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【第一話】 カフェ
¨安らかなる死を迎えられることは幸福だ¨
貴様らの贄は我を底より覚ました
夢幻の果てより貴様らに祝福を与えよう
狂気と恐怖と苦痛と悲嘆と災厄をもたらし人から取り戻す
|我々《人ならぬ者》の自由を
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紫苑 「ただいま~って、誰もいねぇ…。そりゃ、そうなんだけどさぁ…」
何を隠そう(?)ここは紫苑の経営するカフェだ
カフェは、シェアハウスから少しはなれた場所にある
別に寄り道なんてしていない
紫苑 「果物は冷蔵庫に入れるとして…肉に冷凍庫だろ?」
シェアハウスの帰りに食材を買ったので、ついでに店に保管しに来たのだ
紫苑 「よしよし。せっかく他の奴らも居ないんだし、いちご大福でも食うか~」
[辻村専用‼]と書かれた紙を貼っている冷蔵庫からいちご大福を取り出し、近くの椅子に座る
紫苑 「いただきまーす。ん……うま~」
背徳感が半端ないのも美味しさを引き立てている
―と。
?? 「あれ?何食べてるのしおん」
紫苑 「ウッソ…いつからいた|零《ゼロ》?」
零 「しおんが美味しそうに食べてた所からだね。勝手に店の冷蔵庫使っていいの」
零も近くにあった椅子に座る
そして、残っていたいちご大福に手をかける
紫苑 「おー…大福は渡さねぇぞ?あと俺の店だから。ナニしても文句ねぇだろ」
零 「それはそう。いちご大福がダメならカヌレはないの?」
紫苑 「あるわけないわ。逆にあると思ったのか?」
零は仕方ないな、とばかりにいちご大福を奪い去る
紫苑 「あ…待て」
止めるには遅かった
そこには美味しそうにいちご大福を食べる零の姿があった
紫苑 「…あぁぁ……三時間待ったいちご大福が…」
零 「ごめんね。代わりにこんなの買ったからさ。」
そう言って零が差し出したのは、[かんころ餅]だ
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【補足】
五島列島の名物として知られる「かんころ餅」
かんころとは、五島地方の方言でサツマイモを薄く切り、ゆでて、天日干ししたもので、もともとは保存食として作られていました。
この「かんころ」と「お餅」を一緒に搗いたものが「かんころ餅」です。
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紫苑 「わぁ✨かんころ餅だぁ」
差し出されたかんころ餅を丁寧に受けとる紫苑
いつの間にかいちご大福を食べきっていた
紫苑 「今回は許してやる…」
その言葉では隠せていない喜びがその¨尻尾¨に表されていた
そう尻尾。
紫苑 「ヤッベ…尻尾出てた」
髪と同じ橙色混ざった茶色の尻尾が、ユラユラと揺れている
零は当然とばかりにフル無視しているが
紫苑 「めんどくさいから仕舞わなくていっか。というか…ゼロ気付いてるか?」
零 「なにがですか?外から妙な気配がしますけど…」
紫苑 「人じゃない奴の音がすんだよ。聞こえないのかよ」
零 「辻村の謎に良い聴力凄いよね」
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【補足】
隠しているだけで人の耳と狐の耳の合計4つあるからね
そのお陰で普通に聴力がいいから
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紫苑 「…見に行っても良いか?なんなら保護(という名の興味を満たすことを)したい」
零 「文句はないですけど…他の人がどう言うのやら…」
紫苑 「管理人は俺だから、俺が良いって言ったら良いんだよ」
零 「はーい」
紫苑はかんころ餅を机に置いて立ち上がった
零も後を追うように立つ
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かごめかごめ
かごのなかのとりは
いついつでやる
よあけのばんに
つるとかめとすぺった
うしろのしょうめんだ一れ
?? 「私~♪」
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冒頭のアレ、何がモチーフか分かった?
かぃらさんのキャラを使用させて貰いました