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#1
118人目が生まれた途端、国中は歓喜の声へ包まれ、やがてどよめきへと変わっていった。
『119人目がこの世に享けた時、必ずや大事が起こるだろう』
とある古い図書館。354年という、他の星から見れば短い歴史を持つストイヒア国では、この予言に恐れ慄いていた。終止符を打つなど有り得ない。その図書館は、ストイヒア国が誕生したときからあったものだ。作者は不明、ただ走り書きのようなメモがあったのみだ。
「118人目は、オガネソンというらしい」
「へぇ、118人。もうなのか」
水素と、リチウムは喋り合っていた。城の近くの噴水に腰を掛けていた。さっそく118人目に反応していた。
ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムも喋っていた。
「118人ねぇ」
彼ら7人は、アルカリ・ファミリアというグループだった。
1番はじめに誕生した水素は、最年長の威厳というものは殆どなかった。軽やかな性格ゆえに、少々炎上することも多々あった。だが、みんなスイを愛している。水色のボブヘア、水着の上に着たカーディガンという突飛な服装だ。しかし、みんなそんな感じだ。
3番めに誕生したリチウム。誰よりも軽く、楽観的。ただ、泣くとすべてが終わってしまうのが玉に瑕。情報機器に明るい。銀髪をポニーテールにして、白衣もどきを着ている。
「そうね、すごいわよ」
「あ、ヘリウム」
ヘリウムは、貴族だ。2番目の彼女を呼び捨てにできるのは、水素のみだ。声こそは高いが、落ち着いた性格でどこまでも安定している。あまり交流を好まないところなども、アルカリらとは全く違う。
「だって、最初の頃は大変だったじゃない」
「ま〜、大変だったな」
リチが同情した。
「またその話じゃん」
突っ込まれても、水素とリチウムはあはは、と笑っていた。
「今までの人らとは違うものがあるわ」
オガネソン。彼はヘリと同じ貴族である。しかし、最近貴族ではない疑惑が浮上している、という。オガネについてどう思われているのか、それを調べるためにヘリは色々としているらしかった。
「まあ、それなら疑惑がかけられてもおかしくないわね。だって、あの子は特殊だもの。119人目は誰なのかしら。アルカリ・ファミリアなら、またうるさくなっちゃうわね」
ふふふ、と口に手を当てて、ヘリは上品に笑った。
最近、ヘリは笑うこと、そして喜ぶこと、それを表面上に出すことが増えた。スイはそう感じていた。