった。
だけど。この事件を解決しなければまた同級生が死んでいく。
そんなこと国語の授業中に考えていた。その時だった。
吉野凛が急に突っ伏した。いや倒れたのだ。衝撃の大きそうな音が先生を驚かせた。
吉野のぐったりとした手からシャーペンが転がり落ちる。
国語教員が驚いた顔で吉野に近づいた。
授業が一旦停止され、自習となった。
学校から支給されているパソコンで交通事故について書かれている記事を見つけた。
小見出しは「交通事故 女子中学生2名が巻き込まれる」。
流石に名前は出ていなかったが。
はて。交通事故に巻き込まれたのは私以外にもう1人いた記憶がない。
違う交通事故かもと思ったが発生時刻と発生場所は同じだった。
あの日、一人で登校したんじゃなかった。
でも交通事故にあったのはわたしだけ。
じゃあもう1人は一体誰だ?
誰だ。誰だ。誰だ。誰だ。さ、、、、あ
ふと、誰かの名前が浮かんだ気がした。
だが記憶に霧がかかったような状態で思い出せない。
もしかしたらその人がみんなの記憶から消え、記憶の改竄によって減った女子寮生の1人分なのではないか。
誰だ、誰だ。
私は誰と登校していたんだ。
ああ。思い出せない。
寮に帰った後、夜月は疲れ切っていた。
佐々山詩音が声をかける。
「なんかあった?」
「ううん。何も。」
来週には女子寮内で部屋替えがある。
たしか中2は木曜日。
そのときになったらこんなことわすれているかもしれない。
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次の木曜日。部屋替えがあった。
新しい部屋のメンバーは夜月怜愛、寺田春菜、酒井愛玲奈、石川秋葉だった。
部屋替えが終わり、新しいメンツで挨拶をする。
「怜愛たんはじめてだね。よろしく〜」
「こちらこそ。春菜ちゃんとあまり喋ったことないから〜。よろしく〜。」
「なんか、れいあとえれなって名前がなんとなく似てるから、間違えそうw」
「え〜、れが入ってるだけじゃんw」
さあ、ここで読者さんに話しておこう。
読んでいてきっと4人部屋なのは承知のことだろう。
この寮では二段ベッド制で、夜月の部屋は、部屋に入って右側にあるベッドの上が寺田春菜、下が石川秋葉。もう一方のベッドの上が夜月怜愛、下が酒井愛玲奈という具合だ。
そしてベッドにはみんなが落ち着いて寝れるようにカーテンがある。
このことを覚えていてほしい。
夜11時半ごろ。
私はふと目を覚ました。
下から、かさっかさっ、という音がきこえた。
落ち着かず見にいきたくなったのと、水を飲むために下に降りた。
すると…。
下のベッドのカーテンが開いていて、愛玲奈が姿を消していた。
この時間帯に行ける場所はトイレだけ。
この寮は厳しく、自分の部屋ではない部屋はいってはいけないことになっている。
気になってトイレにいってみた。
だがトイレの電気は消えていて、人の姿が感じられない。
では愛玲奈はどこに行ったのだろう。
部屋に戻っても愛玲奈の姿は見当たらなかった。
落ち着かなかったが私はベッドに入った瞬間眠りに陥っていった。
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次の朝。部屋にはきちんと愛玲奈はいた。
怜愛は愛玲奈に昨晩のことをきいた。
「ねえ。昨日の夜、何してたの?」
「え?普通に寝てたけど?」
「え?ベッドにいなかったじゃん」
「そうだったかな。普通に寝てたけど。」
昨日のは夢か?いや、そんなことはない。
絶対この目でみて、疑問を抱いた。
愛玲奈は何かを隠している。または…愛玲奈は本当に何も知らず、昨日のは何か変な現象が起きていたのかもしれない。
交通事故にあった、もうひとりの…
愛玲奈は絶対居なかった。
昨日の夜は。
なのに、なんで。なんで。
朝。
学校に行く途中、ひとりで考え続けた。
自分と一緒に登校した(?)子は誰だったのか。それともそんな人は最初から存在していなかったか。
事故にあった現場を通り過ぎた時、謎の感覚に包まれた。
事故現場に誰かいた気がする。
それも声まで聞こえた気がする。
「••生き・・よ・・・ね」
でも、振り向いても誰もいなかった。
そもそも今日は早く寮を出たものだから、人気なんてほとんどない。
幻聴。不思議な幻聴。
きっと、亡くなった子の声。
みんなの記憶から消えた子の声。
学校についてからも、授業中も、落ち着かなかった。
わからない、ということがモヤモヤしてる。
下校中、部活の後輩と下校している時だった。
事故現場の前を通った時、私は石か何かに躓いて転けた。
その瞬間だった。声が聞こえた気がした。
「…を連れ戻して-」
転けたとき、後輩にめちゃくちゃ心配された。
「大丈夫ですか⁉︎」
「…大丈夫。ごめんね…」
「いいえ!全然…」
私は急いで立ち上がって、後輩に微笑んだ。
「…そういえばここって先輩が事故にあったところですよね?」
「…そうだね。」
「私、ニュースで事故のこと細かく聞いたんですけど、記事には2人の被害者って書いてあったんですけど、もう1人の先輩が誰かわからなくて…」
「そう。私も誰と歩いてたかわからない。」
後輩は驚いた顔でこちらを見てきたが、気をきかせて別の話題を話してくれた。
そして、この日の夜、同じ部屋の寺田さんが亡くなった。
続々と出る死者に夜月は違和感と焦りを感じていた。
寺田が亡くなった夜、夜月たちの部屋は言葉を交わさず、静かな夜を過ごした。
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夜月は夢の中。
学校に登校する夢だった。
交通事故の現場を通り過ぎた時、足元に1枚の紙を見つけた。
紙には以下のように書いてあった。
エレン ナナ ハ アル 。
エレン、7はある?
エレン、(と)奈々はある?
どっちにしろ意味がわからない。エレンって誰?
エレン?ケレン?外連?ごまかし?(外連=ごまかし という意味です。)
そんなわけないよね。
でも、重要そう。
でも、誰かが落としたメモかもしれない。
私は拾わずにその場で暗記して歩いていく。
そして、教室に入ろうとした瞬間…
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目が覚めた。
頭には呪文のように「エレン ナナ ハ アル」が唱えられていた。
ベッドから起きて、机のメモ帳の空いたページに書いてみる。
エレン ナナ ハ アル
女子寮生の瀬尾奈々(1話に出てきました)が関係ある?
だとしたらエレンって何?あるって何が?
ふと愛玲奈の名前が浮かんだ。
きっとえれんとえれなの[えれ]が重なったのだろう。
エレン ナナ ハ アル
並べ替えると…
3人の名前が浮かんだ。
エレナ アン ハルナ
愛玲奈
杏(あん・教師で第3話で死亡)
春菜(はるな・第8話で死亡)
亡くなった2人と愛玲奈の名前が並べてあったのだ。
これは、もしかしたら次は愛玲奈がなくなるという暗示なのではないか。
となると、愛玲奈は危険な目に遭う前ということになる。
今思えば、ベッドに愛怜奈がいないと思ったのも、たまたま愛玲奈が布団に潜ったりしてて見えなかっただけなのかもしれない。
どうしたら愛玲奈を守れるかな。
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次の日の朝。
いつもよりも頭が重たく感じる。
重たいし、なんか頭が痛い。
体温計を手に取って体温を測ってみた。
38.6…
秋葉ちゃんが体調悪そうなのに気がついて声をかけてくれた。
「大丈夫?顔赤いよ?」
「…大丈夫…保健室行ってくる。」
寮の事務所に行って寮母さんに症状を伝え、保健室に行った。
もしかしたら愛玲奈ちゃん、今日何らかの原因で亡くなるかもしれない。
そう思うと心配で仕方がなかった。
最初は心配でソワソワしていたが次第に頭の重みと薬の効果で深い眠りに落ちていった。
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ー 私はノア…私はノア…
学校の席に私は座っていた。
特に何もないのに、ただただ一点を見つめていた。
気が向いて、違う教室を覗いてみた。
すると、そこには見覚えのない少女が教室の後ろの端っこの席に座っていた。彼女の席なら話してても目立たないだろう。特にこの教室はいつも騒がしい。
彼女に話しかけてみた。大人びた、蒼白い顔がこちらの顔を覗く。
よく見ると瞳の色が左右で違う。
右目は黒。左目は青。そして、目も瞳も大きい。まるで吸い込まれそうな目をしてる。
「…何か用ですか。」
「はじめて見る顔だと思って…お名前を教えていただけますか?」
「私は…ノア…。」
名前を聞いたとき、“ノア”と名乗る少女は一瞬戸惑った顔をしていた。
私は思った。“ノア”なんて私の学校にいたか。入学時にはいただろうか。でも、転校生はいなかったはず。これは…夢?夢だったら実在しない人物でもあり得るかもしれない。
そう考えていたとき。遠くから消しゴムが飛んできた。消しゴムが私の方へどんどん近づいてくる。
私の顔にぶつかろうとしたその瞬間。
“ノア”が手を伸ばして、消しゴムが私にぶつかるのを阻止した。
「ありがとう。」
「ううん。ぶつからなくてよかったね。」
“ノア”は笑顔を見せた。何かに惹きつけられるこの感覚は一体なんだろう。
「ここ、騒がしいから私の教室に行く?」
「うん。」
そうして、私の教室に移動した時。
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目が覚めた。やっぱり夢だった。
今、はっきりと夢の内容を覚えている。そして疑問が浮かぶ。
“ノア”という名前のあの少女は存在するのか。
“ノア”という少女はなぜあんなに蒼白かったのか。
“ノア”は私と会う前、どこを見ていたのか。
発熱しているとは思えないぐらい頭が回転している気がする。
今は保健室にいるから学校に行って、実際に“ノア”が存在するかは確認できない。そして、“ノア”を現実で見ることもできない。
どうすればいいんだろう。
そうだ。今は夢をみまくればいい。今はそれしか思い浮かばない。
この不可解な殺人、現象は私が止めなければ。
夢は都合よく、さっきの続きからだった。
“ノア”は教室に入った瞬間足を止めた。そして、地味に不可解な言葉を発した。
「あの子は…あの子は…もういない…いないはず…」
「…いない?」
「うん。」
「あの子って誰?」
「あの低めの一本結びをしている子。」
…。愛玲奈…ちゃん…。
「なんで…なんでいないと思うの?」
「私にはわかる。私には感じ取れる。」
「何が?」
「死の感覚。私の左目が…感じ取ってる。」
「え…」
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「怜愛さーん」
高2の女子寮生担当であり、私の部活の顧問である中野渡先生の声がする。この声で目が覚めた。
ゆっくり目を開ける。
「大丈夫?」
「…大丈夫です。」
「明日は、夜月は部活オフね」
「わかりました。すいません。」
「お大事にね〜」
先生は保健室から去っていった。
夢に出てきた“ノア”の左目、あれは一体なんだ?
いよいよ最終話公開予定です!