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暁前の微光【10話】
嘘のような実話。
実話のような嘘。
この話は嘘か、本当か。
カラ、LOUIS、寺、周…4人の少年少女達が織り成す怒涛の家出劇。
底に埋もれた弱者達よ。
強くなれ。
強い者だけに、道は開かれる__________
「おーーい、君達、こんなところに四人だけかい?」
変なおっさんが急に話しかけてきた。
まさか…ユウカイ犯?
カラ「い、いや僕ら…食べても美味しないから……ほ、ほら、こんな……あはは」
「え?おじさん変な人じゃないよ??ほら、こっちにおいで。」
どうみてもやばい奴やん。
カラ「ちょ、…と、取って食うならLOUISにしてぇえええ!!!」
LOUIS「はい??」
カラ「死にたくない…ヤダァアアアアァア」
「ちょ、おっちゃん本当に変な人ちゃうよ?ここの駅長やねん。」
カラ「誰か助けてェエエエエエエエエエエエエエエエエイィイイイヤァアアアアア
______…え?」
寺「www」
周「ヤバすぎやろwwどっからどうみてもエキチョウさんやんな。」
よく見るとちゃんと駅員の制服を着ている。
ということは完全にカラの勘違いだったのだ。
焦って見間違えたとはいえ、我ながら呆れるほどの間違いっぷりだった。
いやでも、いやいくら田舎とはいえ、知らないおっちゃんに急に話しかけられたら。
みんな警戒するでしょ??うん。
駅長「君達四人だけやろ?こんなとこで何しとん。」
寺「あぁ…えっと、」
LOUIS「家出です。」
周「言っちゃうんだw」
LOUISが家出と言うなり、駅長は顔色と表情を一変させた。
和やかな雰囲気だったのが、睨め付けてくるような眼光になり、その眼は、少年達に焦りと不安を感じさせるものだった。
駅長「家出なん?あかんやん、今すぐ帰り。」
そう言ってくるだろうと、四人が思っていた。
普段ならば、この辺でおとなしく帰路についていただろう。
現に、まだ親離れも済まないほどの僕らには、もうすでに「寂しい」という感情が芽生え始めていた。
しかし今回の家ではここでは終わらせられない。
カラ「かえらん!!」
駅長「…それは、なんでなん?」
先ほどの空気が少し崩れる。
冬の冷たい空気が衣服の隙間から肌に触れる。
LOUIS「どうしても、観たい場所があるんです。」
寺「今日やないと、多分来年まで待たんとあかんから。」
周「おっちゃん、お願い。見逃してくれん?」
カラ「おねがいします!」
少年達の必死な声を聞いたからか、少しずつ躊躇いの色が浮かんでくる。
わずか7、8歳の子供達が一人の願いの為にこのような行動を起こすとは。
街の安全を支える者の一環として、本来であればここで見逃してはならない。
しかし、この威勢を目の前に、受け入れずにはいられなかった。
駅長「暗うなったら、ちゃんと、家に帰るやで。」
その言葉を聞いた途端、四人の表情がパッと輝いた。
ありがとう、ありがとう、と通る声で、手を大きく振りながら
四人の少年達は駅の階段を滑るように降っていった。
雲の隙間から、陽光が差していた。
続く。