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超が付くほどへったくそです☆
《冥視点》
もう天はぐっすり眠っている。
--- いつ 言うの? ---
冥天丸が聞いてくる。
「言えるわけ……ないでしょ……。」
あれほど村を好いていた天に、自分が殺したなんて告げられるわけない。
--- 思い出すまで待つの? ---
「うん。それしか、私にはできない。」
冥がうつむくと、冥天丸はため息をもらす。
--- 冥は竜に甘いね ---
「甘い……か。生まれてきてからずっと一緒にいたもの。」
--- そうだね 後、いい知らせ 呪家が、天(てん)が見つかった ---
「どこ?」
--- 人狼の森 ---
「お兄ちゃんは私が嫌がるところを知ってるみたいね。」
--- 天は頭がいいからね ---
冥天丸はクスッと笑う。
「……冥天丸はお兄ちゃんが、使い手があやつられていて寂しくないの?」
--- 寂しいよ ---
「そう。」
やっぱり……。
私が謝ろうとすると、冥天丸はでもと続ける。
--- でも 信じてるから 冥が取り戻してくれるって ---
「そう。じゃあ、おやすみ。」
--- おやすみ ---
冥は少し嬉しそうな顔をすると、その場に横になった。
---
「行くよ。」
朝起きて一番にそう言われた。
「どこに?」
「人狼の森。」
「聞くからにやばそう。」
「うん。人狼がいるから危ないよ。」
「やめときます。」
「でも、行くよ。」
「拒否権ない?」
「もちろん。」
最悪だ……。
天は苦虫を噛み潰したような顔になり、さも渋々といった感じで冥について行った。
---
「ここが、人狼の森……?嘘っ!」
人狼の森はすごく自然豊かな明るい森だった。
「ここって本当に人狼でるの?」
「もちろんでるさ。」
答えたのは、冥じゃない声だった。
声の主は、黒髪に黒色の目をした少年だった。
その少年を見て、冥は目を見開く。
「お兄ちゃん……。」
「えっ……?」
この人が冥の……兄……?
「久しぶりだねぇ。ソラ。」
「俺はお前と会ったことはないぞ……。」
「天だよ。そっかぁ。記憶ないんだった!」
天と名乗った少年はケラケラと笑う。
明らかに敵だ。
天は低いうなり声をあげる。
なぜ、自分でもそんな声を発せられたかは分からない。
「君たちと遊びたいのはやまやまなんだけど、あんまり時間かけると怒られちゃうから、君たちの相手はこの子たちにしてもらうよー!」
天がそう言うと、森の奥から二匹の人狼が現れた。
---
5(完)
天(てん)と天(そら)だと分かりにくいので、次回から天(そら)はソラにします。
ご了承ください。