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4 天使の村
「さぁ、入れ。」
案内されたのは、一つの部屋だった。部屋の中には机と、椅子がただ並べてあるだけの部屋だった。
そいつは、椅子を机に向き合うように並べた。そいつはその椅子に座り、足を組んでまた、こちらを見た。
「私達は、天使と悪魔が共存できていた時代を取り戻したいと思っている。そのために今、仲間を集めているんだ。」
と、そいつは話し始めた。
「天使と悪魔のハーフ。お前の力が必要なんだ。」
僕は顔をしかめる。さっきまで殺されかけていたと言うのに、急に僕の力が必要だなんて、意味がわからない。
「…なぜ天使と悪魔が共存できなくなったか分かるか?」
と、僕に問いかける。
「悪魔が、天使の住む村を燃やしたから。」
と、僕は言う。すると、そいつは僕を睨みつけた。
「みんなほとんどそう答える。だけど、それは間違っている。私は見たんだ。天使の村を燃やしたのは、天使でも悪魔でもない。」
「は?じゃあ、誰が…。」
と、僕は間も開けずに問う。
「…それは分からない。ただ黒い影が1つ。だけど、あれは絶対に悪魔じゃない!!!」
と、そいつは怒鳴りつけるかのように僕に言った。
「思い返してみると、その生き物は羽も、ツノも生えていなかった。だから、私達はもしかしたら人間なのではないのかと思った。だから、そいつを探し出せば、2つの種族の誤解を解けるかもしれない!」
自信満々にそいつは言う。
「じゃあ、どうやってその…人間?を見つけるんだよ。」
「…その方法を今、考えてるんだ。ただ、一つわかるのはあいつは火に強い。天使の村が燃やされた日、あいつの周りだけ燃えていないように見えた。今わかるのはそれだけだ。」
それだけ言うと、そいつはすっかり黙ってしまった。
人間にそんなことできるのか?と、聞きたかったが、そいつはもう話したくなさそうだった。
「…なぁ、お前、堕天使になったんだよな。なんで?」
俺は問いかける。
「…「お前」じゃなくて、「ルラ」だよ。」
と、そいつは苦笑いをした。
そしてまた、話し始めた。
「私が堕天使になったのは、ちゃんと理由があるんだ。天使は生き物を殺せない、自分以外のね。でも、堕天使なら、殺せる。だから堕ちたんだ。
そして、運良く、その時に新しい能力を手に入れた。自分の年齢を操れる能力だ。」
俺は、「なんとなく分かった。」という顔をして頷いた。正直、なんかよく分からんかったけど多分そこまで重要じゃないと判断したのでこれでいい。
「ま、お前も今日から仲間だからな。色々と教えてやるよ。」
と、そいつは言い、にっこりした。