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野生のごりら
誤字や漢字変換など直さず一時的な物です。またタイトルは決まってません。
生きる価値のない人間を救って誰が喜ぶ?
「生きていればきっと価値は付く」
そう言った少女に俺は小さい頃救われた
年齢は同い年くらいだろうが顔も名前も覚えてない。どこに行ったのかも分からない。いや教えてくれなかったのか、それすら覚えてない。
重要なのは救われた事実だけなのだから。
僕は孤児だった。親は5歳の時悪魔によって殺された。その時から俺は1人孤独になった。
行くあてもなく泣き崩れている時に初めてその少女に会ったんだっけ?もううろ覚えだ。
仕方ない10年も前の事なんだから。
ただもう一度だけ。もう一度だけあの子に会えたら…
「…ここは?」
目が開きゆっくりと体勢を起こす。ふわふわしていてどうやらベットのようだ。どうやらいつの間にか眠っていたらしい
「随分と昔の夢を見た気がする…」
思い出したくもない孤独な夢だ。あくびをした後ベットから降りてカーテンを開ける。窓越しにキラキラとした日光が照らしてくるのが分かる。
「いい天気だなぁ」
朝食の支度をしているとガッシャーンと大きくドアが開く音がした。
「やっほーレイ!約束の時間だけど来なかったねぇ!??私は先に終わらしちゃったよ」
少し怒った様子で少女がこちらに駆け寄ってくる。
彼女はアヤ。アヤ・ミルテリア。ぱちくりとした大きな茶色の瞳に茶髪で肩らへんまで伸びている。明るい性格で幼馴染のようなものだ。
「あーごめん、忘れてた。なんの約束だっけ?」
「はぁ〜そんな事だろうと思ったよ」
大きなため息をつきながら椅子に腰を掛ける
「パーロと私と3人でお昼に畑仕事するって昨日約束したじゃん!」
そういやそんなこと言ってた気がするな。。妙に昨日の記憶が曖昧だ
「そうだっけ?悪い悪い。それでパーロは?」
「パーロは先に畑行ってるよ。私はいつまで経っても来ないあんたを叩き起こしに来たわけ!」
「そりゃどーも。」
支度をしてアヤと共に外へ出るとギラギラと熱い太陽が俺を照らしてくる。
天気が良いのは素晴らしいがこうも暑いと畑作業は気落ちするな。。そうは言ったものの俺は渋々畑に向かう事にした。
ここはカポス村。人口50人程度の小さな村だ。さらに周りが森林に囲まれている。
川で取れた魚や畑で採れた野菜、森で取れた野獣なんかで日々生計を立てている。
5分ほど歩くと畑にぽつんと立っている大きなゴリマッチョが見えてきた。
「お、やっと来やがったかレイ。待ちくたびれたぜ」
大きなクワを地面に突き立てこちらへやってくる大男。
こいつがパーロ・アルテクト。比較的良いやつで頼れる兄貴って感じだ。
「永遠と待ってた方が良かったんじゃないか?」
「ハッハー!殴り飛ばすぞ」
笑顔は崩さなかったが奥底に殺意が垣間見えた。
だがまあ俺らは冗談を言えるくらい長い付き合いで仲良しだ。こんな事で怒ったりしない。それになんやかんやこいつは3人の誰よりも優しいしな。
「私は家事のほうやってくるから仲良しお二人さんは畑仕事頑張ってね!」
そう言うとアヤは手を振り走り去っていった。
基本的に畑や狩猟は男たちがやるもんだが、パーロの必死なお願いで少し手伝っているだけだ。アヤには感謝だな。
「なあパーロ。もしも俺がこの村出るって言ったら止めるか?」
俺は畑作業をしながらパーロに質問を持ちかける。
「もちろん止めるな。親友として。もやしのお前が森を抜けれるとは思えないし何より森の外には悪魔がいる」
「だが急にどうしたんだ?」
パーロは不思議そうに首を傾げる。
「不思議な夢を見たんだ。何言ってるか分かんねえよな。ごめん」
「そうか。余り悩みすぎんなよ」
「ああ。ありがとう」
パーロはそれ以上何も聞こうとしなかった。彼なりの気遣いだろう
話は途切れ気まずい空気のまま黙々と作業を続ける。
日が暮れてきて炎のような日差しも落ちつてきて辺りが暗くなる。
「おーい!」
手を振りながら笑顔でアヤが走って近づいて来る
「畑仕事お疲れ様!夕飯うちでどうかな?」
「お、いいな!行こうぜレイ」
答える間もなく半ば強制的に連れてかれアヤのお家で夕飯を食べることになった。
家に入るとアヤのお母さんが夕飯の支度をしていて何やらいい匂いがする。
畑で採れた野菜と森で採れた猪肉でカレーを振る舞ってくれた。家庭の味でthe おかんのカレーって感じだ。
ただアヤのお父さんがいない事に気になりどうしたんだ?と聞くとどうやら村に人達と狩猟に行っているらしい。まあ夕方までご苦労な事だ。
「いただきます」
声を揃えて感謝の言葉と手を合わせるとご飯を食べながら世間話が始まった。パーロちゃん大きくなったねぇとか。俺は先程のこともあって気まずい雰囲気だ。
「おい、アヤトさんがやられたってマジか?」
優雅な夕飯タイムを楽しんでいるとどうやら外が騒がしい。窓を覗くと人集りが出来てるようだ。
なんだなんだと外へ出ていくアヤとパーロに俺も後をついて行く。
人集りのの中心に入った瞬間アヤが泣き崩れパーロが深刻そうな顔をする。視線に顔を向けると腹部に穴の空いた人が仰向けで倒れている。
そして不幸なことにそれはアヤの父であるアヤトさんだ。アヤトさんは数名の狩猟班と共に森へ行ったはず。
何があったんだ?場が騒々しくなって行き村長がやって来た。
1mほどの木の杖を付いておりメガネをかけている村長さん。何を考えてるか分からない人で正直苦手だ。
「まあ落ち着きなされ、まずは何があったか話してくれ。」
麦わら帽子を被った小太りのおっちゃんが事情を話し出す。彼はアヤトさんと一緒に行っていた狩猟班の1人だ。
「いつも通り猪みっけて狩猟銃で狩ってたんだ。そしたらよ。出たんだべ。あ、悪魔がぁぁ」
小太りのおっさんは叫びなら恐怖で震える。
「見た目はボロボロなおっさんだったべ。アヤトさんがどうしたんか近づいたら急に腕がえれぇ曲がってアヤトさんの腹を貫通したんだっぺ。急いでアヤトさん担いで逃げて来たってわけだっぺ。」
「もうおしめぇだ!悪魔は森に入れねぇんじゃない。森に入る必要が無かっただけなんだっぺ。」
「村の人みんな悪魔に殺されて終わりだべぇ」
気が狂ったように叫びながらそう言うと男は泣き崩れた。。
村の人達が落ち着けと慰めるがこうなってはすぐに冷静にはなれないだろう。
悪魔か。人間に化けて人間を食べるバケモノ。急に森に入ってきたのはなぜなんだ。。クソッ!俺は怒りと共に拳を強く握る。
そうして、俺の幸せな日常は終わった。。
その場はなんとか村長が治めてくれて俺たちは各自家に戻ることになった。家に戻ったら普段見ない光景を見たからか、どっと疲れて気づいたら眠っていた。
「もしも自分に価値があると思える日が来たら、私を探しに来てね、」
またあの少女の声が聞こえる。何も見えないし何も感じない。聞こえるのはただあの子の声だけ。
「また、夢か…」
体勢を起こし手を額に当てる。
価値のある人間か。俺はあの時からなんにも変わってない。救ってもらって命でただのうのうと生きてるだけだ。自分が情けないよ。親父失った少女1人慰めてやれないなんてな。パーロは凄いよほんと。あの後泣き崩れたアヤを慰めていたんだからな。
自分の情けなさに浸っていると。パーロとアヤが家に訪ねてきた。
「なあレイ。俺たちと一緒に村を出ないか?」
急に来たと思えば何を言っているんだ?森には悪魔がいるのに村を出るだと?寝起き早々頭も回らない俺は混乱し始める。
「冗談じゃなくて本当よ。」
真剣な目でアヤが俺を見つめてくる。
「悪魔がいるのに村の外へ出るのか?正気か?」
昨日の一件からどうしちまったんだよ本当に。
「若いもんは森を抜けて悪魔がいない所に行けって。それが村の方針よ。お母さんとも話し合ったわ。」
「なるほど。村の方針でも俺は賛成しきれない。俺はお前らに死んで欲しくない。それに子供達は連れて行かないのか?」
もちろんこの村には小さな子供も多数いる。連れて行かずに置いていくとしたら俺らを優先した理由はなんだ?
「子供達は無事に町まで着けるか分からないし足手纏いだから成長してから村から送り出すらしいの。」
アヤが少し悲しそうな表情で俯く。
「安心しろ、俺がいる限り2人は死なせん。それにもう決めた事だ。分かってくれ、レイ」
珍しくパーロが俯き深刻そうな顔をする。それにここで反対しても2人きりで行ってしまうかもしれない。見てもないところで2人が死ぬのはもっと嫌な事だ。仕方なく俺も2人と共に村を出ることにした。
村人の家を一軒一軒回って別れの挨拶と感謝をしていると俺は村長に呼び止められた。
「おや、レイ。ちとわしの家に来てくれんかね。」
「お前を呼んだのは他でもない。悪魔のことじゃ。勿論知っておると思うが悪魔は殺した人間に化ける事ができる。」
この村にいる人全員知ってる事だ。化ける前の姿は見た事ないがどうやら黒くおぞましいらしい。
そして悪魔と人間の見分けかたは“感情”だ。悪魔は人の姿はコピー出来ても感情まではコピーする事が出来ない。なぜなら素の人間と言うのを見たことがないからだ。だから悪魔は大袈裟な感情もしくは無表情しか出来ない。
「お前はアヤやパーロが喰われた時。殺す事が出来るか?」
威圧するように鋭い眼差しでこちらを見つめてくる。
質問の答えは否だ。俺はアヤやパーロが偽物でも殺す事は出来ないだろう。まず喰われた事実で助けを求めに逃げるだろうな。俺は力のない弱い人間だ。
「無理です」
「そうか…。どうか生き残ってくれよ」
そう言って村長は解放してくれた。何が言いたかったのかはいまいちわからなかった。村長は何を伝えたかったんだろうか…
次の日になり村を出る日がやってきた。俺の鞄には保存食や着替え、寝袋なんかが入っている。
アヤの母親や、パーロの両親達に挨拶を済ませ、静かに森に入っていく。別れ際にアヤが母親と泣きながら手を振っているのを見ていると少し心が痛んだ。
「目的地は村の北にある町ラインネス。透き通った川が名産な町だ。3日ほどで着く予定だ。」
そして俺たち3人は村から旅立つ事になった。。
1話完成なうです。タイトル先に決めずに後から決めると言う珍しいパターンになりました。物語の展開を先に考えちゃうとそこ書きたすぎて他がガサツになっちゃうの悪い癖ですね。
主人公の過去と夢の少女はおいおい明かす予定なのでお楽しみに!
野生のごりら