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Auftakt#11
小雨が肌を打つ。服が雨粒で濡れていく。私は風穴に入った。
ふんわりと,草のにおいが鼻をくすぐる。やっぱり自然って,落ち着くなぁ。
若草色のスマホをポケットから取り出す。みんなの状況が気になって,文字を打つのももどかしい。
『ワカクサです。みんなどうしてる?できるなら返事して』
一昨日交わしたメッセージが,今送信したメッセージの上に見える。こんなにいきなり,幸せが奪われるなんて思っていなかった。
思わず,視界がぼやける。私はあわてて目をぬぐった。
『ルリです。今私,風穴の中にいるよ』
驚きと一緒に,うれしさが込み上げる。さっきとは別に,涙が出てきた。
ルリは無事だったんだ。その一文を,何度も読み返した。
そこで気がつく。風穴?私が今いるのも風穴だ。
もしかして,もしかして。ルリは,私の近くに。
『どこの風穴?マップ写真に撮って送って』
『ここ。ワカクサは?』
『私も同じ風穴にいる!私のいるところからは,そんなに遠くない!』
『そうなの⁉︎じゃあ会える?』
『うん,きっと!私が行くから,待っててね』
『わかった。ありがとう。気をつけてね』
そんなやりとりをしながら私は,心があたたかくなるのを感じていた。
こんにちは♪はるです。
やった!今日2話めの投稿!うれしい‼︎
そういえば私,アウフタクト#9のあとがきで「今度はワカクサに戻る予定です」とか言っていたけど,結局前回はルリの話になってしまいました。すみません(´-`).。oO
(けど『予定』だからいいのか…?)
とにかくこれからもよろしくお願いします♪