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ラズリ番外編② エメルとレイル
やつと出会ったのは何年前だったろうか。
夏だから、半袖だったろう。
額の汗を拭いながら、基地を目指していた。
「ねーねーそこの君!」
「あ?」
暑すぎてイライラしていた。
あいつはそんなこと気づかず、屋根の上から話を続ける。
「メルガン基地ってどこか知ってる?」
偶然か、必然か。自分の行き先と同じ。
あいつはニヤニヤしながらこっちをみてきた。
「知ってるけど、教えない。」
「ひっでー。僕さ、2日くらい彷徨ってんだよ。」
「知らない。」
そのまま歩き出した。
三十分くらいで基地についた。
入り口で舞さんがかき氷を食べていた。
「ただいま…です…あっつい…舞さん、俺にもかきg…」
「エメル…お前、何つれてきたんだよ。」
舞さんは自分の背後を見ていた。
「こんにちはー!ぼくレイルっていうの!選抜受けるためにきた!」
なんと自分の後ろにあいつがついてきていたのだ。
気づかなかった。殺し屋なのに。
…そこからあいつは無事に選抜に受かり、一緒に仕事をするようになった。
「おいっ!エメル!エメル!」
「早く治療しなくちゃ!」
タク…?レイル…?
ぱちっ
「起きた…エメルさんが起きた!」
タクはまた喜んでかけている。
「よかった…生きてた…飴いる?」
「いらない。」
走馬灯的なものだったのだろうか。不思議と嫌な思い出ではなかった。