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あぁ夏よ、そんなに暑くなるな。
ふわり、とやわらかい風が吹く。
しかし、それは冷風ではない。
熱風が顔を汗ばませていた。
「…あっっつ!!!」
思わず叫んでしまい、通りすがりの近所の人の目が痛い。
近くの窓の開いた家から、遠い夢の部屋のような涼しい空間が滲み出ている。
ずるいなぁ、なんて思いながら帰る道をひたすらに進む。
「エアコンの効いた部屋でアイスを食べたい」なんて普通のわがままを。
早く叶えたいから、私は進む。
「…!寒い、寒い!」
あまりにも寒いから、と連呼すれば涼しくならないかな…
なんて思ってみたりして。
きっと極寒の地でも、この場と比べたら美しい星だろう。
…いつかは知らなくちゃいけないこと。
やっぱり、暑い。
むしろ、お日柄も良いね。
早く家につきたい、なんて色褪せぬこの想い!
いけ好かない!
太陽がひたすらに眩しくて、眩しい!
きっと、この灼熱の炎が終わる頃には同じように、アイスが食べれるはず!
ガチャっ、と扉が開いた。
「…はぁ…!!!!ただいま!」
「何、そんなこの世の終わりから復活したみたいな顔で」
「嬉しかっただけ!」
「ゴミ捨てから帰ってきただけで…?」
椅子に座って、息を吸う。
ふわり、とやわらかい風が吹く。
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